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実践編・応用編

組織視点を組み込んだキャリアコンサルティングの役割り拡大

投稿日:2026年3月30日 更新日:

キャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、組織視点を組み込んだキャリアコンサルティングの役割り拡大に対応するスーパービジョンについて説明します。

はじめに
キャリアコンサルティングの活動は時代とともに変化し、その役割りを拡大してきた。従来、キャリアコンサルティングの活動は、主として心理カウンセリングの延長として位置付けられ、(心理)カウンセリングアプローチがクライアントとの面談で主として採用され、それが現在も活用されている状態であるともいえる。それ故、キャリアコンサルタントの研鑽の場であるスーパービジョンも、このカウンセリングアプローチが主として採用され、面談のスキル、クライアントに向き合う姿勢や対応などがスーパービジョンの対象となっている。しかし、キャリアコンサルタントの役割りは面談実施にとどまらず、キャリア開発やキャリア形成に対応した現場での支援、クライアントの所属する職場への支援や介入、クライアントのキャリア開発・形成などに対して、クライアントの特性に応じた合理的配慮をベースとした人事部門への提案、組織のキャリア開発の制度とその運用を円滑に機能させるための取り組みや仕組み作りを通した人事部門との協業など、組織の視点を組み込んだ新たな役割が次々と付加され、それに対応した面談を実施することに加え、多様な組織視点を組み込んだ活動を対象にしたスーパービジョンの実施が重要となってきている。

このような問題意識をもとに、これからのキャリアコンサルタントがカバーすべき、組織視点を組み込んだ新活動領域を明示し、それに対応したキャリアコンサルタントに対する新たなスーパービジョンの必要性を提起する目的でまとめられている。しかしながら、キャリアコンサルタントが活動する領域はここで明示する活動領域にとどまらない。組織視点で対応すべきキャリアコンサルタントの活動は多岐に渡っており、その多様な活動に求められる能力・技術の拡大や向上、多様な特性を持ったクライアントの成長やチャンス作りに対する対応、キャリアコンサルタントの姿勢、生涯に渡って学び続ける努力など、ここでは補いきれなかった様々な課題も存在し、それをどのようにスーパービジョンに組み込むかなど、まだまだ検討の余地も残っている。
今後、この領域に加えた他の活動領域もカバーし、それを基に基本領域を確定し、そのためのスーパービジョンの内容を構築していくことも当然必要であろう。

キャリアコンサルタントの役割りの拡大
年代ごとの職業能力開発基本計画の流れと歴史的にみた活動の拡大をまとめている(When)。そしてその延長として組織の視点を組み込んだキャリアコンサルタントの役割りとして、セルフ・キャリアドックとキャリア自律に対応した組織の多様な支援活動をまとめている(What).
第二節では、(1)新たなキャリアコンサルタントの個人に向けた支援活動として、従来の悩みや不安に対する心の支援から、個人のキャリア開発を通した成長や、キャリア形成を通じたライフキャリアにおけるキャリア充実などを重要な支援活動領域とすべきことを提起している。具体的には(4)キャリアコンサルティングの対象者、支援者としてまず、心の問題を抱えたクライアントから、キャリア開発・形成に向けて一歩踏み出すことに関心をもつクライアント(Whom)としている。言い換えるなら、クライアントが抱える主たる課題を、キャリア構築に際しての心の悩みに加え、具体的な仕事作り、組織の中での役割や居場所作り、そしてライフキャリアにおけるキャリア充実も新たな重要課題としている。それに対応するプロフェッショナルをキャリアコンサルタント(Who)として位置付けている。それ故この支援の対象として、キャリア開発、キャリア充実、モチベーション開発、現場における成長やチャンス作り(What)などが重要なのである。また、(3)支援の対象として、キャリア開発、キャリア充実、モチベーション開発を通してクライアントの成長に向き合う(What)ことの重要性を提起している。また、それに対応する手法やスキルとしては(How)、一歩の踏み出し支援・キャリア開発の具体的な支援が重要となる。それらの(2)活動の場を実践する場(Where) として仕事の現場活動が重要という立場を貫いている。この一節・二節において、新しいキャリアコンサルタントの活動領域をWhat(第一節のWhatは組織視点、第二節のWhat は個人視点). When(どのような時代の変化とともに活動が変化し)、Who & Whom(どのような問題意識をもったキャリアコンサルタントがどのような期待や要望を持っているクライアントに向き合い)、Where (どのような場を通じて)、How(いかなる活動を実践していくのか)という5W1Hの視点でまとめている。

(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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