実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領  93 | テクノファ

投稿日:2021年7月29日 更新日:

前回の「平成29年度労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルタントの技法の開発に関する調査・研究事業報告書」の説明に続いて、今回は「平成30年度労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルタントの技法の開発に関する調査・研究事業報告書」について説明します。

報告書の意図するところは次のようになっています.

「平成30年度労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルタントの技法の開発に関する調査・研究事業」の報告書によれば、人口減少下においても持続的な成長を実現させるためには、労働者一人ひとりの労働生産性の向上が欠かせません。「一億総活躍社会」や「働き方改革」の実現に向けて、「治療と職業生活の両立」や「就職氷河期世代の労働者」のキャリア形成上の課題解決に対する社会的関心、ニーズは高まりつつありますが、「治療と職業生活の両立」に課題を抱える労働者や「就職氷河期世代」の労働者に対するキャリアコンサルタントのノウハウは十分に確立しているとはいえません。こうした課題に対応出来るキャリアコンサルタントの育成に向けて、実務上の留意点を取りまとめたキャリアコンサルタントの技法を開発することとしました。キャリアコンサルティング技法開発を通して、キャリアコンサルタントの社会的な存在価値の向上を図っていくことがこの事業の最終的な目的となります。

この報告書にまとめられたキャリアコンサルタントの技法はキャリアコンサルティング全体の流れの中で、相談者の状況を整理、明確化することや、相談者が課題解決への気付きを得るきっかけを提供する助力となることを前提としています。
キャリアコンサルタントの技法は厚生労働省ホームページにツールとしての、シートのひな形・そのシートの使用の手引きと作成例・参考資料などとともに、それらのツールの使い方を説明する動画とともにアップされています。

キャリアコンサルタントの技法(ツール)
・治療と職業生活の両立支援
1-1.両立支援ナビシート
1-2.4Sヒアリングシート
1-3.両立支援モニタリングシート
1-4.不安ごと見える化マップ
1-5.職場における配慮のためのヒアリングシート
1-6.相談シート

・就職氷河期世代の労働者に対する支援
2-1.事前相談シート1(A-1、A-2タイプ向け)
2-2.事前相談シート2(B、Cタイプ向け)
2-3.好きと得意を明確にする質問シート
2-4.振り返りシート
2-5.働くための基礎的スキルチェックシート
2-6.職業マイニングシート
2-7.働くことを考えるシート
2-8.経験振り返りシート
2-9.行動計画表
2-10.行動計画作成表
2-11.働く条件の整理シート
2-12.自分の人脈ネットワークシート
2-13.職務経歴書をみて受けた印象
2-14.模擬面接チェックシート
2-15.面接で聞かれたくないこと対策ワークシート
(つづく)A.K

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

保健医療分野の国際貢献キャリコン実践228|テクノファ

キャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。 ● 保健医療分野における国際貢献 近年、厚生労働行政の多くの分野で、国際社会での動きと国内政策が連動するように なっています。例えば、新型コロナウイルス感染症の世界的流行のように、感染症は国境を越えて世界の社会経済に大きな影響を与えるほか、高齢化の進展や生活習慣病の増加は、世界保健機関(World Health Organization:WHO)の総会やG7、G20サミット等でも取り上げられる大きな課題となっています。 (1)世界保健機関(WHO) WHOは、全ての人々が可能な最高の健康水準に到達することを目的とし、感染症対策、医薬品 …

キャリアコンサルタント養成講座12 I テクノファ

今回は「地方自治体やハローワーク」で行われている「生活保護受給者むけ就労支援」と「生活困窮者むけ就労支援」ついてご紹介したい、と思います。現在、我が国では様々な理由から生活保護を受けている人が200万人以上いるといわれ、その年代も60歳台が最も多く、次いで70歳台、50歳台が多くなっていて単身者が非常に多いのも特徴とされています。同様に、生活保護受給に至る前の段階の生活困窮者の数ははるかに多く具体的数は把握が困難の為か推定であっても公表されていないようです。こうした生活保護受給者、生活困窮者にはそれぞれに自立に向けた支援法が制定され、就労支援については地方自治体とハローワークが連携して就労相談 …

少子社会の現状 | キャリコン実践の要領258テクノファ

キャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。 ■少子社会の現状 我が国の合計特殊出生率は、2005(平成17)年に1.26となり、その後、緩やかな上昇傾向にあったが、ここ数年微減傾向となっている。2021(令和3)年は1.30(概数)と依然として低い水準にあり、長期的な少子化の傾向が継続している。また、2017(平成29)年に発表された国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によると、現在の傾向が続けば、2065年には、我が国の人口は8,808万人となり、1年間に生まれる子どもの数は現在の半分程度の約56万人となり、高齢化率は約38%に達するという厳し …

児童虐待防止対策 | キャリコン実践の要領259テクノファ

キャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。 ■児童虐待防止対策 (1)児童虐待の現状児童虐待への対応については、これまで、「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号。以下「児童虐待防止法」という。)及び児童福祉法(昭和22年法律第166令和4年版厚生労働白書第1章子どもを産み育てやすい環境づくり164号)の累次の改正や、民法などの改正により、制度的な充実が図られてきた。一方で、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は一貫して増加し、2020(令和2)年度には児童虐待防止法制定直前の約18倍に当たる20万5,044件となっている。子どもの生命が奪われる …

うつ病を自覚したクライエント I テクノファ

仕事や人間関係に行き詰まり、自分がうつ病であることを自覚しないままキャリアコンサルティングの面談に訪れる人が多くなっています。厚生労働省のサイトによると、うつ病など気分[感情]障害(躁うつ病を含む)患者は、平成14年は71.1万人、平成29年は127.6万人と16年で倍近くまで増加しています。 この数値の伸びに比例するようにうつ病の症状のある人との面談の機会が増えてきたということでしょう。 今回はうつ病を発症した人との面談事例を紹介します。相談者は30代後半の女性Aさんです。Aさんとは以前にも面談したことがあります。当時の面談内容は次のようなものでした。 Aさんは、新卒で地元の中堅企業に勤め、 …