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前回に引き続き、多様な働き手の参画についてお話します。労働参加率の向上について、特に期待されるのは女性、高齢者等の多様な働き手の労働参加です。我が国において、出産や育児による離職は女性の労働参加に大きな影響を与えていると考えられています。そのため、女性が子供の成長に合わせて柔軟な働き方に変えていくことが必要です。
また、高齢者の労働参加率は他国の平均より高い水準にあります。一方で、年齢に関わりなく元気である限り、働きたいと考える高齢者への対応はより重要であると考えられます。
■就職氷河期世代に対する集中支援
いわゆる就職氷河期世代(おおむね1993(平成5)年から2004(平成16)年に学校卒業期を迎えた世代)は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代であり、現在も、不本意なを必要としているなど、様々な課題に直面している者がいます。
2019(令和元)年に取りまとめられた「経済財政運営と改革の基本方針2019」(2019年6月21日閣議決定)における「就職氷河期世代支援プログラム」では、就職氷河期世代の抱える固有の課題や今後の人材ニーズを踏まえつつ、個々人の状況に応じた支援により、就職氷河期世代の活躍の場を更に広げられるよう、2020(令和2)年度からの3年間で集中的に取り組むという政府全体の方針が示されました。
また、2022(令和4)年に取りまとめられた「経済財政運営と改革の基本方針2022」(2022年6月7日閣議決定)において、2022年度までの3年間の集中取組期間に加え、2023(令和5)年度からの2年間を「第二ステージ」と位置付け、これまでの施策の効果も検証の上、効果的・効率的な支援に取り組み、成果を積み上げるという政府全体の方針が示されました。
さらに、「就職氷河期世代支援プログラム」に盛り込まれた各施策を具体化した「就職氷河期世代支援に関する行動計画」を毎年「就職氷河期世代支援の推進に関する関係府省会議」にて決定しています。2023年12 月には「就職氷河期世代支援に関する行動計画2024」(2023年12月26日同会議決定)が取りまとめられました。
また、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(2024(令和6)年6月21日閣議決定)において、就職氷河期世代への支援は、2025(令和7)年度以降、中高年層に向けた施策を通じて相談、リ・スキリングから就職、定着までを切れ目なく効果的に実施することとされています。
◆不安定な就労状態にある方等の安定就職に向けた支援
正規雇用化を目指す就職氷河期世代等を支援するため、全国の主要なハローワークに「就職氷河期世代専門窓口」を設置していたところ、令和7年度より中高年層に対象を拡大し「中高年層(ミドルシニア)専門窓口」として、キャリアコンサルティング、生活設計面の相談、求人開拓等、就職から職場定着まで一貫した支援を実施しています。
さらに、企業に対する就職氷河期世代の正社員雇用化の働きかけとして、ハローワーク等の紹介により、正社員経験が無い方や正社員経験が少ない方等を、正社員として雇い入れる事業主に「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」を助成していたところ、令和7年度より中高年層に対象を拡大した中高年層安定雇用支援コースとして助成を行っています。
◆長期にわたり無業の状態にある方等の就職実現に向けた支援
就職氷河期世代の無業者に対し、全国179か所(2025(令和7)年4月1日現在)のサポステがその知見やノウハウを活用して、職業的自立に向けた就労支援を実施しています。
◆社会参加に向けた支援を必要とする方等への丁寧な支援
社会とのつながりをつくり、社会参加に向けたより丁寧な支援を必要とする方を支援するため、アウトリーチなど自立相談支援機関における機能を強化しています。また、市町村において、福祉と就労をつなぐ「市町村プラットフォーム」を設置し、地域の関係機関の連携を促進するとともに、ひきこもり状態にある方が安心して過ごせる居場所づくりや、その家族に向けた相談会や講習会等の実施等、多様な支援の選択肢を用意し、一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援に取り組んでいます。
■障害者、難病・がん患者の活躍促進
◆障害者雇用対策の沿革
我が国における障害者施策については、「障害者基本法」(昭和45年法律第84号)、同法に基づく障害者基本計画等に沿って、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進がなされているところであり、その基本的な考え方は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現することです。
このような考え方の下、障害者の雇用施策については、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号。以下「法」という。)に基づき、職業を通じた社会参加を進めていくことができるよう、各般の施策を推進してきました。
