キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

実践編・応用編

日本のICT技術政策の動向

投稿日:2026年2月18日 更新日:

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。

これまでの取組
総務省では、次世代の基幹的な情報通信インフラとして、あらゆる産業や社会活動の基盤となり、国境を越えて活用されていくことが見込まれるBeyond 5Gに向けた取組を中心として、情報通信分野の技術政策を推進しています。具体的には、2020年6月の「Beyond 5G推進戦略」以降、情報通信審議会において、「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」に関する審議が進められるとともに、これを踏まえた研究開発基金を設置し、民間事業者等によるBeyond 5Gの研究開発及び国際標準化活動に対する支援を強化してきています。

また、2021年3月に閣議決定された「第6期科学技術・イノベーション基本計画」(令和3年3月26日閣議決定)における国民の安全と安心を確保する持続可能で強靱な社会等の実現に向け、関係府省が連携・協力して先端分野の研究開発等を推進しており、総務省は、AI、量子、リモートセンシング、宇宙等の分野における取組を進めているところです。
NICT(情報通信研究機構)においては、第5期中長期計画期間(2021年4月~2026年3月)において、重点5分野(電磁波先進技術、革新的ネットワーク、サイバーセキュリティ、ユニバーサルコミュニケーション、フロンティアサイエンス)についての基礎的・基盤的な研究開発等を推進しています。さらに総務省は、技術イノベーションの創出や、社会実装の担い手の一つであるスタートアップについて、先端的なICTの創出・活用による次世代の産業の育成に向けた支援を行っています。

今後の課題と方向性
Beyond 5Gについては、官民における取組が進展し、より社会実装・海外展開を意識するフェーズへと移行してきていることや、AIの爆発的普及といった新たな環境変化や課題等を踏まえ、総務省は2024年8月30日、「AI社会を支える次世代情報通信基盤の実現に向けた戦略 – Beyond 5G推進戦略 2.0 -」を公表したところであり、これに基づき、研究開発・国際標準化・社会実装・海外展開等の各種取り組みの支援を進めています。
また、情報通信審議会においては、「第6期科学技術・イノベーション基本計画」やNICTの次期中長期目標等を見据え、近年の社会情勢の変化、技術の進展及び市場の動向等を踏まえつつ、ICT分野で国、NICT等が取り組むべき重点研究開発分野・課題及び研究開発、成果展開等の推進方策について検討が進められています。

Beyond 5G
総務省では、2021年9月30日に「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」について情報通信審議会に諮問し、2022年6月30日に、我が国が注力すべきBeyond 5Gの重点技術分野や予算の多年度化を可能とする枠組の創設等の提言を含む中間答申が取りまとめられました。
本中間答申を踏まえ、「国立研究開発法人情報通信研究機構法及び電波法の一部を改正する法律」(令和4年法律第93号)が2022年12月に成立し、これを受けて、2023年3月にNICTに設置された研究 開発基金の運用が本格化してきています。
また、2024年6月18日に最終答申が取りまとめられたことを受け、2024年8月30日に総務省において「AI社会を支える次世代情報通信基盤の実現に向けた戦略 – Beyond 5G推進戦略2.0 -」を公表し、社会実装・海外展開に向けた民間事業者等における研究開発、国際標準化、社会実装・海外展開等 の各種取組の支援を進めています。

革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業
総務省では、2023年3月にNICTに恒久的な基金を造成し、新たに革新的情報通信技術(Beyond 5G (6G))基金事業を実施しています。
本基金事業の主たる対象である「社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム」については、情報通信審議会中間答申を踏まえ、「オール光ネットワーク技術」、「非地上系ネットワーク技術」、「セキュアな仮想化・統合ネットワーク技術」を重点技術分野とし、社会実装・海外展開に向けた戦略とコミットメントをもった研究開発プロジェクトを重点的に支援する「事業戦略支援型」と、社会実装・海外展開の早期の実現のために必要となる業界横断的な共通基盤領域又は協調領域に該当する技術を国が主導して開発する「共通基盤技術確立型」の2種に分類されます。

その実施に当たっては、2023年度に社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム(事業戦略支援型)等において17件の主要な研究開発プロジェクトを採択するとともに、同プロジェクトと一体で取り組むべき国際標準化活動に対する支援を開始しました。さらに、2024年度には、社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム (共通基盤技術確立型)において、オール光ネットワークの事業者間連携のための共通基盤技術の研究開発を開始するなど、基金事業を活用したBeyond 5Gの実現に向けた取り組みが進められています。

