キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

基礎編・理論編

MBO 目標管理ーキャリアコンサルタントの知恵袋|テクノファ

投稿日:2024年4月21日 更新日:

キャリアコンサルタントに有用なお話をしたいと思います。横山哲夫先生(1926-2019)がいたモービル社では、主要ラインの長(役員)を委員とする会議をトップが招集し、各種の人事資料を基にして幹部職位の後継可能者の一人ひとりについて論議をつくし、多面評価と育成プランの検討を行なっていました。この人材育成会議は、同社ではトップの交替にかかわらず継続されており、席上決定をみたプラン以外の異動、昇進、教育、配転が行なわれることはめったにありませんでした。密室や派閥の人事とはまったく無縁の年次定例会議が丸々二日間人材育成のみを討議する会議として全社員に周知されていました。モービル社はまた、例年、別の時期に、全部長、全支店長をトップの名において招集し、若年層を対象として実績と将来性予測にもとづく、個別の育成プランを決める会議を開いていました。この会議もまた、昼夜二日間にわたる人材の確認と育成にしぼられた合宿会議でした。
モービル社の事例が知れ渡ると大手証券会社の中に、モービル社の幹部後継者育成会議と類似する会議を開く例が出てきました。また、大手チェインストアであるK社では、モービル社をモデルとし育成会議のみならず人材開発委員会(役員、ライン部長で構成)の発足にまで、一気に踏みきっています。

敢えてくりかえす。わが国の大方の企業のトップマネジメントは、人材育成をロで強調する割には、具体的な事実で示していない。事実とは、第一に、将来の指導者たるべき人材が、できるだけ早い時期に見出され、次いで当人の意思の確認と、組織側の責任者のコンセンサスのもとに、ローテーション、プロモーションを含む具体的な育成プランを推進するシステムの構築などを明確に指示する行動をとっていない、という事実。第二に、トップ自身が、自ら人材育成そのもののための会議を招集、参加し、あるいは人材育成に熱意を示す部下幹部の努力を讃えるなどして、人材育成がトップの重大関心事であることを身を以て示すことをしていない、という事実である。逆にまた、人材流出の責任を間うことなども、トップのヒトへの関心を示す一つの手だて(事実)であろう。

第一にあげたシステムづくりには準備、整備に時間がかかる。トップが現状の体勢のままでも直ちに断行できるのは、第二にあげたアクション、すなわち、従来トップがやらなかったことを実際にやってみせることである。その行動が、組織内に新たな連鎖反応をひきおこす起爆剤となることは間違いない。

出典 個立の時代の人材育成 横山哲夫 生産性出版 2003年

横山先生はトップがダメなら人材育成はできない、などといっていません。革新の先頭をきるべき人事教育スタッフや社長室スタッフが、個立の時代の人材育成についての認識を深めると共に、ライン(の長)の協力を得れば、トップの大号令を抽き出すことができることを言っています。スタッフ自身の戦略的変身の姿勢が、トップとラインに大きな影響を与えるとも言っています。
(つづく)平林良人

-基礎編・理論編

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタント養成講座 46

横山哲夫先生が2019年6月に逝去されて今年は3回忌になります。テクノファでは2004年に先生のご指導でキャリアコンサルタント養成講座をご指導いただいた立ち上げさせていただいて以来、今年まで実に14年もの間横山哲夫先生の思想に基づいた養成講座を開催し続けさせてきました。 キャリアコンサルタント養成講座をご指導いただいた横山哲夫先生はモービル石油という企業の人事部長をお勤めになる傍ら、組織において個人が如何に自立するか、組織において如何に自己実現を図るか生涯を通じて研究し、又実践をされてきた方です。 横山哲夫先生は、個人が人生を通じての仕事にはお金を伴うJOBばかりでなく、組織に属していようがい …

相談者の面接目標達成ヘルピング技法_キャリアコンサルティングとキャリアカウンセリング2

ヘルピング技法について(1)かかわり技法(事前段階)(2)応答技法(第1段階)(3)意識化技法(第2段階)を解説してきました。第2段階までに用いられてきた技法は、自己理論、精神分析理論、そして論理療法を伏線としており、ヘルピーが自分の実態「現在地」に気づき、なりたい自分の「目的地」に気づくことをサポートするためのものでした。 これから解説する(4)手ほどき技法は、既に記したように行動療法が伏線になっています(國分康孝1996年「カウンセリングの原理」)。しかしながら、行動療法というと治療的意味合いが強くなってしまうので、これを意識して以下の解説では行動カウンセリングと記します。これは、私たちの …

キャリアコンサルタントの相談実施における留意事項

キャリアコンサルタントの相談実施における留意事項について説明します。 故木村周氏は著書『キャリアカウンセリング(改訂新版)』のなかで、キャリアガイダンスとキャリアカウンセリングについて、その他広く行われているガイダンスやカウンセリングと比較して、その特徴を述べています。 ■キャリアコンサルタントの相談の特徴 ①問題行動の除去や治療ではなく、個人のよりよい適応や成長、あるいは発達を援助することに重点を置く。 ②進路の選択、職業選択、キャリアルートの決定などの具体的な目標達成を目指すことを援助する。 ③特定の理論や手法にとらわれず、さまざまな理論や手法を使用する。 ④6つのステップ(キャリアガイダ …

横山哲夫先生の「個立の時代の人材育成」からの紹介

横山哲夫先生が2019年6月に逝去されて今年は6年になります。テクノファでは2004年に先生のご指導でキャリアコンサルタント養成講座を立ち上げさせていただいて以来、今年まで実に14年もの間先生の思想に基づいた養成講座を開催し続けさせてきました。 横山哲夫先生はモービル石油という企業の人事部長をお勤めになる傍ら、組織において個人が如何に自立するか、組織において如何に自己実現を図るか生涯を通じて研究し、又実践をされてきた方です。 横山哲夫先生は、個人が人生を通じての仕事にはお金を伴うJOBばかりでなく、組織に属していようがいまいが、自己実現のためのWORKがありはずであるという鋭い分析のもと数多く …

職業選択の代表的な理論

キャリアカウンセリングの理論は、学者・研究者の立場やアプローチの違い、あるいは歴史的な流れによって分類できますが、分類の仕方が人によって異なります。この点を踏まえつつ、キャリアコンサルタントに必要であると思われる職業選択の代表的な理論を紹介します。 1.マッチング理論 ヴォケーショナル・ガイダンスの創始者ともいわれているF.パー ソンズの理論です。パーソンズはその有名な著書『Choosing A Vocation(職業の選択)』で、合理的な職業選択は、 ①自分の興味や能力や性格などの諸特性を明確に理解し、 ②さまざまな仕事や職業に関する的確な情報や知識を習得し、 ③この2つについての合理的な推 …