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実践編・応用編

女性、高齢者等の多様な働き手の労働参加

投稿日:2026年7月11日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

労働参加率の向上について、特に期待されるのは女性、高齢者等の多様な働き手の労働参加です。我が国において、出産や育児による離職は女性の労働参加に大きな影響を与えていると考えられています。そのため、女性が子供の成長に合わせて柔軟な働き方に変えていくことが必要です。

また、高齢者の労働参加率は他国の平均より高い水準にあります。一方で、年齢に関わりなく元気である限り、働きたいと考える高齢者への対応はより重要であると考えられます。今回は、多様な働き手の参画についてお話しします。

女性の雇用の現状

総務省統計局「労働力調査(基本集計)」によると、2024(令和6)年の女性の労働力人口は3,157万人(前年比33万人増)で、女性の労働力人口比率は55.6%(前年比0.8ポイント上昇)です。生産年齢人口(15~64歳)の女性の労働力人口比率は、76.1%(前年比0.9ポイント上昇)です。また、女性の雇用者数は2,830万人(前年比37万人増)で、雇用者総数に占める女性の割合は46.2%(前年比0.2ポイント上昇)となっています。

女性の活躍促進等

◆男女雇用機会均等対策の推進

労働者が性別により差別されることなく、また、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するため、男女雇用機会均等法に沿った男女均等取扱いがされるよう周知徹底するとともに、法違反が認められる企業に対しては、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)において、迅速かつ厳正な指導を行っています。

また、労働者と事業主の間の紛争については、都道府県労働局長による紛争解決の援助及び機会均等調停会議による調停により円滑かつ迅速な解決に取り組んでいます。

2023(令和5)年度に雇用環境・均等部(室)に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談件数は19,482件です。その内容を見ると、職場におけるセクシュアルハラスメントや婚姻妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する相談が多くなっています。

セクシュアルハラスメントや妊娠・出産等に関するハラスメントに関する相談については、適切に対応するとともに、男女雇用機会均等法に沿った対策が講じられていない企業に対しては、指導により是正させ、必要に応じて、具体的な取組み事例やノウハウを提供しています。妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利益取扱いに関する相談には、相談者にとって最も適切な方法で紛争の円滑かつ迅速な解決を図るとともに、男女雇用機会均等法違反が疑われる場合や、雇用管理上の問題があると考えられる場合には積極的に報告徴収を行い、法違反が認められる場合には、厳正な指導により、法の履行確保を図っています。

また、職場における母性健康管理等を推進するため、企業や女性労働者等に対して母性健康管理等に関する情報を提供する支援サイト「働く女性の心とからだの応援サイト」の運営等を行うとともに、「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用促進を図っています。

◆女性の活躍推進に向けた企業の取組み支援

女性の職業生活における活躍を一層推進するため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号。以下「女性活躍推進法」という。)に基づき、一般事業主行動計画の策定等が義務づけられている常用労働者数101人以上の事業主や男女の賃金の差異の情報公表が義務づけられている常用労働者数301人以上の事業主に対し、必要な助言を行うこと等により、同法に基づく取組みの実効性確保や更なる女性活躍推進を図るとともに、多くの事業主が同法に基づく「えるぼし」認定を目指すよう認定のメリットも含め広く周知し、認定申請に向けた取組み促進を図っています。

また、同法に基づく行動計画策定等の取組みが努力義務とされている100人以下の事業主について、より多くの事業主が女性活躍に向けた取組みを行うよう周知・啓発に努めています。併せて女性の活躍推進のための企業に対するコンサルティングを実施するとともに、個々の女性労働者の活躍推進を阻む要因になり得る無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)を解消するためのセミナー動画を作成し、企業等での活用を促進しています。

◆女性の就業希望の実現

全国206か所(2025(令和7)年3月末現在)のマザーズハローワーク・マザーズコーナーにおいて、子育てをしながら就職を希望する女性等に対して、こども連れで来所しやすい環境を整備するとともに、担当者制によるきめ細かな就職支援、求人情報や地方公共団体との連携による保育サービス関連情報等の提供など、再就職に向けた総合的かつ一貫した支援を行っています。

また、育児等を理由とする離職により、一定期間にわたり仕事から離れていた者に対し、「仕事と育児カムバック支援サイト」により情報提供及び再就職好事例の収集・普及・啓発を行うことにより、仕事と育児の両立が可能な再就職に向けた支援を行っています。

◆仕事と育児・介護の両立支援策の推進

仕事と育児・介護の両立支援に向けた取組みは、少子化対策や子育て支援策となるだけでなく、女性の活躍促進に資するとともに、日本経済の活力の維持の観点からも重要となっています。

