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実践編・応用編

障害者、難病患者、外国人等の多様な就労支援の強化

投稿日:2026年7月19日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

前回に引き続き、多様な働き手の参画についてお話します。労働参加率の向上について、特に期待されるのは女性、高齢者等の多様な働き手の労働参加です。我が国において、出産や育児による離職は女性の労働参加に大きな影響を与えていると考えられています。そのため、女性が子供の成長に合わせて柔軟な働き方に変えていくことが必要です。

また、高齢者の労働参加率は他国の平均より高い水準にあります。一方で、年齢に関わりなく元気である限り、働きたいと考える高齢者への対応はより重要であると考えられます。

■精神障害者、発達障害者、難病患者等の多様な障害特性に対応した就労支援の  

強化

◆障害特性に応じた就労支援の充実

精神障害のある人等が、働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮等を支援機関とともに整理し、就職や職場定着に向け、企業や支援機関と必要な支援について話し合う際に活用できる情報共有ツール「就労パスポート」を2019(令和元)年11月に作成し、障害者本人の障害理解促進や、支援機関・企業の間の情報連携等を進めるとともに、企業の採用選考時の本人理解や就職後の職場環境整備の促進に向け、普及に取り組んでいます。

精神・発達障害者の安定した雇用を実現するための就職及び雇用継続に向けた総合的な支援の強化の観点から、ハローワークに、精神保健福祉士等の資格を有する者等の「精神・発達障害者雇用サポーター」(2025(令和7)年度300人)を配置し、精神障害者及び発達障害者に対する就職支援、企業に対する精神障害者及び発達障害者の雇用に係る課題解決のための相談援助等の支援を行っています。

企業内の一般労働者を対象として、精神・発達障害の特性を正しく理解し、職場での応援者となる「精神・発達障害者しごとサポーター」の養成講座(2024(令和6)年度実施回数1,228回、養成者数31,408人)を開催し、就労の場面で、精神・発達障害者がより活躍しやすい環境づくりを推進しています。

ハローワーク等の紹介により障害者を試行的に雇用(原則3か月。週所定労働時間10~20時間の短時間労働者や精神障害者については最大12か月。)する事業主に対して助成し、障害者の雇用の促進と安定を図っています。

ハローワークに「難病患者就職サポーター」(2024年度51人)を配置し、難病相談支援センター等と連携して、就職を希望する難病患者に対して、その症状の特性を踏まえたきめ細かな就労支援を行っています。発達障害者又は難病患者を雇い入れる事業主に対する助成を実施しています。

◆職業能力開発校(一般校)における精神障害者等の受入体制の整備

都道府県立の一般の公共職業能力開発施設において、精神保健福祉士等の相談体制  の整備を図るとともに、精神障害のある人等の受入れに係るノウハウの普及や対応力の強化に取り組んでいます。

■障害者の雇用の質の向上を図るための就労環境の整備等の推進

◆障害者差別禁止と合理的配慮の提供

雇用分野において、障害があることを理由とした差別を禁止し、過重な負担とならない限り合理的な配慮を提供することを、事業主に義務づけています。全国の都道府県労働局・ハローワークにおいて、事業主・障害者からの相談に応じ、必要な場合は事業主に助言・指導等を行っているほか、都道府県労働局長や障害者雇用調停会議における紛争解決の援助を行っています(2023(令和5)年度実績:相談件数245件、助言件数18件、指導件数2件、勧告件数0件、紛争解決援助申立受理件数10件、調停申請受理件数9件)。

障害者雇用に関する専門窓口(7か所)を設置し、障害者差別の禁止及び合理的配慮の提供について、個々の企業の実情に応じた対応への相談支援(2023年度相談件数1,884件)を行うとともに、障害者雇用に課題を持つ事業主に対する講習会等(2023年度実施回数12回)を開催しました。

◆障害者の多様な希望や特性等に対応した働き方の選択肢の拡大

障害者のテレワーク勤務を推進するため、障害者雇用におけるテレワークの導入を検討する企業に対して、導入に向けた手順や雇用管理の方法等の説明を行うセミナーや、個別の相談対応を実施しました。

