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実践編・応用編

キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究

投稿日:2025年5月28日 更新日:

キャリアコンサルテイング協議会ではキャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の中で既存のスーパーバイザー養成等の実態把握を報告しています。キャリアカウンセリング協会、日本キャリア開発協会、日本産業カウンセラー協会、テクノファ、日本産業カウンセリング学会及びキャリアリソースラボにおける取組を報告書としてまとめています。

(1)アンケート・実施報告書等の集計の概要
①相談者アンケートの集計概要
相談者アンケートの回答は50件(同一相談者からの複数回答あり)
②キャリアコンサルタントアンケートの集計概要
キャリアコンサルタントアンケートの回答数は41件。
スーパーバイジーアンケート記述欄(一部を抜粋して掲載)

※表記の注意:「sv」はスーパービジョンを表します。
「CL」、「クライエント」、「クライアント」は全て「相談者」を表します。
「バイジー」、「SVee」は全て「スーパーバイジー」を表します。
「バイザー」、「SVor」は全て「スーパーバイザー」を表します。
「cc」は「キャリアコンサルタント」を表します。

[1]スーパービジョンに期待していた事
「キャリアコンサルティングの構成とクロージングの方法」「コンサルテイングの展開方法」 等、コンサルテイングやカウンセリング等のスキル向上に関する期待や「客観的評価」「客観的にカウンセリング・スキルやプロセスを評価・指導を頂くこと」のように「客観的評価」等の言葉が散見された。

[2]スーパーバイザーに対する印象
スーパーバイザーがスーパーバイジーとの「関係構築」を行った上でスーパービジョンを実施したことが伺える記載や「安心感」「丁寧」等の言葉が散見された。

[3]スーパービジョンを受けての感想
「自己理解が深まった」「定期的に評価・指導を受けることが大切」「自身では気づけなかった効果を知ることができ、気づきが多かった」「課題が言語化され、課題が明確になった」「面談への自信がついた」等、ほとんどが肯定的な回答だった。

③スーパーバイザー実施報告書の集計概要
スーパービジョンモデル実施ごとに「スーパーバイザー実施報告書」にて「今回のスーパービジョンに関し、「スーパーバイジーはどのように受け止めているか」に関し、「振り返り」を求め、5件法で集計した。回答数は43件。

スーパーバイザー「実施後アンケート」記述欄(一部を抜粋して掲載)
スーパービジョンモデル実施について

[1] SVモデル実施に活用した理論、知識、情報、ツール
「人事制度」「人事施策」「株主向けレポート」「人事評価の動向」「業態知識」「業界情報」「社風理解」等、担当する組織等の情報を事前に収集し、モデル実施に臨んだことが伺える言葉が散見された。

[2] SVモデル実施に活かした能力・スキル
ほとんどのスーパーバイザーが「キャリアコンサルティング能力」を挙げていた。他には「指導力(能力)」「コーディネート力」「概念化」等の言葉が散見された。

[3] SVモデル実施後に感じた自身の課題
「組織内独自の人事や組織特性を事前に知る事が重要」「依頼側とSVeeとその組織に対してのマネージメント力」等、組織の情報や組織への働きかけに関する内容や「今回2回で終了」「モデル実施で今後の継続がない」といったモデル実施という回数等が制限された中での実施であったことによる課題の回答が散見された。

キャリア支援領域のスーパービジョン、スーパーバイザーについて
[1]必要だと思う理論、知識、情報、ツール等
スーパービジョンに係る理論、知識だけでなく、対象領域や対象組織に係る情報等を含め、「網羅的な幅広い理論・知識が必要」という回答が多かった。

[2]必要だと思う能力・スキル等
基本である「キャリアコンサルテイング能力」や組織への働きかけに係る「コーディネート力」等に加え、「真摯な態度」「人間性」「自身が指導を自ら受ける意識(倫理観)」等も散見された。

[3]大切にしているスーパーバイザーとしての姿勢
「自発的行動変容への援助」「自己成長の支援」「内省できる安心な場の形成」等、キャリアコンサルタントが自ら成長するために支援するといった姿勢や「共に成長」「一緒に学んでいく」といったキャリアコンサルタントと共にスーパーバイザー自身も成長する姿勢が大切とした回答が散見された。

[4]キャリアコンサルタントのキャリア支援領域の理想的なスーパーバイザーとはどのような専門家か
「キャリアコンサルタントの成長を促すようなスーパービジョンが出来る」「キャリア開発支援の実践者」「理論や技能が土台にありつつも、常に自己研鑽し続けられる人」等、様々な専門家像が回答された。また「多岐にわたる領域のため、各分野における一定レベルの専門家である必要性がある」といった回答も散見された。

