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実践編・応用編

日本における安全・安心社会の構築2

投稿日:2025年3月31日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。
前回に続き、安全・安心社会の構築についてお話しします。安全の目的が、事故防止だとすれば、安心の目的は心を安がらせることです。心の持ちようは、人それぞれであり、保険を例にすると、基本的プランで満足の人もいれば、様々なオプションを付けなければ不安な人もいます。一方、安全はもう少し客観性が必要です。「気を付ければ大丈夫」と主張されても多くの人は、納得しません。例えば猛犬を鎖で繋いだ状態のように客観的に見て、事故の確立等が低減されている必要があります。「安全」は客観性が必要で、「安心」は主観的要素が強いということです。

■高齢者社会への対応
●高齢者が安心して暮らせる生活環境の整備
バリアフリー化された公営住宅等の供給とライフサポートアドバイザーによる日常の生活相 談、緊急対応等のサービスを併せて提供するシルバーハウジング・プロジェクトを実施してい る。また、高齢者や子育て世帯等の多様な世帯が安心して健康に暮らすことができる住環境 (スマートウェルネス住宅)を実現するため、スマートウェルネス住宅等推進事業等において、サービス付き高齢者向け住宅の整備、住宅セーフティネット制度に基づく住宅確保要配慮 者専用賃貸住宅等への改修、先導的な高齢者等 向けの住まいづくり・まちづくり及び高齢者や子育て世帯等の生活支援施設等を導入する再開発事業に関する取組み等を支援している。

●高齢社会に対応した輸送サービスの提供
市町村やNPO等による自家用車を使用した有償運送を可能とする自家用有償旅客運送が、 令和4年度末現在3,126団体において実施されている。自家用有償旅客運送は、営利事業として行われているバス・タクシー事業者による輸送サービスの提供が困難であり、かつ、地域の旅客輸送の確保に必要な輸送であることについて地域の関係者間で協議が調っている場合に、実施できることとなっている。また、地域の移動の足の確保のためには、既存の交通モードのほか、自家用有償旅客運送を含む多様な交通サービスを組み合わせて移動手段を確保していくことが重要であり、「ラス トワンマイル・モビリティ/自動車交通DX・ GXに関する検討会」における提言も踏まえ、自家用有償旅客運送の円滑な導入や持続可能性を向上していくために、「運送の対価」の目安の適正化等の方策を講じている。 また、互助活動等の一環で、ボランティア等により道路運送法の許可又は登録の対象外の運送が行われている。なお、国土交通省では、無償運送の判断の基準となるガイドラインを示している。

(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

◆自然災害対策
我が国の国土は、気象、地形、地質等が極めて厳しい状況下にあり、毎年のように地震、津 波、風水害・土砂災害等の自然災害が発生して います。令和5年度も、令和6年能登半島地震、梅雨前線による大雨や台風第2号及び台風第7号等、多くの災害が発生しました。また、気候変動 の影響による水害・土砂災害の激甚化・頻発化、南海トラフ巨大地震・首都直下地震等の巨大地震の発生等も懸念されることから、自然災害対策の重要性はますます高まっています。

■防災減災が主流となる社会の実現
●総力戦で挑む防災・減災プロジェクト
近年、毎年のように全国各地で地震災害や水 災害、火山災害などあらゆる自然災害が頻発 し、甚大な被害が発生しており、今後も気候変動の影響によって水災害の更なる激甚化・頻発化が懸念される中、国民の命と暮らしを守り、我が国の経済成長を確保するためには、防災・ 減災、国土強靱化等の取組みをさらに強化する必要があります。こうした状況を踏まえ、これまでの災害を教訓とし、あらゆる自然災害に対し、国土交通省として総力を挙げて防災・減災に取り組むべく、国土交通大臣を本部長とする「国土交通省防災・ 減災対策本部」を設置した。「国民目線」と「連携」をキーワードとして施策の検討を進め、令和2年7月に「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」として主要10施策を取りまとめました。 その後、令和3年6月には「住民避難」と 「輸送確保」、4年6月には「再度災害の防止」 と「初動対応の迅速化・適正化」を、特に強化すべきテーマとして設定し、プロジェクトを取りまとめました。 これまで、プロジェクトのPDCAサイクルを回しながら、施策の実行に必要な予算要求や制度改正を行い、プロジェクトに盛り込んだ防災・減災対策を着実に推進するとともに災害対応等を踏まえ、プロジェクトの充実・強化を図るなど、継続的に取組みを推進し、施策の進捗 状況等を踏まえ、防災業務計画等への反映を図っていきます。令和5年度プロジェクトでは、社会情勢等も踏まえ、施策の充実・強化を図るため、特に強化すべきテーマとして「首都直下地震等の大規模地震対策の強化」と「デジタル等の新技術を活用した防災施策の推進」の2つを設定しました。 引き続き、災害対応を踏まえ、プロジェクトにつ いて不断の見直しや改善を行い、防災・減災に関する取組みの更なる充実・強化を図っていきます。

