キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りのある、働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたをかなえる制度・施策に関して、今回は、高度プロフェッショナル制度について説明します。先に働き方改革関連法による労働基準法の改正項目の中に高度プロフェッショナル制度の創設が含まれていることは説明しましたが、今回はこの高度プロフェッショナル制度について、具体的に厚生労働省資料(https://www.mhlw.go.jp/content/000497436.pdf)を参考に説明します。
高度プロフェッショナル制度とは、高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者を対象として、労使委員会の決議及び労働者本人の同意を前提として、年間104日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況 に応じた健康・福祉確保措置等を講ずることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度です。
キャリアコンサルタントはよく知っている必要があります。
■制度の適用について
1 対象労働者には、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び割増賃金に関する規定が適用されません。
2 対象労働者には、始業・終業時刻が指定されないなど、働く時間帯の選択や時間配分について自らが決定できる広範な裁量が認められます。
3 対象労働者は、一定の年収要件を満たし、高度な専門的知識等を要する業務に就く人に限定されます。
■制度導入に当たっての留意点
1 労使委員会による決議、所轄労働基準監督署長への決議の届出、労働者 本人の同意等の手続が必要です。
2 対象労働者の健康を確保するため、①健康管理時間の把握、②休日の確保、③選択的措置、④健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を確実に実施することが必要です。
3 対象労働者に対し、上記①~③の措置を実施していない場合は、高度プロフェッショナル制度が適用されなくなります。
4 高度プロフェッショナル制度を導入する全ての事業場は、法令及び決議に基づき制度を厳格に運用する必要があります。
■制度の運用
Point1高度プロフェッショナル制度の対象となる範囲
対象労働者
1.使用者との間の合意に基づき職務が明確に定められていること
使用者は、次の①~③の内容を明らかにした書面に労働者の署名を受けることにより、職務の範囲について労働者の合意を得なければなりません。①業務の内容、②責任の程度、③求められる成果
2.使用者から確実に支払われると見込まれる1年間当たりの賃金の額が少なくとも1,075万円以上であること
3.対象労働者は、対象業務に常態として従事していることが原則であり、対象業務以外の業務にも常態として従事している者は対象労働者とはならないこと
対象業務
1.対象業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものではないことが必要です。
2.具体的な対象業務は以下のとおりです。
①金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
②資産運用(指図を含む。以下同じ。)の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務
③有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務
④顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務
⑤新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務
Point2 高度プロフェッショナル制度の導入の流れ
ステップ1 労使委員会を設置する
○ 労使委員会の要件
・労働者代表委員が半数を占めていること
・委員会の議事録が作成され、保存されるとともに、事業場の労働者に周知が図られていること等
ステップ2 労使委員会で決議をする
○ 決議の要件
・ 委員の5分の4以上の多数による決議
○ 決議すべき事項
1 対象業務
2 対象労働者の範囲
3 対象労働者の健康管理時間を把握すること及びその把握方法
4 対象労働者に年間104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与えること
5 対象労働者の選択的措置
6 対象労働者の健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置
7 対象労働者の同意の撤回に関する手続
8 対象労働者の苦情処理措置を実施すること及びその具体的内容
9 同意をしなかった労働者に不利益な取扱いをしてはならないこと
10その他厚生労働省令で定める事項(決議の有効期間等)
ステップ3 決議を労働基準監督署長に届け出る
ステップ4 対象労働者の同意を書面で得る
○ 使用者は、次の①~③の内容を明らかにした書面に労働者の署名を受けることにより、労働者の同意を得なければなりません。①同意をした場合には労働基準法第4章の規定が適用されないこととなる旨 ②同意の対象となる期間
③同意の対象となる期間中に支払われると見込まれる賃金の額
ステップ5 対象労働者を対象業務に就かせる
○ 運用の過程で必要なこと
1対象労働者の健康管理時間を把握すること
2対象労働者に休日を与えること
3対象労働者の選択的措置及び健康・福祉確保措置を実施すること
4対象労働者の苦情処理措置を実施すること
5同意をしなかった労働者に不利益な取扱いをしないこと等
ステップ6 決議の有効期間の満了(継続する場合は2へ)
Point3高度プロフェッショナル制度の対象労働者の健康確保措置
・使用者は、高度プロフェッショナル制度の対象労働者に対して、①健康管理時間の把握、②休日の確保、③選択的措置、④健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置を実施しなければなりません。
①健康管理時間の把握
健康管理時間(事業場内にいた時間+事業場外で労働した時間)をタイムカードやパソコンの使用時間等により客観的に把握しなければなりません。
②休日の確保
年間104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与えなければなりません。
③選択的措置
次のいずれかに該当する措置を決議で定め、実施しなければなりません。
1.勤務間インターバルの確保 (11時間以上)+深夜業の回数制限(1か月に4回以内)
2.健康管理時間の上限措置(1週間当たり40時間を超えた時間について、1か月について100時間以内又は3か月について240時間以内とすること)
3.1年に1回以上の連続2週間の休日を与えること(本人が請求した場合は連続1週間×2回以上)
4.臨時の健康診断(1週間当たり40時間を超えた健康管理時間が1か月当たり80時間を超えた労働者又は申出があった労働者が対象)
④健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置
次の措置のうちから決議で定め、実施しなければなりません。
1.「③選択的措置」のいずれかの措置(上記③において決議で定めたもの以外)
2.医師による面接指導
3.代償休日又は特別な休暇の付与
4.心とからだの健康問題についての相談窓口の設置
5.適切な部署への配置転換
6.産業医等による助言指導又は保健指導
(つづく)A.K