キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

実践編・応用編

活躍しているキャリアコンサルタントからの近況や情報

投稿日:2025年8月8日 更新日:

このコーナーは、テクノファキャリアコンサルタント養成講座を卒業され、現在日本全国各地で活躍しているキャリアコンサルタントの方からの近況や情報などを発信しています。今回はS.Sさんからの発信です。「イジメ問題」は、今や深刻な社会問題です。社会的に注目が集まっていることもあって、学校教育現場におけるイジメの発覚については特に神経質になっているようです。。

ー「文化的盲点の反映としてのイジメ」ー
「イジメ問題」は、今や深刻な社会問題です。社会的に注目が集まっていることもあって、学校教育現場におけるイジメの発覚については特に神経質になっているようです。

イジメはいけない! イジメを許さない! イジメをなくそう!と様々なスローガンが謳われ、それぞれの地域でイジメの根絶に向けた動き発が活化しています。
しかし、イジメ問題を根絶やしにするためには、「いったい何を以てイジメと認識するのか」が明確でなくてはならないはずなのですが、意外なところに盲点がありまし。このことが理解されないかぎり、いつまで経っても改善が難しいかもしれません。

というのは、日本という国に以前から染み着いている文化的傾向の中に、未だイジメと認識できていない要素を見つけることができるからです。
日本人は「ジョーク」と「ユーモア」の区別がないと言われています。これらは、おそらく多くの方々が違和感のないまま誤認識していると思われますが、じつは両者の間には、まったく対照的な意味の違いがあります。

まず、「ジョーク」とは、自分たち以外の誰かが失敗した際に、それを指さしてあざ笑う行為のことです。つまり、「あの慌てた顔ったらなかったよな・・」とか、「あいつが、まさに○○だったりして・・」というような皮肉を以て、笑い者にすることを言います。
それに対して「ユーモア」は、あえて自分自身の失敗談を開示することによって、周囲の笑いを誘う意図的な行為のことだと言われます。ユーモアは、立場や上下関係の枠を超え、場の緊張を和らげ、さらに相手の警戒心を軽減する意味でスムースな出会いに繋がる暖かな雰囲気を演出します。

日本では、これらが混同され、我々キャリアコンサルタントも同じような意味として誤認しているのではないと思われます。
たしかに「どっきりカメラ」などに代表されるジョーク的な娯楽番組では、「やりすぎではないか」と、どこか良心の呵責的な罪の意識を感じたりします。
それに比べて、ユーモアを表現できる人の場合には、「おもしろい人だな・・・」、「気さくな人柄だな・・」と喜ばれることが多いものです。ドイツでは、誰かを指してあざ笑う行為を「シャーデンフロイデ(野卑な笑い)」と呼んで忌み嫌い、精神的な未熟さや性格的な歪みをも意味する言葉として使われているそうです。

さて、これをイジメ問題を当てはめるならば、いわゆる傍観者たちは、いったいどのような心情で事態の成り行きを観ているでしょうか。加害者対被害者という単純な図式だけでは語れない妙な娯楽的な要素が入り混じり、まるで悪ふざけをしながら遊んでいるかのように見えてしまうかもしれません。
自分が次のターゲットにされないために、加害者側に在る自分をさりげなく演出しているようにも思えます。イジメは大人の社会でも観られる排他的な行為ですが、被害を受けている側もまた、自分がイジメに遭っている事実を認めたくないという想いから、無理をしながらでもなお、笑顔を保ち続けるものです。

こういった状況を傍観者たちが娯楽と感じるか、それともイジメと認識するかは、それぞれの主観に拠るのでしょうが、少なくとも我々が「困っている様子」を観て愉快だと感じてしまうのであれば、すでにその時点で何かが狂っており屈折した認知の歪みがあるのかもしれないということなのです。
このことは決して子どもだけの問題ではありません。子どもを取り囲む文化そのものにメスを入れなくてはならないでしょうし、そもそも「おもしろい」と感じてしまう「感じ方」自体に敢えて疑問を持つ必要があるではないでしょうか。

次はM.Iさんからの発信です。

企業からのキャリアコンサルタントへの相談案件の一つである【評価】を巡るものが増加傾向にあります。

主な相談内容は
*評価結果がマンネリ化している
*評価に対する納得感が得られない
*それぞれの評価にバラつきが見られる
といったことがあります。

いずれにしても、する側も、される側も、評価そのものの必要性は感じているものの、どのようにすればいいのかについて不安や迷いを感じている方が多いようです。

先日ある企業から依頼された評価者向けの2時間の研修では、以下のような項目についてお話しました。
【1】評価の目的を明確にする
【2】評価項目の意味を定義し、理解する
【3】フィードバックのやり方を工夫する
それぞれについて簡単に触れさせていただくと以下のようになります。

【1】評価の目的を明確にする
一般的には半年か一年ごとに評価が行われることと思いますが、時間軸のどこに焦点をあてるかによって、評価される人に与える影響が変わってくるのではないかと考えています。

*能力、仕事ぶりを評価する場合
これまでの実績をもとに評価することになります。やってきた結果を評価することになるので、評価される人にとっては、結果責任を問われる感覚になるのではないでしょうか。
「過去」に焦点をあてて評価すると考えることもできると思います。
過去のことですので、これから挽回することはできない部分になります。
その際、人事考課と結びついていく場合は、評価そのものが「ノルマ」や懲罰的なものとして受け取られそうです。

