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実践編・応用編

今後の日本の経済社会の構築3

投稿日:2025年3月7日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

前回に続き、経済の社会の構築について、お話しします。今後の日本経済は、より高い製品開発能力を獲得し、製品の付加価値を高めながらアジアを中心とする諸外国との経済分業の下で、互恵的な経済社会の発展を追及していくことが基本的な方向です。

◆総合的・一体的な物流施策の推進
■物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化
総合物流施策大綱の1つ目の柱として、「①物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素で滑らかな物流)」を掲げています。これまで生産性向上等の観点からその必要性が認識されながらもなかなか進捗してきませんでした。物流の機械化やデジタル化、そしてそれらの前提となる伝票やデータ、外装やパレット等、物流を構成する各種要素の標準化の推進を通じて物流分野におけるデジタル・トランスフォーメーション(物流 DX)の実現を目指していくこととしています。

■時間外労働の上限規制の適用を見据えた労働力不足対策の加速と物流構造改革の推進
大綱の2つ目の柱である、「②労働力不足対策と物流構造改革の推進(担い手にやさしい物 流)」については、生産年齢人口の減少や、トラックドライバーへの時間外労働の上限規制の 適用を踏まえ、トラックドライバーや船員の働き方改革や、労働生産性の改善に向けた革新的な取組みの推進等を図っていくこととしています。

●物流分野における働き方改革
少子高齢化や人口減少を背景として、物流分野においても、特にトラック業界、内航海運業 界を中心として高齢化が進んでおり、大量退職や、生産年齢人口の減少に伴う人材確保が困難になることへの対応が引き続き必要となる。
人口減少に伴う労働力不足に加え、トラック ドライバーの時間外労働時間規制、カーボンニュートラル、燃料高・物価高への対応として、令和5年8月の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」による最終とりまとめや、5年6月の「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」により取りまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」等に基づき、抜本的・総合的な対策に取り組んでいる。

トラック運送事業については、平成30年12月に成立した改正「貨物自動車運送事業法」に 基づき、令和2年4月に告示した「標準的な運賃」の浸透を図るなど各種施策に取り組むとと もに、賃上げ原資となる適正運賃の収受に向け 「標準的な運賃」の見直しを行ったほか、「自動運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画」に基づき、物流の効率化、取引環境の適正化等を推進している。
休憩施設の駐車マス不足解消や使いやすさの改善に向けた取組みとして、令和5年12月に高速道路機構及び高速道路会社が取りまとめた整備方針に基づき、休憩施設の駐車マス数の拡充等の対策を推進する。
内航海運業については、令和3年5月に成立 した「海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律」に基づき、労務管理責任者の選任制度の創設等により船員の労務管理の適正化を推進するとともに、オペレーター に対して船員の労働時間を考慮した適切な運航計画の作成を義務付けること等により、船員の働き方改革を推進した。

国土交通省 令和6年版 国土交通白書

●高度化・総合化・効率化した物流サービス実現に向けた更なる取組み
物流分野における労働力不足、多頻度小口輸送の進展等に対応し、物流事業の省力化及び環境負荷低減を推進するため、関係者が連携した 物流の総合化・効率化に関する幅広い取組みを支援することを旨とした「物流総合効率化法」 に基づき、共同輸配送、モーダルシフト、輸送網の集約等を内容とする合計406件(令和6年3月現在)の総合効率化計画を認定し、運行経費等補助や税制特例措置等の支援を行いました。 また、令和5年10月の「物流革新緊急パッケージ」において、鉄道(コンテナ貨物)、内航(フェリー・RORO船等)の輸送量・輸送分担率を今後10年程度で倍増させることを目指すとしたことを踏まえ、大型コンテナ導入等に係る支援を進めることとしています。 また、令和3年9月から開催している「官民物流標準化懇談会パレット標準化推進分科会」 において、標準的なパレットの規格と運用やその推進方策について議論を行った。また、物流データの標準形式を定めた「物流情報標準ガイ ドライン」の活用促進を図るため、「物流情報標準ガイドライン利用手引き」を作成し、周知を行いました。

