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実践編・応用編

医療のイノベーション推進 3

投稿日:2024年12月15日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

医療のイノベーション推進についての最終回です。イノベーションとは、全く新しい技術や考え方を取り入れて、新しい価値を生み出し、大きな変化を起こすことをいいます。近年医療業界においてもイノベーションが強く求められています。その背景には、より高度な医療機器が開発される中で、特に疾病の治療機器が海外から輸入されるケースが増えるなど、日本国内における技術の国際競争力不足という問題があります。

●医療系ベンチャーの育成支援について

我が国において、アカデミア等で発見された優れたシーズの実用化を促進するために、医薬品、医療機器・再生医療等製品の研究開発・実用化を目指すベンチャーを育てる好循環環(ベンチャーのエコシステム)の確立を図ることが課題となっている。 このため、厚生労働大臣の私的懇談会として「医療のイノベーションを担うベンチャー企業の振興に関する懇談会」この報告書の提言等に基づき、厚生労働省では「ベンチャー等支援戦略室」を医政局に設置し、医療系ベンチャーを育てるエコシステムの確立に向けて、「エコシステムを醸成する制度づくり」、「エコシステムを構成する人材の育成と交流の場づくり」、「『オール厚 労省』でのベンチャー支援体制の構築」を「3つの柱」とした取組みを行っている。 2017(平成29)年から毎年10月には、ベンチャーと大手企業やベンチャーキャピタ ル等とのビジネスマッチングに資するイベント「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サ ミット」をパシフィコ横浜にて開催している。また、2018(平成30)年2月にはベンチャーやアカデミア等に対する相談体制を整備し、法規制対応、知財、事業計画、海外展開等のプロセスを各分野の専門家が総合的に支援する「医療系ベンチャートータルサポー ト事業」を開始し、Webサイトの開設及び日本橋にオフィス(Medical Innovation Support Office:MEDISO)を構えた。2018年2月の立ち上げ以降、2023(令和5) 年12月31日までに1,332件の相談に対応しており、MEDISOの更なる活用も含め、今後も長期的視野に立った実効力のある支援策を講じていくこととする。 また、ヘルスケア領域においては、ヘルスケア分野の特徴に特化した形で、スタートアップの立場にたって振興・支援策を検討するため、その成長において直面する課題の解決の方向性を導出することを目的として、2024(令和6)年2月に「ヘルスケアスタを開催し、2016(平成28)年7月29日に報告書が示された。(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書”

◆医療の国際展開等
■医療の国際展開の推進
国民皆保険制度や優れた医薬品、医療機器、医療技術等を誇る日本の医療システムは、 世界でも高く評価されており、優れた制度です。 多くの新興国では、経済成長の中で、医療へのニーズや持続的なシステム構築への期待が高まっているものの、公的医療保険等の制度や医療システム構築の経験・技術が乏しく、また、人材も不足しています。 そこで、日本が新興国等に対して、各国の実情を十分に踏まえつつ、高品質な日本の医薬品、医療機器、医療技術等の提供を推進するとともに、日本が長年培ってきた経験や知見をいかし、相手国の医療システムの構築に協力することに取り組んでいます。 医療の国際展開を通じて、日本の医療分野の成長を促進しつつ、相手国の医療水準向上にも貢献し、国際社会における日本の信頼を高めることによって、日本にとっても新興国等にとっても好循環となることを目指しています。なお、医療の国際展開については、政府の第2期「健康・医療戦略」(2020(令和2)年3月27日閣議決定)においても位置づけられており、「健康・医療戦略」に掲げるアジア健康構想及びアフリカ健康構想の下、具体的な取組みを実施しています。

●厚生労働省と新興国等の保健省との協力関係の構築

厚生労働省としては、医療の国際展開を推進するため、2013(平成25)年に体制を強化し 、「『日本再興戦略』改訂2014」や「健康・医療戦略」 等を踏まえ、本格的に取組みを開始した。 このため、2013年8月以降、厚生労働省と新興国等の保健省との間で、協力関係の構築を進めており、アジア、中東、北中南米等の20を超える国々と、医療・保健分野における協力関係を構築した。 協力テーマとしては、各国のニーズに合わせて、①日本の経験や知見をいかした相手国 の医療・保健分野の政策形成支援や、②医療技術、医薬品・医療機器に関連する人材育成 を柱としており、例えば、ベトナムにおける内視鏡診断・治療、モンゴルにおける救急超 音波検査を用いた救急診療能力強化事業、カンボジアにおける持続可能な病理教育提供のための指導者養成事業を実施している。(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書”