障害者の職業能力開発支援の充実

■障害者の職業能力開発校における職業訓練の推進

一般の公共職業能力開発施設において職業訓練を受けることが困難な、重度の障害のある方に対しては、障害者職業能力開発校を全国19か所設置し、職業訓練を実施しています。

障害者職業能力開発校においては、「職業訓練上特別な支援を要する障害者」に重点を置いた支援をしており、入校者の障害の重度化・多様化が進んでいることを踏まえ、個々の訓練生の障害の態様を十分に考慮し、きめ細かい支援を行うとともに、職業訓練内容の充実を図ることにより、障害のある方の雇用の促進に資する職業訓練の実施に努めています。

■一般の公共職業能力開発施設における受入れの推進

一般の公共職業能力開発施設において、知的障害や発達障害等のある方を対象とした訓練コースを設置することにより、受講機会の拡充を図っています。

■障害者の多様なニーズに対応した委託訓練(障害者委託訓練)

雇用・就業を希望する障害のある方の増加に対応し、障害のある方が居住する地域で障害特性や企業の人材ニーズに応じた職業訓練を受講できるよう、企業、社会福祉法人、特定非営利活動法人、民間教育訓練機関等を活用した障害者委託訓練を各都道府県において実施し、障害のある方の職業訓練を推進しています。

就労支援事業所における「工賃向上計画」の推進

障害者が地域で自立した生活を送るための基盤として就労支援は重要であり、働く意欲のある障害者がその適性に応じて能力を十分に発揮することができるよう、一般就労を希望する方にはできる限り一般就労できるように、一般就労が困難である方には就労継続支援B型事業所等での工賃の水準が向上するように、総合的な支援を推進していくことが必組みを推進するため、基本的な取組み内容を継続しています。

工賃の向上を図るためには、製品の質を高めるとともに、就労継続支援B型事業所等で提供する製品・役務の情報発信、共同で仕事を受注できる仕組みの整備が必要であることから、経営コンサルタントや各分野の専門家の派遣、情報提供体制の構築、共同化の推進のための支援を行っているところです。

また、農業分野において、高齢化に伴う労働力不足や荒廃農地の増加という課題がある中で、農業分野での障害者の就労を支援する「農福連携」を進めることは、障害者にとって工賃向上や働く場の拡がりにつながるだけでなく、農業分野の課題の解消にも資するものであり、双方にメリットがあるものです。このため、就労継続支援B型事業所等に対し、農業に関する知識・技術の習得や6次産業化の推進に向けた助言・指導を行う専門家の派遣を支援するとともに、農業に取り組む就労継続支援B型事業所等が参加する農福連携マルシェ(市場)の開催等を支援しています。

障害者優先調達推進法

2013(平成25)年4月から、「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」(障害者優先調達推進法)が施行され、障害者就労施設で就労する障害者や在宅で就労する障害者の自立の促進に資するため、国や地方公共団体などの公的機関が物品やサービスを調達する際、障害者就労施設等から優先的に購入することを進めるために、必要な措置を講じることとなりました。2023(令和5)年度においては、国及び独立行政法人の調達実績は約33億円、都道府県の調達実績は約36億円、市町村及び地方独立行政法人の調達実績は約166億円となり、合計で約235億円の調達実績であり、施行初年度である2013年度と比較し、約112億円の増額となっています。

がんや肝炎などの長期にわたる治療が必要な疾病を抱えた求職者に対する就職支援

近年、医療技術の進歩や医療提供体制の整備などにより、がん患者の5年後の生存率が60%を超える状況などの中、がん、肝炎、糖尿病などの疾病により、長期にわたる治療などを受けながら、生きがいや生活の安定のために就職を希望する者に対する就職支援を推進することが社会的課題となっています。

このため、ハローワークに専門相談員を配置し、がんなどの診療連携拠点病院などとの連携の下に、長期にわたる治療などのために離職を余儀なくされた求職者などの個々の希望や治療状況を踏まえた就職支援を行っており、2016(平成28)年度からは、全国で実施しています。

