キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

国家試験

多様で柔軟な働きかたをかなえるフレックスタイム制

投稿日:2026年4月29日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っているべき働き方改革に関連する法律としてテレワークがあります。キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りのある、働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたをかなえる制度・施策について、フレックスタイム制について、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署働き方改革関連法解説(https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf)を参考に説明します。

000611834.pdf

フレックスタイム制は、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることによって、生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができる制度です。先に働き方改革関連法について説明した際に労働基準法の改正項目にフレックスタイム制の拡充が含まれていることに触れ、法改正により労働時間の調整を行うことができるフレックスタイム制の清算期間の上限が、1か月から3か月に延長されたことは説明しましたが、今回は具体的にフレックスタイム制について説明します。

フレックスタイム制とは
フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。
■フレックスタイム制のメリット
・フレックスタイム制のもとでは、あらかじめ働く時間の総量(総労働時間)を決めた上で、日々の出退勤時刻や働く長さを労働者が自由に決定することができます。
・労働者にとっては、日々の都合に合わせて、時間という限られた資源をプライベートと仕事に自由に配分することができるため、プライベートと仕事とのバランスがとりやすくなりました。
・フレックスタイム制の導入によって、労働時間を効率的に配分することが可能となり、労働生産性の向上が期待できます。また仕事と生活の調和を図りやすい職場となることによって、労働者に長く職場に定着してもらえるようになるなど、使用者にとってもメリットがあります。

■フレックスタイム制の基本的なルール
Point1導入要件:就業規則等への規定と労使協定の締結が必要です。
(ⅰ)就業規則等への規定
就業規則等に、始業・終業時刻を労働者の決定に委ねることを定めてください。
(ⅱ)労使協定で制度の基本的枠組みの他、所定の事項を定めること
①対象となる労働者の範囲
②清算期間
③清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)
④標準となる1日の労働時間
⑤コアタイム(※任意)
⑥フレキシブルタイム(※任意)
Point2 導入に当たっての留意事項①:フレックスタイム制を導入した場合には、時間外労働に関する取り扱いが通常とは異なります。
・フレックスタイム制を導入した場合には、労働者が日々の労働時間を自ら決定することになるため、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて労働しても、ただちに時間外労働とはなりません。逆に、1日の標準の労働時間に達しない時間も欠勤となるわけではありません。
・フレックスタイム制を導入した場合には、清算期間における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働となります。
(なお、時間外労働を行わせるためには、36協定の締結が必要です。)
Point3 導入に当たっての留意事項②:フレックスタイム制を導入した場合には、清算期間における総労働時間と実労働時間との過不足に応じた賃金の支払いが必要です。
・フレックスタイム制を採用した場合には、清算期間における総労働時間と実際の労働時間との過不足に応じて、賃金の清算を行う必要があります。
・フレックスタイム制は始業・終業時刻の決定を労働者に委ねる制度ですが、使用者が労働時間の管理をしなくてもよいわけではありません。

改正内容
法改正によって、清算期間の上限が3か月に延長され、月をまたいだ労働時間の調整により柔軟な働き方が可能となりました。
Point1 フレックスタイム制の清算期間の上限が3か月に延長されました。
・これまでは、1か月以内の清算期間における実労働時間が、あらかじめ定めた総労働時間を超過した場合には、超過した時間について割増賃金を支払う必要がありました。一方で実労働時間が総労働時間に達しない場合には、欠勤扱いとなり賃金が控除されるか、仕事を早く終わらせることができる場合でも、欠勤扱いとならないようにするため総労働時間に達するまでは労働しなければならない、といった状況もありました。
・清算期間を延長することによって、2か月、3か月といった期間の総労働時間の範囲内で、労働者の都合に応じた労働時間の調整が可能となりました。
Point2 清算期間が1か月を超える場合でも、繁忙月に偏った労働時間とすることはできません。
・清算期間が1か月を超える場合には、
(ⅰ)清算期間における総労働時間が法定労働時間の総枠を超えないこと(=清算期間全体の労働時間が、週平均40時間を超えないこと)に加え、
(ⅱ)1か月ごとの労働時間が、週平均50時間を超えないことを満たさなければならず、いずれかを超えた時間は時間外労働となります。
Point3 清算期間が1か月を超える場合には、労使協定の届出が必要です。
(ⅰ)就業規則等への規定
(ⅱ)労使協定で所定の事項を定めること
(ⅲ)労使協定を所轄労働基準監督署長に届出
(つづく)A.K

-国家試験

執筆者:

関連記事

多様な働き手の参画 4

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 多様な働き手の参画の最終回です。労働参加率の向上について、特に期待されるのは女性、高齢者等の多様な働き手の労働参加です。我が国において、出産や育児による離職は女性の労働参加に大きな影響を与えていると考えられています。そのため、女性が子供の成長に合わせて柔軟な働き方に変えていくことが必要です。 また、高齢者の労働参加率は他国の平均より高い水準にあります。一方で、年齢に関わりなく元気である限り、働きたいと考える高齢者への対応はより重要であると考えられます。 ■二国間の協定等に基づく外国人看護師候補者及び介護福祉士候補者の受入れ 経済連 …

「労働安全衛生法」の改正項目を説明します

キャリアコンサルタントのキャリアコンサルティング業務に係る法律についてです。近年の働き方改革における種々の取り組みの一環としてで、働き方改革関連法で改正されましたが、その中の一つである「労働安全衛生法」の改正項目を説明します。キャリアコンサルタントには必須な労働法規の最新情報ということになります。 【労働安全衛生法】 改正項目 産業医の誠実な職務遂行、産業医への必要な情報提供が新設された。 産業医に対し労働者の労働時間その他、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供することが新設された。 事業者が勧告を受けたときは、勧告の内容などを衛生委員会又は安全衛生委員会に報告する義務 …

多様で柔軟な働きかたをかなえる制度(短時間勤務制度)

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りがある、働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたをかなえる制度・施策について今回は短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置)について説明します。 キャリアコンサルタントには大切な知識です。 000611834.pdf 短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする制度です。「短時間勤務制度」は、少子化問題への対策のために設けられた制度で、家庭と仕事を両立できる制度として導入されました。2009年には育児・介護休業法の改正により短時間勤務制度の導入が各事業主に義務づけられ、2012年7月には、それまで猶予されていた100 …

2級キャリアコンサルティング技能検定の合格レベル2

2級コンサルティング技能士検定の試験について前回の続きです。前回も説明しましたが、実技(面接)試験の詳細についてお話しします。 面接試験は、口ールプレイ形式の面接20分と、その後の口頭試問10分で構成されています。 ■試験官2名の前で口ールプレイ形式の面接を行う 面接試験は、まず、ロールプレイ形式で始まります。試験官2名を前に、相談者役の人と20分間の面接を行います。相談者候補の相談内容、簡単なプロフィールなどの相談ケースは、受検票などと一緒に送られてきます(送られた5ケース の中から1ケース出題されます)。当日どのケースの相談者と面接をするかは、面接室に入るまでわかりません。面接室に入った後 …

事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン2

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りがある、働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたを可能にする制度・施策を説明してきました。続いて前回は様々な事情を抱えて、多様で柔軟な働きかたを必要としている、これまで説明してきた制度・施策の対象者である働く人たち、その人たちを具体的に支援する立場にある支援者やキャリアコンサルタントなどに対して必要な情報を提供している厚生労働省のサイトのひとつ「治療と仕事の両立支援ナビ」の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」 000492961.pdfについて説明します。 ● 両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項) …