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実践編・応用編

暮らしの安心確保について

投稿日:2024年12月1日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。
高齢になっても、住み慣れた地域で安心して暮らしていくことは、国民共通の願いです。そのためには、地域共生社会の実現に向けて努力することが重要です。今回は、暮らしの安心確保についてお話しします。

◆地域共生社会の実現の推進

■地域共生社会の実現について
少子高齢・人口減少、地域社会の脆弱化等、社会構造の変化の中で、人々が様々な生活課題を抱えながらも住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、地域住民等が支え合い、一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていくことのできる「地域共生社会」の実現が求められている。地域共生社会の実現に向けて、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を整備するため、2021(令和3)年度から重層的支援体制整備事業(以下「重層的支援事業」という。)を実施している。重層的支援事業は、対象者の属性を問わない相談支援、多様な参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に行う事業であり、2022(令和4)年度には134市町村、2023(令和5)年度には189市町村が実施した。また、地域共生社会の実現に向けた気運を醸成するため、ポータルサイトによる地域住民に向けた情報発信等も積極的に行っている。

引き続き、こうした取組みを着実に進めながら、地域共生社会の実現に向けて、市町村における包括的な支援体制の構築に取り組んでいく。

ひきこもり支援については、2018(平成30)年までに、全都道府県・指定都市に、ひきこもりに特化した相談窓口である「ひきこもり地域支援センター」を設置した。202年度には、ひきこもり支援に関係する各府省の担当部局が参加する「ひきこもり支援に関する関係府省横断会議」を開催し、様々な社会資源が参画・連携できる環境整備について議論を行い、同会議の取りまとめとして構成員連名通知を発出し、自治体に対して、関係 機関間のより一層の連携促進を依頼している。また、2022年度は、市町村域について事業メニューの拡充を図り、これまで都道府県と指定都市に設置してきた「ひきこもり地域支援センター」を一般の市町村にも設置できるようにするなど、より身近な場所で相談や支援が受けられる環境づくりを進めるとともに、国が主体となって、支援に関わる方に対し知識や支援手法を習得するための研修を実施し、良質な支援者の育成に取り組んだ。 2023年度においては、さらに、研修の対象について、ひきこもり地域支援センター等の中堅職員や指導的な立場を担う支援者も対象とするなど、研修の充実を図るとともに、支援者自身を支援する取組みを新たに始めるなど、支援の質の向上や支援者のサポートに取り組んだ。さらに、地域住民のひきこもりに対する理解を深め、当事者やその家族が孤立せず、相談しやすい環境づくりを促進することを目的として、シンポジウムや全国キャラバンの開催、ひきこもり支援に関するポータルサイトの開設等を一体的に行う普及啓発の取り組みを展開している。

このほか、東日本大震災をはじめとし、令和6年能登半島地震に至るまで大規模な災害の影響により、仮設住宅等での避難生活を余儀なくされている被災者に対して、孤立防止のための見守りや日常生活上の相談支援など、安定的な日常生活を確保するための支援を行う「被災者見守り・相談支援等事業」を行っている。本事業は、2018年度までは大規模な災害が発生した場合に事業化していたが、2019(令和元)年度以降は特定の災害に限定しない事業として、災害が発生した場合に自治体が速やかに事業を実施できることと している。また、東日本大震災をきっかけに、2011(平成23)年度から24時間365日つながる電話相談窓口を設置し、電話による相談を受けて様々な悩みを傾聴するとともに、必要に応じ面接相談や同行支援を実施して具体的な問題解決につなげる相談支援事業を行っている。
(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書

■地域生活定着促進事業の実施について
矯正施設(刑務所、少年刑務所、拘置所及び少年院)に入所している人のうち、高齢又は障害のため退所後直ちに福祉サービス等(例えば、障害者手帳の発給や施設への入所等)を受ける必要があるものの退所後の行き場のない人等は、退所後に必要な福祉サービス等を受けることが困難です。

そのため、厚生労働省では、2009(平成21)年度から「地域生活定着支援事業」(現在は地域生活定着促進事業)を実施しています。本事業では、各都道府県の地域生活定着支援センター(全国48か所)が、矯正施設入所中から、矯正施設や保護観察所、地域の福祉関係機関等と連携して、支援の対象となる人が退所後から福祉サービス等を受けられるよう取り組んでいます。また、2021(令和3)年度からは、被疑者や被告人等に対して福祉サービス等の利用調整や釈放後の継続的な援助等を行う業務を実施しています。

■成年後見制度の利用促進について
成年後見制度は、財産の管理又は日常生活等に支障がある者を支える重要な手段です。成年後見制度の利用促進に関する施策を総合的・計画的に推進するため、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」 (平成28年法律第29号)に基づき、2022(令和4)年3月には、「第二期成年後見制度利用促進基本計画~尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加を図る権利擁護支援の推進~」を閣議決定し、地域連携ネットワークづくりの推進や市民後見人等の担い手の育成、総合的な権利擁護支援策の充実、意思決定支援の浸透など更なる制度の運用改善等に向けた取り組みを行っています。

