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実践編・応用編

日本における文化芸術立国の実現3

投稿日:2025年6月14日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

前回に続き、文化芸術立国についてお話します。世界各国は、近年文化芸術が有する創造性を社会の活性化に生かし、また、文化芸術を発信することによって、国の魅力を高めようとする戦略が見られます。文化庁においても「クール・ジャパン」とも称される現代の日本の文化のみならず、古くからの優れた伝統文化と併せて魅力ある日本の姿を発信することにより、世界における日本文化への理解を深めるための施策を推進しています

◆博物館・劇場等の振興

●博物館の振興
○博物館法改正と博物館の活性化
改正博物館法が令和5年4月、約70年ぶりの大幅な見直しとなり施行され、地域の活性化拠点としての博物館 の役割が改めて規定されたほか、博物館数の増加や設置主体の多様化等を受け、登録制度についても大きく見直されることとなりました。文化庁では今回の改正博物館法施行を契機として、5年間の経過措置期間(9年度末まで)を集中取組期間として設定しています。これに伴い、5年度は、新法における博物館登録等の意義や実務上の手続きについての勉強会の実施、会員制度やクラウドファンディングなど経営基盤強化に係る調査研究、今後求められる学芸員の資質の獲得と向上を目的とした新しい研修の開催等を実施したところです。
(出典)文部科学省 令和5年版 文部科学白書

○美術品補償制度
美術品損害の補償に関する法律に基づいて、展覧会のために海外等から借り受けた美術品に損害が 生じた場合にその損害を政府が補償する「美術品補償制度」が設けられています。この制度の創設以来、令和6年 4月末現在で51件の展覧会が美術品補償制度の対象になっています。美術品補償制度によって、展覧会の主催者の保険料負担が軽減され、広く全国で優れた展覧会が安定的・継続的に開催されることが期待されています。 また、「海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律」によって、従来は強制執行等の禁止措置が担保されていないために借り受けることが困難であった海外 の美術品等を公開する展覧会の開催が可能となっています。

○国立美術館
国立美術館では、東京国立近代美術館、国立工芸館、京都国立近代美術館、国立映画アーカイブ、国立西洋美術館、国立国際美術館、国立新美術館を設置しています。各国立美術館は、それぞれの特色を生かしつつ、連携・協力 して、美術作品の収集・展示、教育普及活動やこれらに関 する調査研究を行うとともに、我が国の美術振興の拠点と して、国内外の研究者との交流、学芸員の資質向上のため の研修、公私立美術館に対する助言、地方における巡回展等を行っています。また、国内外の美術館、研究機関を はじめ関係者と連携・協力し、アート振興の基盤整備及び 国際発信と持続的な発展に寄与するため、令和5年3月に 国立アートリサーチセンターを設置しました。令和5年度に開催した主な展覧会としては「ガウディと サグラダ・ファミリア展」(東京国立近代美術館)、「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川 ―麗しき美の煌めき― 」(国立工芸館)、「開館60周年記念 京都画壇の青春―栖鳳、松園につづく新世代たち」(京都国立近代美術館)、 「パリポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命  ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」(国立 西洋美術館)、「ホーム・スイート・ホーム」(国立国際美 術館)、「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」(国立新美術館)などが挙げられます。そのほか、国立映画 アーカイブは、「逝ける映画人を偲しのんで2021-2022」の上映などを行いました。
令和5年度の国立アートリサーチセンターにおける主な 取組としては、欧州、米国、アジアの国立美術館長らを登壇者として設立記念シンポジウム「ナショナル・アート ミュージアムのいま」を開催したほか、日本のアーティス トに特化した「日本アーティスト事典(Dictionary of Artists in Japan)」(通称DAJ)(日英2か国語)をオンライン公開しました。また、主に発達障害のある方とその家 族に向けた、やさしい文章と写真による来館案内冊子 「ソーシャルストーリー」を、国立美術館7館分作成し、ウェブサイトに掲載しました。
(出典)文部科学省 令和5年版 文部科学白書