2022(令和4)年の法改正では、雇用の質の向上の推進や多様な就労ニーズへの対応を図る観点から、事業主の責務として、障害者の職業能力の開発及び向上に関する措置を行うことの明確化、特に短い時間(週所定労働時間10時間以上20時間未満)で働く重度の身体・知的障害者及び精神障害者の実雇用率における算定、雇入れやその雇用継続を図るために必要な一連の雇用管理に関する相談援助の支援や加齢に伴い職場への適応が困難となった障害者への雇用継続の支援に関する助成措置の新設等が盛り込まれ、2023(令和5)年4月以降、順次施行されています。
2018(平成30)年4月からは、一般事業主の法定雇用率を2.0%から2.2%と、公務部門(教育委員会を除く。)の法定雇用率を2.3%から2.5%とする等の引上げが行われ、また2021(令和3)年3月には、更に0.1%ずつ引き上げられ、一般事業主では2.3%、公務部門(教育委員会を除く。)では2.6%とされました。
さらに、法定雇用率は少なくとも5年に1度見直すこととされているところ、2023年度からの一般事業主の法定雇用率は2.7%、公務部門(教育委員会を除く。)は3.0%に改められ、その引上げについては、雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、2024(令和6)年4月に法定雇用率を0.2%引き上げ、一般事業主は2.5%に、公務部門(教育委員会を除く。)は2.8%に、2026(令和8)年7月に更に0.2%引き上げ、一般事業主は2.7%に、公務部門(教育委員会を除く。)は3.0%に、段階的に引き上げることとされました。
また、2025(令和7)年4月に除外率の10ポイント引下げが行われたところです。
■障害者雇用の現状
◆民間企業における雇用状況
2024(令和6)年6月1日現在の障害者雇用状況については、雇用障害者数が21年連続で過去最高を更新し、67.7万人(前年比5.5%増)となるなど、一層進展しています。また、雇用障害者の実数は57.4万人(前年比7.4%増)となっています。雇用障害者のうち身体障害者は36.9万人(前年比2.4%増)、知的障害者は15.8万人(前年比4.0%増)、精神障害者は15.1万人(前年比15.7%増)と、いずれの障害種別でも前年より増加し、特に精神障害者の伸び率が大きくなっています。
また、民間企業が雇用している障害者の割合(以下「実雇用率」という。)は2.41%(前年比0.08ポイント増)でした。
企業規模別の実雇用率をみると、今年から新たに報告対象となった常用労働者数が40.0~43.5人未満規模の企業では2.10%でした。また、これまでも報告対象であった企業を規模別に見ると、43.5~100人未満規模で1.95%(前年同率)、100~300人未満規模で2.19%(前年比0.04ポイント増)、300~500人未満規模で2.29%(前年比0.11ポイント増)、500~1,000人未満規模で2.48%(前年比0.12ポイント増)、1,000人以上規模で2.64%(前年比0.09ポイント増)と、いずれの企業規模でも前年より増加しました。
法定雇用率を達成した企業の割合は、雇用率の改定の影響により46.0%(前年比4.1ポイント減)と低下しました。また、雇用障害者が0人である企業(以下「障害者雇用ゼロ企業」という。)が法定雇用率未達成企業の57.6%(前年比1.0ポイント減)を占める状況です。
◆国・地方公共団体における雇用状況
2024(令和6)年6月1日現在の障害者任免状況については、国の機関(法定雇用率2.8%)に勤務している障害者数及び実雇用率が10.4千人(前年比4.9 %増)及び3.07%(前年比0.15ポイント増)でした。
また、都道府県の機関(法定雇用率2.8%)が1.1万人(前年比3.8%増)及び3.05%(前年比0.09ポイント増)であり、市町村の機関(法定雇用率2.8%)が3.7万人(前年比5.1%増)及び2.75%(前年比0.12ポイント増)でした。さらに、都道府県等の教育委員会(法定雇用率2.7%)が1.8万人(前年比4.2%増)及び2.43%(前年比0.09ポイント増)でした。
◆ハローワークにおける職業紹介状況
2023(令和5)年度のハローワークを通じた障害者の就職件数は、110,756件(前年度比8.0%増)でした。このうち、身体障害者は22,912件(前年度比4.6%増)、知的障害者は22,201件(前年度比7.9%増)、精神障害者は60,598件(前年度比12.1%増)、その他の障害者は5,045件(前年度比15.6%減)となっています。
また、新規求職申込件数は249,490件(前年度比6.9%増)でした。このうち、身体障害者は59,202件(前年度比1.9%増)、知的障害者は37,515件(前年度比5.4%増)、精神障害者は137,935件(前年度比11.6%増)、その他の障害者は14,838件(前年度比8.0%減)でした。
こうした中で、就職率は44.4%(前年度比0.5ポイント増)でした。このうち、身体障害者は38.7%(前年度比1.0ポイント増)、知的障害者は59.2%(前年度比1.4ポイント増)、精神障害者は43.9%(前年度比0.1ポイント増)、その他の障害者は34.0%(前年度比3.0ポイント減)でした。