[5]キャリア支援領域のスーパービジョンで重要なことは何か
知識や理論、技能(スキル)等に関する重要性を示す回答の中で、「クライアントの表面的な言葉ではなく言葉になってない想いを聴ける」「キャリアコンサルタントの向こうにCLがいる。キャリアコンサルタントの自己満足や自己評価向上ではなく、真にCLに役立つキャリアコンサルタントを育成」「クライエントの成長とは何か」等、キャリアコンサルタントの先の「相談者」(=クライアント、CL)に関する記載や「個人と組織の共生という視点」など、相談者の更にその先の背景にある「組織」という言葉も散見された。

[6]キャリア支援領域のスーパービジョン、スーパーバイザーに関するその他の考え等
モデル実施に関する感想や考えの中で「全ての領域のスーパービジョンができることは難しい」「スーパーバイザーも、専門領域で活躍すべき」等、専門領域に係る内容が散見された。

「組織対応」のために講じた方法について
スーパーバイザー実施後アンケートの中で「対応可能な機能」の「組織支援(組織活性化、組織開発等)」「人材育成、能力開発、キャリア開発等」「職場のマネジメント等」において「豊富な経験があり、対応に自信がある」もしくは「豊富で様々な経験があり、対応に非常に自信がある」と回答したスーパーバイザーに対し、それぞれの機能に自信をもって対応するためにどのような方法を講じたかを確認した。

[1] 「組織支援(組織活性化、組織開発等)」に自信をもって対応するためにどのような方法を取りましたか?
学習や業務の中で対応する力を身に付けたという回答が多かった。

[2] 「人材育成、能力開発、キャリア開発等」に自信をもって対応するためにどのような方法を取りましたか?
学習や業務経験の中で対応する力を身に付けたという回答が多かった。

[3] 「職場のマネジメント等」に自信をもって対応するためにどのような方法を取りましたか?
主として業務でのマネジメント経験により対応する力を身に付けたという回答が多かった。

キャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、スーパービジョンのモデル実施及びアンケート・実施報告書の分析の部分の、分析結果から記述します。

(3)分析結果
ここでは、スーパービジョンのモデル実施に係る相談者・スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)・スーパーバイザーのアンケート、スーパーバイザーの実施報告書の分析結果を示すが、本事業のモデル実施が次の状況下において行われていることに留意する必要がある。
・スーパーバイザーとスーパーバイジーの関係性は、約8割がモデル実施のスーパービジョンにおいて初めて構築されたものであること。
・スーパービジョンは、モデル実施の実施期間の制約により、1回又は2回といった限られた回数により行われたものであること。
・モデル実施の中で行われたスーパービジョンであり、スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)自身がスーパー ビジョンを受ける動機が必ずしも明確であったとは限らないこと。

①キャリアコンサルティングの効果に係るアンケート(相談者)の結果
①―1相談者の属性
相談者37名の属性は男性15名、女性22名で、年代別の構成は、20代14名、30代8名、40代11名、50代4名であった。

①―2相談内容
「今回の主な相談内容」6項目について〇をつけるよう回答を求めた(複数回答可能)。 相談者37名のうち13名は1回目と同じキャリアコンサルタントから2回目のキャリアコンサルティングを受けており、キャリアコンサルタントは1回目と2回目の面談の間にスーパービジョンを受けている。「主な相談内容」 について、1回目、2回目の相談回数別の特徴として挙げられるのは以下のとおりである。
・1回目、2回目ともに相談内容として一番多かったのは、[今後の生活設計、能力開発計画、キャリア・プラン等」であった。
・1回目の相談において「今後の生活設計、能力開発計画、キャリア・プラン等」は、全回答数の48%を占めていたが、2回目は43%と多少減少した。
・1回目の相談で「メンタルヘルスに関する事」は1件のみであったが、2回目の相談では4件(全回答数の19%)となっており、全項目のうち唯一増加している。

①―3キャリアコンサルテイングを受けての振り返り
「本日のキャリアコンサルティングに関し当てはまるもの」 について、いくつか項目を上げて項目ごとに「1:そう思わない、2:あまりそう思わない、3:どちらでもない、4:ややそう思う、5:そう思う」の5件法で回答を求め、平均値から1回目、2回目の相談回数別の特徴として挙げられるのは以下。
・1回目で最も高かったのは、自分自身の事や今までの行動を振り返ってみることができた」であり、2回目で最も高かったのは、話をしたことで気持ちが軽くなった」であった。
・ほとんどの項目で1回目より2回目の平均値が高かったが、[自分自身の事や今までの行動を振り返ってみることができた」だけは2回目の方が低かった。

①―4キャリアコンサルタントの印象とキャリアコンサルテイングの感想
A)「キャリアコンサルタントに対する印象」について、回答は、「1.話し難い、2.やや話し難い、3.やや話し易い、4.話し易い」の4件法で、平均値は1回目(3.92)、2回目(4.00)。
B)「キャリアコンサルティングを受けての感想」 について、回答は、「1.良くなかった、2.あまり良くなかった、3.やや良かった、4.良かった」の4件法で、1回目(3.85)、2回目(3.84)。

(つづくA.K

-実践編・応用編

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