●気候変動を踏まえた水災害対策「流域治水」の推進
気候変動による災害の激甚化・頻発化を踏まえ、これに対応した治水計画への見直しを行う とともに、施設管理者が主体となって行う河川 整備等の事前防災対策を加速化させることに加え、あらゆる関係者が協働して流域全体で行う 「流域治水」への転換を推進し、総合的かつ多層的な対策を行っています。

a気候変動を踏まえた計画の見直し
河川・下水道分野では、計画的に事前防災対策を進めるために、気候変動の影響による将来の降雨量の増加等を踏まえた治水計画への見直 しを順次進めている。 海岸分野では、平均海面水位の上昇や台風の強大化等を踏まえ、「海岸保全基本方針」の変更(令和2年)や海岸保全施設の技術上の基準 の見直し(令和3年)を実施していく。今後は、気候変動の影響を明示的に考慮した海岸保全対策へと転換していく。 また、砂防分野では、土砂災害発生数の増加等の課題・解決の方向性をまとめた「気候変動を踏まえた砂防技術検討会令和5年度版とりまとめ資料(案)」を受け、これに基づいた適応策を検討していく。

(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書”

b流域治水の加速化・深化
河川管理者等が主体となって行う治水事業等を強力に推進するとともにあらゆる関係者が協 働して、流域全体で治水対策に取り組む「流域治水」を推進します。流域治水では、集水域と河 川区域のみならず、氾濫域も含めて一つの流域として捉え、地域の特性に応じ、堤防整備や河道掘削、ダム、遊水地、砂防堰堤等の整備といった、①氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策に加えて、②被害対象を減少させるための対策や、③被害の軽減、早期復旧・復興のための対策をハード・ソフト一体で総合的、かつ、多層的に進めることとしています。 具体的には、各水系で重点的に実施する治水対策の全体像を取りまとめた「流域治水プロジェクト」について、気候変動の影響による降雨の増大を踏まえ、流域治水の取組みを更に加速化・深化させるため、気候変動を踏まえた計 画への見直しに加え、まちづくりや内水対策などの流域対策を充実させた「流域治水プロジェ クト2.0」に順次更新します。また、流域治水の実効性を高めるため、「特定都市河川浸水被害対策法」に基づく特定都市河川を全国の河川に 拡大し、ハード整備の加速に加え、国・都道府 県・市町村・企業等のあらゆる関係者の協働による水害リスクを踏まえたまちづくり・住まいづくり、流域における貯留・浸透機能の向上等 を推進していきます。

●南海トラフ巨大地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震への対応
南海トラフ巨大地震が発生した場合、地震発生後数分から数十分で巨大な津波が関東から九州の太平洋側に押し寄せ、沿岸部を中心に広域かつ甚大な被害の発生が想定される。 また、首都直下地震が発生した場合、強い揺れに伴う建物の倒壊や火災により、特に密集市 街地で甚大な被害の発生が想定される。
さらに、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震が発生した場合、巨大な津波が、北海道から千葉県にかけての太平洋沿岸に襲来し、甚大な被害の発生が想定される。特に、冬季には積雪寒冷地特有の対応が必要となる。また、南海トラフ及び日本海溝・千島海溝沿いでは、M7クラス以上の地震が発生した後に続けてM8クラス以上の大規模地震が発生する可能性があり、被害が拡大する恐れがある。
これらの切迫する地震に対し国土交通省では、「応急活動計画」と「発生に備え推進する 対策」の2本柱で構成される「国土交通省南海 トラフ巨大地震対策計画」及び「国土交通省首都直下地震対策計画」について、近年の地震に おける知見等を踏まえ、適宜計画を見直しながら、地震防災対策を推進している。

日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策については、令和4年5月に「日本海溝・千島海溝 周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別特措法」が改正されたことを受け、同年11月に「国土交通省日本海溝・千島海溝周 辺海溝型地震対策計画」の改定を行った。このこの計画では、積雪寒冷地特有の課題を考慮した避難路・避難場所の整備や後発地震への注意を促す情報の発信の実施などを位置付けており、対策を推進している。

(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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