◆社会福祉法人制度について
社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的とする法人として、長年、福祉サービスの供給確保の中心的な役割を果たしてきたが、その公益性・非営利性の徹底、国民に対する説明責任の履行及び地域社会への貢献という観点から、「社会福祉法等の一部を改正する法律」(2017(平成29)年4月本格施行)により、社会福祉法人制度改革が実施された。改革では、経営組織のガバナンスの強化(評議員会の必置化、一定規模を超える法人に対する会計監査人の導入等)、事業運営の透明性の向上(現況報告書、計算書類、役員報酬基準等の公表等)、財務規律の強化(社会福祉充実財産の明確化及び社会福祉充実財産がある法人の社会福祉充実計画の作成の義務づけ等)、地域における公益的な取組みの実施に係る責務規定の創設等が行われた。また、2017年度には財務諸表等電子開示システムが本格稼働し、全国の法人の現況報告書や計算書類等の公表の実施が可能となっている。 なお、会計監査人の設置法人数は2023(令和5)年度は568法人(うち、会計監査人の設置が義務づけられた収益30億円又は負債60億円を超える法人は430法人)、社会福祉充実計画の策定法人数は、2023年度は1,772法人となっている。

また、「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和2年法 律第52号)により、社会福祉事業に取り組む社会福祉法人やNPO法人等を社員として、相互の業務連携を推進する「社会福祉連携推進法人」制度が創設され、2022(令和4)年4月1日に施行された。同制度では、社会福祉法人をはじめ、同じ目的意識を持つ法人が個々の自主性を保ちながら連携することで、地域特性に応じた創意工夫ある新たなサービスの創出や、福祉人材の確保とともに、その働きやすい職場環境の整備、物資調達の効率化など、規模の大きさを活かした多様な取組みが促進され、地域福祉の一層の推進、社会福祉法人の経営基盤の強化等に資することが期待されており、2023年度末までに21の社会福祉連携推進法人が設立されている。
(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書

◆生活困窮者の自立・就労支援等の推進及び生活保護の適正な実施
■生活困窮者自立支援制度について
生活困窮者自立支援制度は、全国の福祉事務所設置自治体に相談窓口(自立相談支援機関)を設置し、複雑かつ多様な課題を背景とする生活困窮者に対し、生活保護に至る前の段階で、自立に向けた各種支援等を実施しています。生活困窮者自立支援法が2015(平成27)年4月1日に施行されてから2023(令和5)年3月末までで、新規相談者は約286万人、自立支援計画の作成による継続的な支援を行った者は約73万人となっています。継続的な支援を行った者のうち、約27万人が就労・増収しており、2022(令和4)年度において継続的な支援を行った者のうち自立に向けた改善が見られた者の割合が約8割となるなど、生活困窮状態を改善する効果が着実に現れています。 生活困窮者の自立を、収入面と支出面から支える就労準備支援事業と家計改善支援事業については、年々実施率が向上しており、2023年度の実施率はそれぞれ8割を超え、全国において生活困窮者への支援体制の整備が進められているところです。
2023年度の主な取組みとしては、物価高騰等により生活が苦しい状態に置かれた生活困窮者等に対する支援体制の強化を図るため、自立相談支援事業等における支援員の加配やアウトリーチ支援員の配置を行ったほか、民間団体の取組みを助成する事業を実施しました。

■生活保護制度の概要
生活保護制度は、その利用し得る資産や能力その他あらゆるものを活用してもなお生活に困窮する方に対して、その困窮の程度に応じた必要な保護を行うことにより、健康で文化的最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長する制度であり、社会保障の最後のセーフティネットと言われている。 保護の種類には、生活扶助、住宅扶助、医療扶助等の8種類があり、それぞれ日常生活を送る上で必要となる食費や住居費、病気の治療費などについて、必要な限度で支給されている。
(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書

■生活保護の現状
生活保護受給者数は、2024(令和6)年2月時点で約202万人です。対前年同月比は2015(平成27)年9月以降、約8年連続でマイナスとなっており、減少傾向にあります。 生活保護受給世帯数は同じ時点で約165万世帯であり、対前年同月比は2022 (令和4)年5月以降、1年10か月連続でプラスとなっています。近年の世帯数の動向を世帯類型別にみると、「高齢者世帯」は増加率が縮小し、2022年1月以降は増加率0のあたりを横ばいで推移しており、「母子世帯」は、対前年同月比が約11年連続でマイナスであり、「その他の世帯」は、コロナ禍となった2020(令和2)年6月以降、対前年同月比がプラスに転化などの状況となっています。 また、生活保護の申請件数の動向を、年度単位でみると、世界金融危機以降に約10年連続で減少が続いていたところ、コロナ禍を境として増加傾向に転じています。
(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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