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キャリアコンサルタント国家資格 I テクノファ

投稿日:2024年8月24日 更新日:

キャリアコンサルタント国家資格は、厚生労働省が定めるキャリアコンサルタントに関する国家資格試験に合格し、登録する必要があります。
日本の国家資格には次の4種類がありますが、上(業務独占資格)の拘束力が一番強く下へ行くほど拘束力は弱くなります。
・業務独占資格
・名称独占資格
・設置義務資格
・技能検定

それぞれについて説明をします。
・業務独占資格
医師、看護師、診療放射線技師などが該当します。資格を持っている人だけが、独占的にその仕事を行うことができます。
・名称独占資格
キャリアコンサルタント(標準レベル)栄養士、保育士、保健師、作業療法士などが該当します。資格を持っている人だけが、その名称を名乗ることができる資格です。まぎらわしい名称を用いることも禁止されています。
・設置義務資格
旅行業務取扱管理者、衛生管理者などが該当します。特定の事業を行う際に、法律で設置することが義務づけられている資格です。
・技能検定
キャリアコンサルタント技能士(熟練レベル、指導者レベル)、機械加工、建築大工、ファイナンシャルプランナーなど、128職種に設定されている、国家検定の資格です。仕事上で必要とされる技能の習得レベルを国が認定します。
厚生労働省はキャリアコンサルティング実施のために必要な能力要件を、次のように定めています。

Ⅰ キャリアコンサルティングの社会的意義
1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理
・技術革新の急速な進展等様々な社会・経済的な変化が強まっていること。
・個人が主体的に自らの希望や適性・能力に応じて、生涯を通じたキャリア形成を行うことが重要になってきたこと。
・キャリア支援の必要性が増してきたこと。
・個々人のキャリアが多様化してきたこと。
・社会的ニーズ、また労働政策上の要請等を背景に、キャリアコンサルタントの活動が期待される領域が多様化していること。

2.キャリアコンサルティングの役割の理解
・キャリアコンサルティングは、職業を中心にしながらも個人の生き甲斐、働き甲斐まで含めたキャリア形成を支援すること。
・個人が自らキャリアマネジメントにより自立・自律できるようになること。
・個人と組織との共生の関係をつくる上で重要なものであること。
・キャリアコンサルティングは、個人に対する相談支援だけでなく、キャリア形成やキャリアコンサルティングに関する教育・普及活動、組織(企業)・環境への働きかけ等も含むものであること。

Ⅱ キャリアコンサルティングを行うために必要な知識
1.キャリアに関する理論
・キャリア発達理論、職業指導理論、職業選択理論等のキャリア開発に関する代表的理論の概要について理解していること。

2.カウンセリングに関する理論
・キャリアコンサルティングの全体の過程においてカウンセリングの理論及びスキルが果たす役割を理解していること。
・来談者中心アプローチや認知行動アプローチ等の代表的なカウンセリング理論の概要(基礎知識)、特徴について理解していること。
・グループを活用した(グループアプローチ)キャリアコンサルティングの意義、有効性、進め方の留意点等について理解していること。
-グループワーク
-グループガイダンス
-グループカウンセリング
-グループエンカウンター
-サポートグループ等

3.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
・個人の生涯に亘る主体的な学び直しに係るリカレント教育を含めた職業能力開発に関する知識について理解していること。
-職業能力の要素
-学習方法やその成果の評価方法
-教育訓練体系等
-職業能力開発に関する情報の種類、内容、情報媒体、情報提供機関、入手方法等
・ 教育訓練プログラム、能力評価シート等による能力評価、これらを用いた総合的な支援の仕組みであるジョブ・カード制度目的、内容、対象等について理解していること。

4.企業におけるキャリア形成支援の知識
・企業における雇用管理の仕組みについて理解していること。
-代表的な人事労務施策・制度の動向及び課題
-セルフ・キャリアドックをはじめとした企業内のキャリア形成に係る支援制度・ 能力評価基準等
-ワークライフバランスの理念
-労働者の属性(高齢者、女性、若者等)や雇用形態に応じたキャリアに関わる共通的課題
-上記を踏まえた自己理解や仕事の理解を深めるための視点や手法
・主な業種における勤務形態、賃金、労働時間等の具体的な労働条件について理解していること。
・企業内のキャリア形成に係る支援制度の整備とその円滑な実施のための人事部門等との協業や組織内の報告の必要性及びその具体的な方法について理解していること。

5.労働市場の知識
・社会情勢や産業構造の変化とその影響、また、雇用・失業情勢を示す有効求人倍率や完全失業率等の最近の労働市場や雇用の動向について理解していること。

6.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識
・次の法令を理解していること。
-職業安定法
-雇用対策法
-高年齢者雇用安定法
-障害者雇用促進法
-若者雇用促進法
-労働者派遣法
-職業能力開発促進法
-労働基準法
-労働安全衛生法
-労働契約法
-男女雇用機会均等法
-育児・介護休業法
-女性活躍推進法等
・これらの法令に基づく労働政策や、年金、社会保険等に関する社会保障制度等、労働者の雇用や福祉を取り巻く各種の法律・制度について、キャリア形成との関連において、その目的、概念、内容、動向、課題、関係機関等を理解していること。

7.学校教育制度及びキャリア教育の知識
・学校教育制度や、初等中等教育から高等教育に至る学校種ごとの教育目標、青少年期の発達課題等に応じたキャリア教育のあり方等ついて理解していること。

8.メンタルヘルスの知識
・メンタルヘルスに関する法令や指針について理解していること。
・職場におけるメンタルヘルスの保持・増進を図る対策の意義や方法、職場環境改善に向けた働きかけ方等
・ストレスに関する代表的理論や職場のストレス要因、対処方法について理解していること。
・代表的な精神的疾病の概要、特徴的な症状を理解した上で、疾病の可能性のある相談者に対応する際の適切な見立てと、特別な配慮の必要性について理解していること。
・専門機関へのリファーやメンタルヘルス不調者の回復後の職場復帰支援等に当たっての専門家・機関の関与の重要性について。
・専門機関との協働による支援の必要性及びその具体的な方法について。

9.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
・職業キャリアの準備期、参入期、発展期、円熟期、引退期等の各ライフステージについて理解していること。
・出産・育児、介護等のライフイベントにおいて解決すべき課題や主要な過渡期に乗り越えなければならない発達課題について理解していること。
・中高年齢期をも展望した中長期的なキャリア・プランの設計について
・キャリア・プランに即した学び直しへの動機付けや機会の提供による支援の必要性及びその具体的な方法ついて理解していること。

10.人生の転機の知識
・初めて職業を選択する時や、転職・退職時等の人生の転機が訪れた時の受け止め方や対応の仕方について理解していること。

11.個人の多様な特性の知識
・相談者の個人的特性について理解し、ていること。
-例えば、障害者については障害の内容や程度
-ニート等の若者については生活環境や生育歴
-病気等の治療中の者については治療の見通しや職場環境等
によって、課題の見立てのポイントや留意すべき点があること。
(つづく)平林良人

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