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実践編・応用編

日本における安全・安心社会の構築

投稿日:2025年3月29日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。
安全の目的が、事故防止だとすれば、安心の目的は心を安がらせることです。心の持ちようは、人それぞれであり、保険を例にすると、基本的プランで満足の人もいれば、様々なオプションを付けなければ不安な人もいます。一方、安全はもう少し客観性が必要です。「気を付ければ大丈夫」と主張されても多くの人は、納得しません。例えば猛犬を鎖で繋いだ状態のように客観的に見て、事故の確立等が低減されている必要があります。「安全」は客観性が必要で、「安心」は主観的要素が強いということです。今回は、安全・安心社会の構築についてお話しします。

◆ユニバーサル社会の実現

■ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー化の実現
「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」 というユニバーサルデザインの考え方を踏まえ た「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」に基づき、 旅客施設等(旅客施設、車両等、道路、路外駐 車場、都市公園、建築物等)の新設等の際の 「移動等円滑化基準」への適合義務、既存の旅客施設等に対する適合努力義務を定めている。
この「バリアフリー法」に基づき、令和3年度から7年度までを目標期間としたバリアフ リー整備目標を策定し、地方部を含めたバリアフリー化、聴覚障害及び知的・精神発達障害に係るバリアフリーや心のバリアフリーの推進等をはじめハード・ソフト両面での一層のバリアフリー化に取り組んでいる。

また、令和3年に改正された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が令和6年4月に施行され、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されることを踏まえ、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月閣議決定)」に即しつつ、障害当事者及び事業者双方の関係者と意見交換を実施し、「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」及び「国土交通省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」の改正を行った(令和5年11月公表、令和6年4月施行)。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

●公共交通機関のバリアフリー化
「バリアフリー法」に基づき、公共交通事業者等に対して、旅客施設の新設・大規模な改良 及び車両等の新規導入の際に公共交通移動等円滑化基準への適合を義務付け、既存施設については同基準への適合努力義務を課すとともに、その職員に対し、バリアフリー化を図るために必要な教育訓練を行うよう努力義務を定めています。また、一定の要件を満たす公共交通事業者等に対して、施設整備、旅客支援等を盛り込んだハード・ソフト取組計画の毎年度報告・公表 を義務付ける制度などにより、ハード・ソフト対策を一体的に推進しています。さらに、旅客船 ターミナル、鉄道駅等の旅客施設のバリアフ リー化やノンステップバス、リフト付きバス、福祉タクシー等の車両の導入等に対する支援措置を実施しています。 また、導入が進みつつある鉄道における精神 障害者割引について、更なる導入に向け、鉄道事業者に対して働きかけを行いました。

●居住・生活環境のバリアフリー化
○住宅・建築物のバリアフリー化
高齢者、障害者等が地域の中で安全・安心で快適な住生活を営むことができるよう、一定の バリアフリー性を満たした住宅を取得する際の独立行政法人住宅金融支援機構の 【フラッ ト35】Sにおける融資金利の引下げ、バリアリー改修工事に対する支援等によって住宅のバ リアフリー化を促進しているほか、公営住宅や 建替え事業によって新たに供給する都市再生機構賃貸住宅については、バリアフリー化を標準仕様とするとともに、民間事業者等によるサー ビス付き高齢者向け住宅の整備に対する支援等を実施しています。 また、公共施設や店舗等については、「バリアフリー法」に基づく義務付け制度や容積率の特例措置のほか、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」の周知等を通じてバリアフリー化を促進している。官庁施設については、不特定かつ多数の者が利用する施設につ いて「バリアフリー法」に基づく建築物移動等円滑化誘導基準を満たした整備を推進しています。

○歩行空間のバリアフリー化
駅、官公庁施設、病院等を結ぶ道路や駅前広場等において、高齢者・障害者をはじめとする 誰もが安心して通行できるよう、幅の広い歩道 の整備や歩道の段差・傾斜・勾配の改善、踏切道におけるバリアフリー対策、無電柱化、視覚障害者誘導用ブロックの整備等による歩行空間 のユニバーサルデザイン化を推進していきます。

○都市公園等におけるバリアフリー化
都市公園等において、出入口や園路の段差解消、高齢者や障害者等が利用しやすいトイレの設置等のバリアフリー化を推進するため、「バリアフリー法」に基づく基準やガイドラインを 定めるとともに、それに基づく公園施設の整備を支援しています。