このため、育児・介護休業法の周知徹底、次世代法に基づく事業主の取組み促進、助成金の支給を通じた事業主への支援、両立支援に関する情報を一元化した「両立支援のひろば」の運用、男性の育児休業取得促進事業(イクメンプロジェクト)の実施など、仕事と育児・介護の両立を図ることができる雇用環境の整備に取り組んでいます。

高年齢者雇用の現状

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(昭和46年法律第68号。以下「高年齢者雇用安定法」という。)では、希望者全員について65歳までの雇用が確保されるよう、事業主に対して①65歳までの定年引上げ、②定年の定めの廃止、又は③65歳までの継続雇用制度の導入のいずれかの措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)を講じるよう義務づけています。

なお、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」(平成24年法律第78号附則第3項。以下「改正法」という。)の経過措置(65歳までの継続雇用制度に関し、改正法施行前に労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主において、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることができる措置)が令和6年度末で終了したことに伴い、2025(令和7)年4月1日より希望者全員の65歳までの継続雇用制度が施行されました。

また、70歳までの就業機会を確保するため、事業主に対して①70歳までの定年引上げ、②定年の定めの廃止、③70歳までの継続雇用制度の導入(他の事業主によるものを含む。)、④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入、又は⑤70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入の措置(以下「高年齢者就業確保措置」という。)を講じるよう努力義務を課しています。

2024(令和6)年6月1日現在、高年齢者雇用確保措置は21人以上規模企業の99.9%で、高年齢者就業確保措置は21人以上規模企業の31.9%で実施済みです。引き続き、人口の減少と高齢化の進行により労働力人口が大幅に減少することが懸念される中、意欲ある高年齢者が年齢に関わりなく、生涯現役で働き続けることができる社会の実現に向けた取組みを推進していくこととしています。

「生涯現役社会」の実現

■企業における高年齢者の就労促進

65歳以降の定年延長や66歳以上の継続雇用制度の導入等、高年齢者の雇用管理制度の整備等や高年齢の有期契約労働者の無期雇用労働者への転換を行う事業主に対して、「65歳超雇用推進助成金」を支給しています。また、公益財団法人産業雇用安定センターにおいて高年齢退職予定者の情報を登録して、その能力の活用を希望する事業者に対してこれを紹介する高年齢退職予定者キャリア人材バンク事業を実施しています。

一方、高年齢求職者の再就職支援のため、全国の主要なハローワークに「生涯現役支援窓口」を設置し、特に65歳以上の高年齢求職者に対して職業生活の再設計に係る支援や求人の開拓等による総合的な就労支援等を実施しています。ハローワーク等の紹介により60歳以上の高年齢者等を雇い入れた事業主に対しては、「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」を支給し、高年齢者の就職を促進しています。

■高年齢者が地域で働ける場や社会を支える活動ができる場の拡大

地域で展開されている地域福祉・地方創生等の取組みと高年齢者に対する就労支援の取組みが緊密に連携しながら、地域のニーズを踏まえた多様な働く場を生み出すための「生涯現役地域づくり環境整備事業」を実施しています(2025(令和7)年4月1日現在、6地域にて実施)。

また、定年退職後等に、臨時的かつ短期的又は軽易な就業を通じた社会参加を希望する高年齢者に対して、その希望に応じた就業機会を確保・提供するシルバー人材センター事業を推進しています(2025年4月1日現在、シルバー人材センターの団体数は1,306団体、会員数は約67万人)。

若年者雇用の現状

若者の雇用情勢については、15~24歳の完全失業率が、2024(令和6)年には4.0%(前年比0.1ポイント低下)、25~34歳については、3.4%(前年比0.2ポイント低下)となっています。

また、2024年3月卒業者の就職率は、大卒者については、調査を開始した平成8年以降では最高値となる98.1%(前年比0.8ポイント上昇、2024年4月1日現在)。高卒者については98.0%(前年比同、2024年3月末現在)と、高い水準を維持しています。

一方で、在学中に内定に至らない者や未就職のまま卒業する者も一定数存在することから、新卒応援ハローワーク等においては、学校等と密に連携しながら、新卒者等の求人確保やきめ細かな就職支援を実施するとともに、既卒者及び中途退学者の新卒枠での応募機会の拡大及び採用・定着の促進に取り組んでいます。

総合的かつ体系的な若者雇用対策の推進

青少年の雇用の促進等を図り、その能力を有効に発揮できる環境を整備するため、青少年の適職の選択並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を総合的に講ずる「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号。勤労青少年福祉法の一部を改正する法律(平成27年法律第72号)により改正。以下「若者雇用促進法」という。)が、2015(平成27)年10月1日から順次施行されました。

若者雇用促進法においては、①若者の適職選択に資するよう、職場情報を提供する仕組みの創設、②若者の雇用管理が優良な中小企業についての認定制度の創設などの内容が盛り込まれ、その取組みに係る周知等を実施しています。また、若者雇用促進法第7条の規定に基づく指針には、採用内定取消しの防止や学校等の卒業者が少なくとも3年間は応募できるようにすること等の事業主等が講ずべき措置について規定し、事業主等に対する周知に取り組んでいます。