外国人材の活用・国際協力

■外国人雇用の現状

国内全体の外国人労働者数は2024(令和6)年10月末時点で、約230万人となっており、過去最多を更新しています。

国籍別では、ベトナム(約57万人)が最も多く、次いで中国(約41万人)、フィリピン(約25万人)の順となっています。また、在留資格別でみると、「専門的・技術的分野の在留資格」(約72万人)が届出義務化以降、初めて最も多くなり、次いで「身分に基づく在留資格」(約63万人)、「技能実習」(約47万人)の順となっています。

労働力人口の不足が深刻化の一途をたどり、また国際的な人材獲得競争も一層激化している中、我が国が魅力ある働き先として選ばれる国になるよう、外国人労働者の就労環境の整備を進めていくことが重要です。

■専門的・技術的分野の外国人の就業促進

グローバル化が進行する中で、我が国の経済活力と国際競争力の強化のためには、国内人材の最大限の活用はもとより、高度な技術や専門的知識を有する外国人材(以下「高度外国人材」という。)の活用が重要な課題です。厚生労働省においても、外国人雇用サービスセンターを中心に全国ネットワークを活用して、その能力発揮及び定着促進を念頭に置いた、企業における高度外国人材の活用促進のための取組みを支援しています。外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)に入居している「東京外国人雇用サービスセンター」においては、他の入居機関との連携を強化しながら、高度外国人材等の就業促進に取り組んでいます。

また、留学生の在籍者が多い大学等が多数所在する地域を管轄する新卒応援ハローワーク及びハローワークに留学生コーナーを設置し、外国人雇用サービスセンターと密接に連携のうえ、留学生に対する就職支援の取組みを推進しています。外国人雇用サービスセンターや留学生コーナーにおいては、留学生に対するきめ細かな相談・支援のほか、地元企業、大学等関係機関と連携した就職ガイダンス等のセミナーや合同企業説明会の開催、学生向け求人の掘り起こし、インターンシップの実施等に取り組んでいます。留学生は日本の就職活動の仕組みの理解に乏しいといった課題があることから、それを克服し、国内就職を促進するため、2020(令和2)年度からハローワークと大学との官学連携協定により留学生を留学早期からその後の就職・定着まで一貫してサポートする取組みを実施しています。

また、2023(令和5)年4月に行われた第6回教育未来創造会議(議長:内閣総理大臣)において、2033(令和15)年までに、外国人留学生の受入れ年間40万人や卒業後の国内就職率6割等を目指すとした第二次提言が取りまとめられました。

今後、政府として外国人留学生の受入れを一層進めていくこととともに、卒業後の留学生が日本で就職、定着するよう、ハローワークにおける適切な相談支援や事業主向けセミナーの実施等を進めていきます。

■外国人労働者の雇用管理改善等に向けた取組み

外国人については、我が国の雇用慣行に関する知識等を十分に有していないことから、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年厚生労働省告示第276号)に基づき、ハローワークによる事業所訪問や事業主向け外国人雇用管理セミナー等により、外国人労働者の雇用管理に関する事業主等への周知・啓発に取り組んでいるほか、各都道府県労働局長から委嘱された「外国人雇用管理アドバイザー」が、事業主からの様々な相談に対して、事業所の実態に応じた専門的な指導・援助を行っています。

また、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行った事業主に対して、「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」において支援を行っています。

■日系人を含む定住外国人等に対する支援

日系人を始めとする定住外国人は、不安定な雇用形態で就労する者も多く、日本の職場におけるコミュニケーション能力の不足や我が国の雇用慣行に不案内であること等から、離職した場合には再就職が困難となることが多くありました。

こうした状況に置かれた求職者がハローワークを拠点に求職活動ができるよう、定住外国人が多く所在する地域のハローワークにおいて、専門の相談員による職業相談を実施しています。また、ハローワークの職業相談窓口に通訳員を配置するとともに、13か国語の電話通訳を行う多言語コンタクトセンターを設置し、全国いずれのハローワーク窓口でも多言語による利用が可能な体制を整備しています。

また、2015(平成27)年度より、定住外国人等を対象に、日本の職場におけるコミュニケーション能力の向上や、日本の雇用慣行等に関する知識の習得を目的とする外国人就労・定着支援事業を実施し、安定的な就労及び職場定着の促進を図っています。

(つづく)Y.H (出典)厚生労働省 令和7年版 厚生労働白書

-実践編・応用編

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