キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りがある、働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたを可能にする制度・施策を説明してきました。続いて前回は様々な事情を抱えて、多様で柔軟な働きかたを必要としている、これまで説明してきた制度・施策の対象者である働く人たち、その人たちを具体的に支援する立場にある支援者やキャリアコンサルタントなどに対して必要な情報を提供している厚生労働省のサイトのひとつ「治療と仕事の両立支援ナビ」の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/dl/guideline.pdfについて説明しています。
前回の続きから説明します。
4 両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項)
(1)事業者による基本方針等の表明と労働者への周知
基本方針や具体的な対応方法等の事業場内ルールを作成し、全ての労働者に周知することで、両立支援の必要性や意義を共有し、治療と仕事の両立を実現しやすい職場風土を醸成する。
(2)研修等による両立支援に関する意識啓発
治療と仕事の両立支援を円滑に実施するため、当事者やその同僚となり得る全ての労働者、管理職に対して、治療と仕事の両立に関する研修等を通じた意識啓発を行う。
(3)相談窓口等の明確化
労働者が安心して相談・申出を行えるよう、相談窓口、申出が行われた場合の当該情報の取扱い等を明確にする。
(4)両立支援に関する制度・体制等の整備
ア 休暇制度、勤務制度の整備
短時間の治療が定期的に繰り返される場合、就業時間に一定の制限が必要な場合、通勤による負担軽減のために出勤時間をずらす必要がある場合などがあることから、以下のような休暇制度、勤務制度について、検討、導入し、治療のための配慮を行うことが望ましい。
①休暇制度
【時間単位の年次有給休暇】
労働基準法に基づく年次有給休暇は、1日単位で与えることが原則であるが、労使協定を結べば、1時間単位で与えることが可能(上限は1年で5日分まで)。
【傷病休暇・病気休暇】
事業者が自主的に設ける法定外の休暇であり、入院治療や通院のために、年次有給休暇とは別に休暇を付与するもの。
②勤務制度
【時差出勤制度】
事業者が自主的に設ける勤務制度であり、始業及び終業の時刻を変更することにより、身体に負担のかかる通勤時間帯を避けて通勤するといった対応が可能となる。
【短時間勤務制度】 ※育児、介護休業法に基づく短時間勤務制度とは別のもの
事業者が自主的に設ける勤務制度であり、療養中・療養後の負担を軽減すること等を目的として、所定労働時間を短縮する制度。
【在宅勤務(テレワーク)】
事業者が自主的に設ける勤務制度であり、パソコンなどの情報通信機器を活用した場所にとらわれない柔軟な働き方。
【試し出勤制度】
事業者が自主的に設ける勤務制度であり、長期間にわたり休業していた労働者に対し、円滑な復職を支援するために、勤務時間や勤務日数を短縮した試し出勤等を行うもの。
(つづく)A.K