前回に続きキャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、スーパービジョンのモデル実施及びアンケート・実施報告書の分析の部分の、アンケート・実施報告書等の集計の概要を説明します。
キャリアコンサルテイング協議会のキャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書は、既存のスーパーバイザー養成等の実態把握を報告しています。キャリアカウンセリング協会、日本キャリア開発協会、日本産業カウンセラー協会、テクノファ、日本産業カウンセリング学会及びキャリアリソースラボにおける取組や、またキャリア心理学研究所代表の宮城まり子氏によるキャリア支援におけるスーパービジョンの実施についての、発表及び意見を、事業の目的を踏まえた共通項で整理し事業報告書としてまとめたものです。
(2)アンケート・実施報告書等の集計の概要
①相談者アンケートの集計概要
相談者アンケートの回答は50件(同一相談者からの複数回答あり)
②キャリアコンサルタントアンケートの集計概要
キャリアコンサルタントアンケートの回答数は41件。
スーパーバイジーアンケート記述欄(一部を抜粋して掲載)
※表記の注意:「sv」はスーパービジョンを表します。
「CL」、「クライエント」、「クライアント」は全て「相談者」を表します。
「バイジー」、「SVee」は全て「スーパーバイジー」を表します。
「バイザー」、「SVor」は全て「スーパーバイザー」を表します。
「cc」は「キャリアコンサルタント」を表します。
[1]スーパービジョンに期待していた事
「キャリアコンサルティングの構成とクロージングの方法」「コンサルテイングの展開方法」 等、コンサルテイングやカウンセリング等のスキル向上に関する期待や「客観的評価」「客観的にカウンセリング・スキルやプロセスを評価・指導を頂くこと」のように「客観的評価」等の言葉が散見された。
[2]スーパーバイザーに対する印象
スーパーバイザーがスーパーバイジーとの「関係構築」を行った上でスーパービジョンを実施したことが伺える記載や「安心感」「丁寧」等の言葉が散見された。
[3]スーパービジョンを受けての感想
「自己理解が深まった」「定期的に評価・指導を受けることが大切」「自身では気づけなかった効果を知ることができ、気づきが多かった」「課題が言語化され、課題が明確になった」「面談への自信がついた」等、ほとんどが肯定的な回答だった。
③スーパーバイザー実施報告書の集計概要
スーパービジョンモデル実施ごとに「スーパーバイザー実施報告書」にて「今回のスーパービジョンに関し、「スーパーバイジーはどのように受け止めているか」に関し、「振り返り」を求め、5件法で集計した。回答数は43件。
スーパーバイザー「実施後アンケート」記述欄(一部を抜粋して掲載)
スーパービジョンモデル実施について
[1] SVモデル実施に活用した理論、知識、情報、ツール
「人事制度」「人事施策」「株主向けレポート」「人事評価の動向」「業態知識」「業界情報」「社風理解」等、担当する組織等の情報を事前に収集し、モデル実施に臨んだことが伺える言葉が散見された。
[2] SVモデル実施に活かした能力・スキル
ほとんどのスーパーバイザーが「キャリアコンサルティング能力」を挙げていた。他には「指導力(能力)」「コーディネート力」「概念化」等の言葉が散見された。
(つづく)木下 昭