キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

実践編・応用編

キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業

投稿日:2025年8月10日 更新日:

キャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書(令和2年)の、スーパービジョンのモデル実施及びアンケート・実施報告書の分析の部分の、キャリアコンサルティングの効果に係るアンケート(スーパーバイジー:キャリアコンサルタント)の結果から記述します。出典 R2年キャリコン実践力強化調査報告_cs5.indd

〇キャリアコンサルティングの効果に係るアンケート(スーパーバイジー:キャリアコンサルタント)の結果

スーパービジョンのモデル実施に係るアンケートに基づき、スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)の回答に関して結果を示す。

本集計結果を理解する上で、以下の点に留意する必要がある。今回のスーパーバイジーのキャリアコンサルタントとしての経験年数は1年未満が4人(17%)、 1年以上3 年未満が10人(42%)、 3年以上5年未満が2人(8%). 5年以上が8人(33%)であり、 比較的経験が少ない者、すなわち初心者段階に近い者の比率が高い。また、今回実施されたスーパービジョンにおけるスーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係は、約8 割が今回のスーパービジョンで初めて構築されたものであった。スーパービジョンは本来、スーパーバイジーの育成を目的とした活動であるため、ある一定の期間にわたる関係を前提として、スーパーバイジーの発達段階に応じて取り組むべき課題を明確化していく過程を含み、スーパービジョンで扱われる課題は変化・深化していく。したがって、 今回報告する結果は、あくまでも限られた条件下で行われたスーパービジョンにおける結果であることを理解することが必要である。

〇今回のスーパービジョン実施前の自身の現状認識
スーパービジョンのモデル実施に係るアンケート(スーパーバイジー:キャリアコンサルタント用)内の、「今回のスーパービジョン実施前の自身の課題認識」15項目について、平均値を計算した。回答は、「1:うまくいっていない、2:あまりうまくいっていない、3:どちらでもない、4:ややうまくいっている、5:うまくいっている」の5件法で求めた。つまり、平均値が高いほど「うまくいっている」と認識している。

実施前の平均値が最も高い課題は関係構築(4.00)であり、倫理(3.79)、学習能力・学ぶ姿勢(3.63)、問題把握(3.54)、自己理解(3.33)が続いた。

キャリアコンサルタントとしての課題は4つに区分されるため、区分毎の平均値と標準偏差(SD)も計算した。区分毎の平均値は、自己評価(3.49)、カウンセリング・スキル(3.32)、カウンセリングのプロセス評価(2.83)、ネットワーク・組織への働きかけ(2.56) の順に高い結果であった。

②―2今回のスーパービジョンに期待していたこと
スーパービジョンのモデル実施に係るアンケート(スーパーバイジー:キャリアコンサルタント用)内の、「スーパービジョンに期待していた事」15項目は期待していた項目に〇をつけるよう回答を求めた(複数回答可能)。選択した人数と、選択した人数の割合を計算した。

期待していた事の選択人数割合が最も高い課題は介入・介入評価(79%)であり、目標・方策の設定(71%)・プロセス構築(71%)、自己理解(67%)が続いた。

〇今回のスーパービジョン実施後の自身の課題解決
スーパービジョンのモデル実施に係るアンケート(スーパーバイジー:キャリアコンサルタント用)内の、「今回のスーパービジョン実施後の自身の課題認識」15項目について、平均値を計算した。回答は、「1:つながらなかった、2:あまりつながらなかった、3:どちらでもない、4:ややつながった、5:つながった、6:扱わなかった」の6件法で求めたが、「6:扱わなかった」のデータは除外した。つまり、平均値が高いほど「課題解決につながった」 と認識している。

実施後の平均値が最も高い課題は問題把握(4.80)であり、介入・介入評価(4.68)と情緒的気づき(4.68)は同水準であり、プロセス構築(4.67)と自己理解(4.67)が続いた。 キャリアコンサルタントとしての課題は4つに区分されるため、区分毎の平均値も計算した。区分毎の平均値は、カウンセリングのプロセス評価(4.64)、 自己評価(4.58)、カウンセリング・スキル(4.57)、ネットワーク・組織への働きかけ(3.81) の順に高い結果であった。

〇実施前の現状認識と実施後の課題解決の平均値比較
スーパービジョンのモデル実施に係るアンケート(スーパーバイジー:キャリアコンサルタント用)内の、「今回のスーパービジョン実施前の自身の課題認識」と「今回のスー パービジョン実施後の自身の課題認識」15項目について、平均値を比較し、事後と事前の平均値の差を計算した。

事後と事前の平均値の差が最も高い課題は介入・介入評価(2.14)であり、CL評価 (1.81)・意思決定支援(1.57)、目標・方策の設定(1.55)、プロセス構築(1.50)が続いた。

