キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りがある、働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたを可能にする制度・施策を説明してきました。続いて前回は様々な事情を抱えて、多様で柔軟な働きかたを必要としている、これまで説明してきた制度・施策の対象者である働く人たち、その人たちを具体的に支援する立場にある支援者やキャリアコンサルタントなどに対して必要な情報を提供している厚生労働省のサイトのひとつ「治療と仕事の両立支援ナビ」の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」
000492961.pdfについて説明します。
● ガイドラインの位置づけ
ア ガイドラインの内容とねらい
治療が必要な疾病を抱える労働者が、事業場において適切な就業上の措置を行いつつ、治療に対する配慮が行われるようにするため、関係者の役割、事業場における環境整備、個別の労働者への支援の進め方を含めた事業場における取組をまとめたものである。
イ ガイドラインの対象
事業者、人事労務担当者及び産業医や保健師、看護師等の産業保健スタッフを対象としているが、労働者本人や、家族、医療機関の関係者など、支援に関わる方にも活用可能なものである。
がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎、その他難病など、反復・継続して治療が必要となる疾病が対象で、短期で治癒する疾病は対象としていない。
すでに雇用している労働者への対応を念頭に置いているが、治療が必要な者を新たに採用する際には、本ガイドラインに規定する留意事項、環境整備及び進め方を参考として取り組むことが可能です。
雇用形態に関わらず、全ての労働者を対象とする。
● 治療と仕事の両立支援を行うに当たっての留意事項
(1)安全と健康の確保
就労によって、疾病の増悪、再発や労働災害が生じないよう、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行うことが就業の前提となる。従って、仕事の繁忙等を理由に必要な就業上の措置や配慮を行わないことがあってはならない。
(2)労働者本人による取組
疾病を抱える労働者本人が、治療や疾病の増悪防止について適切に取り組むことが重要です。
(3)労働者本人の申出
キャリアコンサルタントは、労働者本人から支援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことが基本です。本人からの申出が円滑に行われるよう、事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や情報の取扱方法の明確化など、申出が行いやすい環境を整備することも重要です。
(4)治療と仕事の両立支援の特徴を踏まえた対応
入院や通院、療養のための時間の確保等が必要になるだけでなく、疾病の症状や治療の副作用、障害等によって、労働者自身の業務遂行能力が一時的に低下する場合などがある。このため、育児や介護と仕事の両立支援と異なり、時間的制約に対する配慮だけでなく、労働者本人の健康状態や業務遂行能力も踏まえた就業上の措置等が必要となる。
(5)個別事例の特性に応じた配慮
症状や治療方法などは個人ごとに大きく異なるため、個別事例の特性に応じた配慮が必要である。
(6)対象者、対応方法の明確化
事業場内ルールを労使の理解を得て制定するなど、治療と仕事の両立支援の対象者、対応方法等を明確にしておくことが必要である。
(7)個人情報の保護
疾病に関する情報が必要となるが、これらの情報は機微な個人情報であることから、労働安全衛生法に基づく健康診断において把握した場合を除いては、事業者が本人の同意なく取得してはならない。
健康情報については、取り扱う者の範囲や第三者への漏洩の防止も含めた適切な情報管理体制の整備が必要である。
(8)両立支援にかかわる関係者間の連携の重要性
労働者本人以外にも、以下の関係者が必要に応じて連携することで、労働者本人の症状や業務内容に応じた、より適切な両立支援の実施が可能となる。
①事業場の関係者(事業者、人事労務担当者、上司・同僚等、労働組合、産業医、保健師、看護師等の産業保健スタッフ等)
②医療機関関係者(医師(主治医)、看護師、医療ソーシャルワーカー等)
③地域で事業者や労働者を支援する関係機関・関係者(産業保健総合支援センター、労災病院に併設する治療就労両立支援センター、保健所(保健師)、社会保険労務士等)
労働者の家族等と連携して、必要な情報の収集等を行う場合がある。
特に、医療機関との連携が重要であり、本人を通じた主治医との情報共有や、労働者の同意のもとでの産業医、保健師、看護師等の産業保健スタッフや人事労務担当者と主治医との連携が必要である。(つづく)A.K