●地域間物流の効率化
複合一貫輸送等の推進に向け、港湾・貨物駅等の物流結節点の整備等を進めています。貨物鉄 道輸送については、他の輸送モードとの連携 (モーダルミックス)が不可避であり、誰でもいつでも利用できる体制づくり、貨物駅の高度利用、貨物鉄道のスマート化の推進等を促進していくこととしています。また、船舶大型化等に応じた複合一貫輸送ターミナルの整備や次世代高規格ユニットロードターミナルの形成に向けた取組みを推進していきます。

●都市・過疎地等の地域内物流の効率化
路上荷さばき駐車を削減するため、駐車場法に基づく駐車場附置義務条例に荷さばき駐車施設を位置付けるよう地方公共団体に促している。令和5年3月末現在で、89都市において、 一定規模以上の商業施設等への荷さばき駐車施設の設置を義務付ける条例が適用されている。
トラックドライバー不足が深刻化する中、配達の削減に向けては、令和5年10月の関係閣僚会議で決定した「物流革新緊急パッケー ジ」を受け、消費者が再配達削減に取り組むよう促すため、宅配便やEコマースの注文時に、コンビニ受取等、物流負荷軽減に資する受取方 法等を選択した場合に、消費者にポイントが還元される仕組みを社会実装すべく、実証事業を実施することとしている。
無人航空機(いわゆるドローン等)は、離島や山間部等における物流網の維持や買い物に ける不便を解消するなど、地域課題の解決手段 として期待されている。令和2年度には「過疎地域等における無人航空機を活用した物流実用化事業」を創設し、5年度までの4か年において、全国63地域の事業を採択するとともに、 「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証事業」において、レベル4飛行によるドローン物流等の先進的な実証事業を9件採択 し、実証事業を行った。また、2023年3月に公表した「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドラインVer.4.0」も活用しながらドローン物流の社会実装を推進した。

国土交通省 令和6年版 国土交通白書

■強靱性と持続可能性を確保した物流ネットワークの構築
3つ目の柱である、「③強靱で持続可能な物流ネットワークの構築(強くてしなやかな物流)」においては、昨今激甚化・頻発化している自然災害や新型コロナウイルス感染症の流行によるサプライチェーンの途絶等を踏まえ、物 流ネットワークの強靱性・持続可能性の確保を喫緊の課題としてとらえて、我が国産業の国際競争力強化等に資する物流ネットワークの構築 のほか、脱炭素社会の実現という目標達成に向 けた取組みを推進することとされています。

■物流上重要な道路ネットワークの戦略的な整備・活用
国内輸送の約9割を担う貨物自動車による輸送における効率的な物流ネットワークの構築は 極めて重要であり、三大都市圏環状道路や空港・港湾へのアクセス道路等の整備を進めている。平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国土交通大臣が物流上重要な路輸送網を「重要物流道路」として指定し、トラックの大型化に対応した道路構造の強化や災害時の道路の啓開・復旧の迅速化等の機能強化 及び重点支援を実施している。令和4年4月1日からは、調査中、事業中区間を重要物流道路に追加指定し、4年7月1日には、重要物流道路のうち国際海上コンテナ車(40ft背高)の通行に道路構造等の観点から支障のない区間を、特車許可不要区間として追加指定した。

また、車両運行管理支援サービス等の、 ETC2.0を活用した取組みを推進しているほか、令和2年5月27日に公布された改正「道路法」により創設された特殊車両通行確認制度を4年4月1日に運用を開始した。また、道路情報の電子化の多頻度化、特に利用が多い経路 の国による道路情報の電子化の代行、確認システム利用マニュアルの作成等の確認制度の利用促進を行った。
さらに、複数のドライバーが長い輸送行程を分担することで日帰り運行を実現する「中継輸 送」の拠点として、令和6年4月には、「コネクトパーキング岡山・早島」を新規事業化した。 トラック輸送の省人化を促進し、生産性向上を図るため、一台で大型トラック2台分の輸送が可能な「ダブル連結トラック」を平成31年1月より本格導入し、令和4年11月には、事業者の要望を踏まえ、更なる対象路線の拡充を行った。引き続き、利用促進を進める。加えて、高速道路と民間施設を直結する民間施設直結スマートIC制度の活用を推進するとともに、引き続き、スマートICの整備を進めるなど、既存の道路ネットワークの有効活用・ 機能強化を図っていく。  国土交通省 令和6年版 国土交通白書

(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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