○国立科学博物館
国立科学博物館は、国立で唯一の総合科学博物館であり、自然史、科学技術史に関する調査・研究、標本・資料 の収集・保管とその継承を進めるとともに、調査研究の成果や標本・資料を生かして展示や学習支援活動を実施しています。令和5年度は、展示活動については、多様な機関との連携・協力を図りながら、内容や手法等を工夫した多彩で魅力的な展示を実施するとともに、今後の常設展示の改修について引き続き検討を進めました。 特別展については、「恐竜博2023」、「海―生命のみなもと―」、「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」、「大哺乳類展3-わけてつなげて大行進」を、企画展については、「科博の標本・資料でたどる日本の哺乳類学の軌跡」、 「震災からのあゆみ -未来へつなげる科学技術-」等を開催しました。さらに、令和3年度に巡回を開始した巡回 展「WHO ARE WE」や「ポケモン化石博物館」の巡回 を引き続き実施しました。 学習支援活動については、未就学児から成人まで幅広い世代に自然や科学の面白さを伝え共に考える機会を提供す る講座や全国41地域の博物館・教育委員会と協働した 「教員のための博物館の日」等を実施しました。 また、遠隔地の方でも自宅から博物館体験ができる「おうちで体験!かはくVR」の拡充やバーチャル企画展「電子楽器の創造展」の開催、研究者による研究解説や展示解 説のYouTube等によるオンデマンド動画配信及びライブ 配信等、多様なコンテンツを公開して、研究成果発信と所 蔵標本・資料の活用を推進しました。 さらに、開園40周年を迎えた筑波実験植物園では、世界で最も大きな花の一つであるショクダイオオコンニャク の開花等により、初めて年間来園者が10万人を超えました。

■文化と経済の好循環の創出
国・地方公共団体・企業・個人が文化への戦略的投資を拡大し、文化を起点に産業等他分野と連携し、創出された新たな価値が文化に再投資され、持続的に発展する「文化 と経済の好循環」を目指し、平成29年12月に「文化経済戦略」を策定しました。さらに、この戦略推進のための主要施策の内容や目標等を明らかにした「文化経済戦略アクションプラン」を30年8月に策定し、関係府省庁と緊密 に連携しながら文化経済戦略を推進していきます。また、 文化審議会に設置した文化経済部会の報告書(令和4年3 月)を踏まえ、5年度は、我が国におけるアートの持続的 な発展を支えるシステム(アートエコシステム)の構築や美術品(近現代分野)の鑑定評価における価格評価事業者 認定制度等について議論しました。今後、更に議論を進め 「文化と経済の好循環の創出」に向けた具体的な取組を進めていきます。

■芸術家等の活動基盤強化
我が国の文化芸術活動の持続可能な発展を図るためには、文化芸術の担い手である芸術家等が専念して活動できるよう活動基盤の強化が必要です。文化庁では、令和4年7月に「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイ ドライン(検討のまとめ)」を公表し、取引の適正化の促進等の観点から契約において明確にすべき事項等や契約書 のひな型等について示しした。また、適正な契約関係の構築に向けた実効性確保のための方策として、芸術家等が適正な契約関係構築等のために必要な知識を身につけられ る研修会を実施しているほか、契約や活動に関係して生る疑問やトラブルについて弁護士が無料で相談に対応する 相談窓口の開設等を行うなど、文化芸術関係者の活動環境の改善に向けた取組を進めています。
(出典)文部科学省 令和5年版 文部科学白書

■グローバル展開の推進
文化芸術と経済の好循環の実現に当たっては、主として 国内のみを前提とした取組を超え、世界とつながり、国際的に訴求する文化芸術コンテンツを創造するとともに、海外における文化的・芸術的評価の価値軸を十分に踏まえた 戦略的な文化発信が必要となります。このため、日本文化 の戦略的な発信やグローバル展開を進め、文化芸術を通じた諸外国との相互理解の促進及び国家ブランド構築への貢献を図ります。具体的には、トップレベルのアーティスト等を発掘しグローバルに活躍するための総合的な支援、国 内外で開催する国際共同制作による公演等への支援、活コンテンツ、映画等の海外展開に対する支援等を行いま す。 特に、我が国のアート市場は世界のアート市場規模に比 して小規模にとどまっていることから、我が国のアート市 場の活性化とその持続的発展を可能とするよう、文化審議 会文化政策部会に設置したアート市場活性化ワーキンググ ループの提言(令和3年3月)や文化経済部会アート振興 ワーキンググループの提言(4年3月)等を踏まえ、5年 3月に国立美術館に設立された国立アートリサーチセン ターとも連携しながら、必要なシステム形成の方策につい て、具体的な検討を進めています。加えて、我が国をアー トの国際発信拠点とする取組として、国際的なアートフェ ア誘致を目指した我が国のアートシーンの国際発信や国際 的なイベントにおけるアートの国際発信等を推進します。 また、世界で活躍する新進芸術家等を育成するため、美 術、音楽、舞踊、演劇等の分野において研修・発表の機会 を提供しています。特に、「新進芸術家海外研修制度」で は、昭和42年以来、新進芸術家等が海外の大学や芸術団 体等で研修を受け、これまで多数の優秀な芸術家等を輩出 しています。
(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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