◆障害者雇用に関する理解の促進
人事院において、一般職国家公務員における合理的配慮の考え方等を定めた「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針(国家公務員の合理的配慮指針)」を2018年12月に策定するとともに、2020(令和2)年1月には各府省庁において提供された合理的配慮の事例を把握し、厚生労働省とも連携してとりまとめ、各府省庁に提供しています。
内閣人事局を中心として厚生労働省、人事院の協力の下、「公務部門における障害者雇用マニュアル」を2019(平成31)年3月に作成し、障害のある人を雇用する際の基礎知識や注意点などを各府省庁に周知しました(2022(令和4)年の法改正を踏まえ、2024(令和6)年1月に改訂)。
厚生労働省において、国の機関における障害者雇用に関する理解の促進を図るため、以下の取組みを実施しました。
①障害者雇用の際に必要となる設備改善・機器導入に関する情報について、国の機関の人事担当者等を対象に、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に蓄積されたノウハウ・情報の提供
②国の機関等の人事担当者等を対象に、障害者の働きやすい職場環境づくりや障害特性に応じた雇用管理を内容とする「障害者雇用セミナー」の開催
③障害者とともに働く国の機関及び地方自治体等の職員を対象に、精神・発達障害の特性を正しく理解し、職場でこれら障害者を温かく見守り、支援する応援者となるための「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」(併せて同講座のe-ラーニング版を提供)の実施
④各府省庁における職場実習や定着支援等の障害者雇用の取組みを好事例として収集し、各府省庁に共有
また、内閣人事局において、障害に関する基礎知識や業務のコーディネート及び障害者のサポートを行う上で必要な知識等を各府省庁の職員に提供する「障害者雇用キーパーソン養成講習会」を実施しました。
■障害者雇用ゼロ企業を含む中小企業に対する支援の推進
◆ハローワークにおける支援の連携・強化
障害者雇用ゼロ企業等に対して、企業支援向けの就職支援コーディネーター(2024(令和6)年度126人)を配置し、地域の関係機関と連携して、募集の準備段階から採用後の職場定着までの一貫した支援を行う「企業向けチーム支援」を実施しています。加えて、ハローワークが中心となって、障害者の採用が進まない中小企業等に対し、就労移行支援事業所との面談会や見学会、職場実習を実施しています。
一方、就職を希望する障害者に対して、障害者支援向けの就職支援コーディネーター(2024(令和6)年度275人)を配置し、地域の就労支援機関等と連携して、就職から職場定着まで一貫した支援を行う「障害者向けチーム支援」を実施しています。加えて、就職準備性を高めることが必要な障害者を対象に、一般雇用に向けた心構え・必要なノウハウ等に関する就職ガイダンスや、管理選考・就職面接会を積極的に実施しています。
また、就労支援機関等の職員や利用者などを対象に、就労支援セミナーや事業所見学会等を実施し、企業と福祉分野の連携を推進しています。
そのほか、障害者雇用に関する優良な中小事業主(常時雇用労働者数300人以下)に対する認定制度(もにす認定制度)により、2024年12月末時点で489事業主が認定を受けています。認定を受けた事業主の障害者雇用に関する取組みを身近なロールモデルとして周知することなどを通じ、地域全体の障害者雇用が一層推進されるよう取り組んでいます。
◆障害者の職場定着等に向けて事業主のニーズ等に寄り添った支援の充実
上記の「企業向けチーム支援」や、障害者の職場適応を容易にするための職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を実施したほか、職場適応援助者(ジョブコーチ)の養成を行いました(2024年度の職場適応援助者(ジョブコーチ)養成数1,654人)。
障害者雇用を進める上で労務管理等に課題を抱える企業に対し、企業のニーズに応じて、障害者雇用に知見のある企業OBや特例子会社の経営経験者等の障害者雇用管理サポーター(2025(令和7)年4月1日現在の障害者雇用管理サポーター登録者数214人)を紹介・派遣し、具体的な改善実施の提言・援助等を行っています。
また、雇用する障害者の職場定着のため、職場支援員の配置・委嘱や、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援等を実施する事業主への助成を実施しています。
◆障害者就業・生活支援センターのネットワーク機能の強化
就業面と生活面の支援を一体的に実施する「障害者就業・生活支援センター」(2025年4月1日現在338か所)において、必要に応じてリモート面談による支援を行っているほか、地域の支援機関等に対して蓄積したノウハウの提供等を通じて就業支援の推進を図っています。
(つづく)Y.H
(出典)厚生労働省 令和7年版 厚生労働白書