●各国との協力関係の実現に向けた取組み
医師等の人材育成や公的医療保険制度整備の支援等といった国際展開に資する協力の具体化に向け、国立研究開発法人国立国際医療研究センターを拠点として、2015(平成27)年度から、日本の医療政策等に係る有識者等の諸外国への派遣や、諸外国からの研修生の受入れ、オンラインによる研修を実施しています。

●医薬品・医療機器等の国際規制調和・国際協力の推進
「アジア健康構想に向けた基本方針」に基づき、健康・医療戦略推進本部は、「アジア医薬品・医療機器規制調和グランドデザイン」(2019(令和元)年6月20日)及び同実行戦略(2020(令和2)年7月14日)を策定しました。この中では、アジア諸国において経済発展や疾患構造の変化により、優れた医薬品・医療機器等に対するニーズが高 まっており、アジア諸国の国際規制調和に支援・協力し、垣根のないマーケットを整備 ることで、医薬品・医療機器等への迅速なアクセスを可能にするよう取り組むことが必要 とされている。 同グランドデザインに基づき、2020年度から国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED)を通じて、日本の臨床研究拠点の能力・経験をベースとして、アジア地域の研究拠点への専門家の派遣、人材育成、データ収集及び臨床研究推進部門の整備や、設備整 備等の支援を行っています。また、アジア地域における規制調和を推進するのに中核的な役割を担うのが、PMDAに設置された「アジア医薬品・医療機器トレーニングセンター」 です。アジアを中心とする海外の規制当局担当者に医薬品・医療機器の審査や安全対策等に関する研修を実施しており、薬事規制構築に向けた経験・ノウハウを提供することで、将来の規制調和に向けた基盤作りを継続して進めてきている。新型コロナウイルス感染症の影響下にあった2020~2022(令和4)年度はオンライン形式の研修を積極的に開催しましたが、2023(令和5)年度より、研修内容に応じて対面での研修も開催しています。 2016年度から2023年度までに、合計105回のセミナーを開催し、69の国・地域及び1 国際機関(WHO)から延べ3,155人の参加者を得ました。今後も引き続き、関係省庁、関係機関と連携しつつ、薬事規制に関する我が国の知見、レギュラトリーサイエンスを、アジ アをはじめとする世界に発信して国際規制調和・国際協力を積極的に進めていくことで、 ユニバーサルヘルスカバレッジの達成に一層貢献していきます。

■国内における国際化への対応
我が国では 、「明日の日本を支える観光ビジョン」(平成28年3月明日の日本を支える 観光ビジョン構想会議)において、2030(令和12)年に6,000万人の訪日外国人旅行者 数を目標として観光先進国の実現を目指している。このような中、健康・医療戦略推進本 部の下に開催された「訪日外国人に対する適切な医療等の確保に関するワーキンググルー プ」において、2018(平成30)年6月に「訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向 けた総合対策」が取りまとめられ、現在、関係府省庁が連携して取組みを進めている。 また、2019(平成31)年4月からの新たな外国人材の受入れ制度の開始に伴い、在留 外国人が医療を受ける機会の増加が見込まれる中で、上記の取組みは、全ての居住圏にお いて外国人患者が安心して受診できる体制を整備するためにも重要な取組みとなっている。 厚生労働省では、問診票等の多言語資料の作成、医療通訳者等の配置支援、外国人患者受入れ医療コーディネーターの養成、電話通訳の利用促進等を通じて、医療機関における外国人患者の受入れ環境整備の推進を行ってきた。また、地域の実情に応じた外国人患者の受入体制を整備するためには、医療機関に加えて地方自治体、観光事業者・宿泊事業者等が連携する必要がある。このため、都道府県が主体となって地域の関係者が協議を行う場を設ける際の支援、医療機関が直面する外国人患者対応に関する相談を受け付ける窓口 の設置・運用の支援を行うとともに、都道府県が選出した「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」を取りまとめたリストを更新し、厚生労働省ホームページ上で公表している。今後は、当該医療機関を中心として、外国人患者の受入れ環境の更なる充実を目指していく。さらに、医療分野における国際交流の進展等に寄与する観点から、従来、医療 修を目的として来日した外国医師等に対し、日本において診療を行うことを特例的に認めてきた臨床修練制度について、日本の医師等に対する医療の教授や臨床研究を行うことを目的として来日した外国医師・外国歯科医師に対しても、日本において診療を行うことが 認められるよう、臨床修練制度を改正し、2014(平成26)年10月から施行されている。
(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書

(つづく)Y.H

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