■少子化社会の子育て環境づくり(こどもまんなかまちづくり等)
子どもや子育て世帯が安心・快適に日常生活 を送ることができるよう、子どもや子育て世帯 の目線や、住宅を起点とした「近隣地域」と いった視点に立った、「こどもまんなか」の生活空間を形成することが重要である。この考え方に基づき、子育てを住まいと周辺環境の観点から支援する「こどもまんなかまちづくり」を進めるとともに、子育てにやさしい移動支援等子どもや子育て当事者を社会全体で支える機運を醸成するための取組みを実施している。

(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

●仕事と育児との両立の支援
○子育て世帯に適した住宅確保等の支援子育てにやさしい住まいの拡充に向けて、子育て環境の優れた公営住宅等や、子育て世帯に向けた民間の空き家等の活用を進めるとともに、全期間固定金利の住宅ローンにおける子どもの人数に応じた金利引下げ、入居や生活に関する相談等を行う居住支援法人への支援等、住宅支援の強化に取り組んでいます。 また、公的賃貸住宅と子育て支援施設等との一体的整備に対して、地方公共団体を通じて支援しているほか、子どもの安全確保や、親の孤立・孤独防止に資する共同住宅の整備や子育て 世帯に適した住宅・居住環境を確保するため、高齢者等が有する比較的広い住宅を子育て世帯等向けの賃貸住宅として活用する取組みを支援しています。

○テレワークの推進
令和5年6月9日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」等において、 テレワークの推進が位置付けられている。テレワークは、働き方を変えるだけでなく、人々の日常生活における時間の使い方に大きな変化をもたらすものであり、その更なる導入・定着は不可欠である。

国土交通省では、総務省、厚生労働省、経済産業省とともにテレワーク関係4省をはじめとする関係府省庁や関係団体からなる「テレワー ク月間実行委員会」において、毎年11月を「テレワーク月間」と定め、テレワークの普及促進に向けた広報等を集中的に実施しており、周知ポスターやチラシによるPRのほか、テレワーク関連イベントの開催等を行った。

また、新たな働き方・住まい方への対応として、職住近接・一体の生活圏の形成に向け、テレワーク拠点整備等の推進を行ったほか、テレワークによる働き方の実態やテレワーク人口の定量的な把握を行った。

(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

○子どもがのびのびと安全に成長できる環境づくり
「こどもまんなかまちづくり」を加速化させる観点から、子どもの遊び場の確保や、親同士・地域住民との交流機会の創出に資する都市公園の整備を推進しています。また、子どもをはじめとした公園利用者の安全・安心を確保するため、「都市公園における遊具の安全確保に関 する指針」等の指針について周知を行うとともに、地方公共団体における公園施設の改築等を支援しています。

○「道の駅」や高速道路のサービスエリアにおける子育て応援の目的から24時間利用可能なベビーコーナーの設置、屋根付きの優先駐車スペースの確保等を実施しており、高速道路のサービスエリアについては整備が完了しました。

○子育てにやさしい移動支援に関する取組み
公共交通機関における子連れの方等への優先的な取扱いに関する取組として、鉄道・バス車内におけるベビーカー利用に適したフリースペース、駅構内における乳幼児用設備や子ども用トイレ等の設置を促進している。また、公共交通機関・商業施設におけるベビーカーの利用環境改善を図るため、ベビーカー使用者及び周囲の利用者に対し、お互いの理解促進や協力を求めるベビーカー利用に関するキャンペーンを実施しています。

■高齢社会への対応

●高齢者が安心して暮らせる生活環境の整備
バリアフリー化された公営住宅等の供給とライフサポートアドバイザーによる日常の生活相 談、緊急対応等のサービスを併せて提供するシルバーハウジング・プロジェクトを実施してい る。また、高齢者や子育て世帯等の多様な世帯が安心して健康に暮らすことができる住環境 (スマートウェルネス住宅)を実現するため、スマートウェルネス住宅等推進事業等において、サービス付き高齢者向け住宅の整備、住宅セーフティネット制度に基づく住宅確保要配慮 者専用賃貸住宅等への改修、先導的な高齢者等向けの住まいづくり・まちづくり及び高齢者や育て世帯等の生活支援施設等を導入する再開発事業に関する取組み等を支援している。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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