キャリアコンサルタントとしての課題は4つに区分されるため、区分毎の平均値を比較し、事後と事前の平均値の差も計算した。事後と事前の平均値の差は、カウンセリングのプロセス評価(1.81)が最も高く、カウンセリング・スキル(1.25)とネットワーク・組織への働きかけ(1.25)は同水準であり、自己評価(1.09)は低い結果であった。

〇今回のスーパービジョンに関する振り返り
スーパービジョンのモデル実施に係るアンケート(スーパーバイジー:キャリアコンサルタント用)内の、「本日のスーパービジョンに関する」10項目について、平均値を計算した。回答は、「1:そう思わない、2:あまりそう思わない、3:どちらでもない、4:ややそう思う、5:そう思う」の5件法で求めた。つまり、平均値が高いほど「そう思う」と認識している。

平均値が最も高い項目は自分の役に立った(4.96)であり、今後の確認ができた(4.83)、気持ちが軽くなった(4.79)、振り返りになった(4.67)、考えを整理できた(4.63)が続いた。

〇スーパービジョンに期待していたこと(具体例)
スーパービジョンのモデル実施に係るアンケート(スーパーバイジー:キャリアコンサルタント用)内の、フリーコメント「スーパービジョンに期待していたこと」について、 キャリアコンサルタントとしての課題区分に順じ、参考までに代表的な意見を集約した。

(つづき)Y.H

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

ICTの活用と次世代DXの推進2

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 ICT活用についての最終回です。ICTとは、情報通信技術を意味します。ICTの普及により、私たちの生活は各段に便利になりました。インターネットを使えば、世界中の情報をリアルタイムで簡単に手に入れることができますし、スマホを片手に家族や友達と手軽に連絡したり、音楽や映画を楽しむこともできます。このように、ICTは私たちの暮らしに溶け込み、より快適な楽しいいために欠かせないツールとなっています。 ◆次世代の校務DXの推進 統合型校務支援システムの整備率は年々上昇し、校務 の効率化に寄与してきましたが、多くの自治体ではシステ ムを自前サ …

『プロティアン・キャリア』 (田中研之輔 著)

キャリアコンサルタントに有用な記事を掲載しています。 このたび、田中研之助教授の著書『プロティアン・キャリア』を拝読いたしました。 本書で提唱されている「中高年の企業人としてのキャリアのあり方とその対応」は、キャリアコンサルタントとしてぜひ理解しておくべき重要な内容であると思料いたします。以下の原稿は、本書のポイントをまとめたもので、未読の方でも10分ほどで概要を把握できるように構成してあります。 はじめに:人生100年時代のキャリアの課題 田中研之輔氏の著書『プロティアン・キャリア』は、キャリアコンサルタントや働く人々に向けて、変化の激しい時代における新たなキャリア形成の在り方を提示していま …

わが国の国土交通行政の展開

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 国土交通省は、陸海空にわたる諸活動の基盤に関して、国土の総合的な利用と保全、社会資本の整合整備、交通政策の推進、観光立国の推進,、海上の安全の確保などを任務としています。これらの多岐にわたる取組みの目指すところは、安心・安全で豊かな自立し活力ある暮らしを可能にすることにより私達の暮らしを支えることといえます。今回は、国土交通行政の展開についてお話しします。 ◆東日本大震災からの復旧・復興の現状と対策 東日本大震災からの復旧・復興事業については、国土交通省の最優先課題の一つであり、一日も早い復興を目標に全力で取り組んできました。 そ …

海外進出日本企業で働く人々_中国_労使関係施策

昨今は海外進出している企業で働く日本人も多数います。彼らを取り巻く状況を知っていることもキャリアコンサルタントには有用なことです。今回は中国の労使関係施策についてお伝えします。 ■労使関係施策 (1)労使団体 労働組合(「工会」)の全国組織は、1925年に創設された「中華全国総工会(総工会)」(All China Federation of Trade Union:ACFTU)である。総工会は共産党の指導の下にあり、その影響が強く、総工会幹部は党・政府との間での異動や兼任があることから、資本主義国における政府と労働組合との関係とは、大きく異なっています。2001年に公布された「労働組合法(工会 …

no image

製造業を巡る現状と課題  ガイドラインの対象領域

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。 前回に続き、経済産業省製造産業局が2024年5月に公表した資料「製造業を巡る現状と課題について今後の政策の方向性」からスライド45ページ「ガイドラインの対象領域」について、詳細な解説をします。 (出典)経済産業省 016_04_00.pdf 図表の全体像 図表の上部には、「本ガイドラインでは、サービスチェーン、エンジニアリングチェーン、サプライチェーンの3つのチェーンを包含する、マニュファクチャリングチェーンを対象とする」と記されています。ここが、この図表の最も重要なメッセージです。 製造DXというと、多くの場合、工場内の生産設備、製造工 …