*個人の課題について明らかにする場合
現時点での仕事ぶりを確かめ、今の状態で目標達成に繋がるのかについて確認することになります。
課題を明確にすることで具体的な行動変容・改善に繋ぐこともできそうです。
「現在」に焦点をあてた評価であり、すぐ行動に移すことも可能で、結果にも結びつきやすくなるのでは無いでしょうか。

*目指す人材像に合わせ能力開発につなぐ場合
この場合は「将来」に焦点をあてて評価することになります。
今後の仕事上の目標や成長の方向性、キャリア目標を考えるきっかけにもなります。
これから目指す人材像に近づくために、個人がどのように努力し企業はどのように支援していくのかの話し合いもできるでしょう。
評価することがキャリア開発につながっていくのではないでしょうか。

【2】評価項目の意味を定義し、理解する
評価については公平さ、公正さが求められますが、実際には評価のバラつきや中心化傾向などが出て不満感を感じる人も多いようです。
評価者はそれぞれの「ものさし」を持っており、評価項目に対する受け取り方も異なります。私は評価項目について評価者間で話し合い、共通理解を深めていくことが重要だと思っています。

中央職業能力開発協会の職業能力評価基準にはそれぞれの項目と行動を対比した「判定目安表」があり、このようなツールを参考にしながら語り合っていくことで「共通のものさし」づくりに繋がるのではないかと思っています。

【3】フィードバックのやり方を工夫する
評価に対する納得感を高めるためには、結果のフィードバックが欠かせません。
適切なフィードバックを実施することで、個人の仕事上の課題や目標を明確にし、個人と組織が共通の目標達成に向け具体的に行動していくことが可能になると思っています。

フィードバックの質を高めるために、評価者の面接力を高める施策にも是非取り組んでいただきたいと考えています。
ご相談いただいた企業の方々と、上記のようなことについて話し合いや検討を重ねながら、私なりにキャリアコンサルタントとして「個人と組織の共生」を進めていけるよう日々取り組んでいきたいと思っています。

(つづく)K.I

 

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

海外進出企業で働く人々_インド_保険医療関連施策 

インドの社会保障制度の2回目です。インドの人口は、中国を追い越して世界1位となりました。また30歳未満の人口が多いことから、今後も生産人口は増加する見込みです。I Tなどの分野で、高度な人材資源を多く有している事も有名です。ただ、インドは歴史、宗教による独自の文化があり、またビジネス慣習も日本とは異なります。そんな中で、インドへ進出している日本企業は約1,400社です。キャリアコンサルタントが日本企業で働く人とコンサル業務でかかわる事も多くなっています。 ■基本的な保健医療関連施策 2017年に公表された三か年行動計画では、保健予算を2015年度の約5,400億円(政府支出の1.7%)から20 …

海外進出日本企業で働く人々_スウェーデン_労働施策 3

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、スウェーデンの労働施策の3回目です。スウェーデンは、「北欧の中の日本」と言われるほど両国の国民性には幾つかの共通点があります。例えば、几帳面で真面目・シャイな我慢強い性格のところです。また、グループ内の和の尊重や謙虚さも日本人に通じるところがあります。社会保障制度が手厚い北欧諸国の中でも、スウェーデンは特に育児に対する支援が手厚く、子供の大学までの教育費や18歳までの医療費が無料で、育児休暇などの制度も充実しています。スウェーデンに進出している日系企業の拠点数は、約160社です。なお、2024年3月に北大西洋条約機構( …

今後の日本の経済社会の構築3

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、経済の社会の構築について、お話しします。今後の日本経済は、より高い製品開発能力を獲得し、製品の付加価値を高めながらアジアを中心とする諸外国との経済分業の下で、互恵的な経済社会の発展を追及していくことが基本的な方向です。 ◆総合的・一体的な物流施策の推進 ■物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化 総合物流施策大綱の1つ目の柱として、「①物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素で滑らかな物流)」を掲げています。これまで生産性向上等の観点からその必要性が認識され …

日本企業のHRの現状:経営戦略との距離感  

製造業を巡る現状と課題  日本企業のHRの現状:経営戦略との距離感 キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。 前回に続き、経済産業省製造産業局が2024年5月に公表した資料「製造業を巡る現状と課題について今後の政策の方向性」からスライド20ページ「日本企業のHRの現状:経営戦略との距離感」について、踏み込んだ視点から、背景・構造・課題・海外比較を交えて解説します。 (出典)経済産業省 016̠04̠00.pdf ◆ 1.背景:なぜ「HRの戦略貢献」が注目されるのか 近年、企業経営において「人材」は単なるリソースではなく、競争優位の源泉と認識されつつあります。とくにDX(デジタルト …

海外進出日本企業で働く人々_韓国_社会保障

近年、日本の会社は製造業を中心に海外進出を急速に進めています。すでに進出のピークは過ぎていると思われますが、キャリアコンサルタントが海外進出の日本企業で働く人と接触する機会はどんどん増加しています。今回は韓国の産業界の事情をお話ししようと思います。私は2000年以降5回韓国を訪問していますが、年々産業界の競争力が上がっていることに驚きをもっています。 韓国で今大きな課題となってるものは、日本でも問題になっている少子化です。急速な少子高齢化に伴う人口構造の変化への対応が急務となってきています。少子化は、2021年の合計特殊出生率が0.81と1970年の出生統計開始以来の低水準を記録し、OECD加 …