また、勤労青少年福祉法の一部を改正する法律附則第2条において、法施行後5年を目処に施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づく必要な措置を講ずることとされていることから、「今後の若年者雇用に関する研究会」において検討を行い、2021(令和3)年3月29日に、2021年度から2025(令和7)年度までの青少年の雇用対策に関する施策の基本となるべき事項について示した青少年雇用対策基本方針(令和3年厚生労働省告示第114号)を新たに定めました。

さらに、2021年4月30日に、若者雇用促進法第7条の規定に基づく指針を改正し、募集情報等提供事業者・募集者等における個人情報の管理、就活生等に対するハラスメント問題への対応などの事項を新たに定めました。

就職活動から職場で活躍するまでの総合的なサポート

新卒者・卒業後おおむね3年以内の既卒者専門の「新卒応援ハローワーク」(2025(令和7)年4月1日現在56か所)で、エントリーシートや履歴書などの作成相談や、就職支援セミナー・面接会を実施しています。2023(令和5)年度は延べ約28.3万人が利用し、約8.1万人が就職決定しました。また、学生・生徒や既卒者の支援を専門に行う相談員である就職支援ナビゲーターを新卒応援ハローワークやハローワークの学生用相談窓口に配置し、担当者制を基本とした個別相談、求人の紹介等就職まで一貫した支援を行うとともに、大学等との連携による学校への出張相談や、就職後の職場定着のための支援等を実施しています。

若者と中小企業とのマッチングの強化

若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業について、若者雇用促進法に基づき厚生労働大臣が「ユースエール認定企業」として認定する制度を2015(平成27)年10月に創設しました。認定企業の情報発信を後押しすること等により、若者の雇用管理が優良な中小企業と若者のマッチングを強化し、若者の適職選択と企業が求める人材の円滑な採用を支援しており、ユースエール認定企業数は、1,413社となっています(2024(令和6)年12月31日現在)。

キャリア教育の推進

若者が、学校から社会・職業に円滑に移行できないなどの課題があります。この問題には、社会全体を通じた構造的な問題があることが指摘されていますが、学校教育は若者の社会的・職業的自立や、生涯にわたるキャリア形成を支援するための重要な役割を果たすものであり、キャリア教育の重要性が増しています。2011(平成23)年1月31日には中央教育審議会において「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」が取りまとめられました。答申では幼児期の教育から高等教育までの体系的なキャリア教育の推進や職業教育の充実が提示されましたが、その中で、キャリア・カウンセリングを行う専門人材の学校への配置、教職員のカウンセリングに関する知識やスキルの習得の重要性、学校・産業界・関係府省間の連携等についても指摘されています。

また、大学設置基準及び短期大学設置基準の改正(2010(平成22)年2月公布、2011 年4月施行)により、全ての大学等において、社会的・職業的自立に関する指導(キャリアガイダンス)に取り組むための体制を整備することとされています。そのため、今後のキャリア教育を効果的に推進する上で、キャリア教育に関する先進事例を広く共有し、全国への普及・啓発を図るための「キャリア教育推進連携シンポジウム」を文部科学省、経済産業省と合同で開催しています(2025(令和7)年2月6日に開催)。

フリーター等の正社員就職の促進

フリーター数は、2024(令和6)年には136万人となり、前年(2023(令和5)年134万人)と比べて2万人増加となっています。厚生労働省では、「わかものハローワーク」(2025(令和7)年4月1日現在21か所)等で、担当者制による個別支援、正社員就職に向けたセミナーやグループワーク等各種支援、就職後の定着支援を実施し、2023年度は約9.8万人が就職しました。

ニート等の若者の職業的自立支援

ニート数については2024(令和6)年には61万人となり、前年(2023(令和5)年59万人)と比べて2万人増加となっています。ニート等の職業的自立を支援するためには、基本的な能力の開発にとどまらず、職業意識の啓発や社会適応支援を含む包括的な支援が必要であり、こうした支援は各人の置かれた状況に応じて個別的に行うことや、一度限りの支援にとどまらず、継続的に行うことが重要です。

このため、厚生労働省では、2006(平成18)年度から地方公共団体との協働によりNPO、保健・福祉機関等地域の若者支援機関からなるネットワークを構築・維持するとともに、その拠点となる地域若者サポートステーション(以下「サポステ」という。)を設置し、15歳から49歳までの若年無業者等に対し、キャリアコンサルタント等による専門的な相談や各種プログラムの実施など、多様な就労支援メニューを提供しています。

(つづく)Y.H

(出典)厚生労働省 令和7年版 厚生労働白書

-実践編・応用編

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