Beyond 5Gの国際標準化活動
総務省では、基金事業による企業の国際標準化活動の支援に当たり、「国際標準化活動支援要件」(2024年3月18日公表)を定め、それに基づき運用しています。この支援要件は、情報通信審議会、情報通信技術分科会、技術戦略委員会、革新的情報通信技術プロジェクト事業面評価等WGにおいて検討を行いとりまとめた「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業による国際標準化活動に対する支援の在り方について」(2024年3月8日公表)を踏まえ策定したもので、
①事業戦略に基づいたトップマネジメ ントによる戦略的な活動体制
②事業戦略上の国際標準化の位置づけ
③国際標準化活動の具体性
の3つを企業に求めています。2024年度には、「社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム(事業戦略支援型)」において採択された研究開発プロジェクトの実施者のうち9者を対象に、その国際標準化活動を支援しました。

また、Beyond 5G時代に向け、次世代の企業経営等の中核を担う若手人材を対象とした組織・企業の枠を超えた研修活動「リーダーズフォーラム」や企業(特に経営・事業部門)向けの意識啓発・情報発信を目的とした「新ビジネス戦略セミナー」を実施するとともに、2023年度から情報通信・デジタルと多様な分野・産業との架け橋を担う新たな産業連携活動「XG Ignite」を実施しています。

さらに、国際標準化活動を研究開発の初期段階から推進するため、信頼でき、かつ、シナジー効果も期待できる戦略的パートナーである国・地域の研究機関等との国際共同研究を実施しています。具体的には、「日EUデジタルパートナーシップ(2022年5月)」を踏まえ、革新的情報通信技術(Beyond 5G (6G))基金事業「要素技術・シーズ創出型プログラム」において、2025年から、AIにより運用や制御を自律的に行う無線ネットワークに関する欧州委員会との国際共同研究を開始しました。また、総務大臣とドイツの教育研究大臣との間でなされた協力趣意書への署名(2023年5月)及び第7回日独ICT政策対話(同年6月)を踏まえ、同プログラムにおいて、ドイツとのオール光ネットワークのデジタルツイン技術に関する国際共同研究を2025年より開始しています。

2024年4月に次世代移動通信の推進体制を強化し、Beyond 5G技術の社会実装に向けた取組を一層促進することを目的に、「Beyond 5G推進コンソーシアム」と「第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)が統合され、「XGモバイル推進フォーラム(XGMF)」が設立されました。XGMFでは、活動の一環としてBeyond 5Gの将来技術動向および利用シナリオを想定した検討を実施しており、これを踏まえ2024年12月に「Beyond 5Gホワイトペーパー4.0版」を公表しています。

さらに、総務省は国内外の関係者間の連携強化を目的に、2024年10月、XGMF、電波産業会、東京大学とともに、CEATEC 2024において、5G/6Gスペシャルデーとして、「5G国際ワークショップ」、「ローカル5G国際ワークショップ」および「5G/6G国際カンファレンス」を開催しました。

Beyond 5Gの普及・拡大に向けた取組
Beyond 5G推進戦略2.0では、2030年代のAI社会を支える次世代情報通信基盤について、低遅延・低消費電力で、品質が保証され、かつ柔軟で低コストなインフラであることが期待されており、その実現には、我が国が強みを有するオール光ネットワーク技術の確立・高度化とともに、その社会実装と本格的な活用が必要不可欠としています。

これまで総務省は、革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業により、オール光ネット ワーク技術による通信インフラの超高速化、超低遅延化と省電力化に向けた研究開発に取り組んできているところです。これに加え、2030年頃の我が国における社会実装と本格的な活用を目指す観点からは、こうした最先端の研究開発成果を、多様な関係者が、早い段階から実際に製品化等の確認・検証できる環境が求められています。このような検証環境が早期に整備されることにより、我が国が強みを有する技術・製品・サービスの事業化サイクルの加速化や、他国に先駆けたオール光ネットワークの早期社会実装が可能になることに加え、これら技術・製品・サービスの海外展開による我が国の国際的競争力の強化につながることが期待されています。
こうした背景から、総務省においては、多様な関係者が製品化等にあたって実際に確認・検証をできる実証基盤環境(イノベーションハブ)の段階的な構築に取り組むこととし、2025年中に整備計画等を策定し、2026年度からの本格整備・拡張を目指しています。

Beyond 5Gを取り巻く国内外の動向
民間事業者等における取組
NTTが提唱するIOWN構想は、2019年にNTT、インテル、ソニーが設立した業界フォーラム「IOWN Global Forum」の国内外の参加団体数が順調に増加するとともに、日本の通信業界としても、楽天モバイルに加え、2023年3月にはKDDIが参加するなど、オールジャパンとしての取組になりつつあります。

2023年3月には、NTT東西が、超低遅延を実現するオール光ネットワーク「IOWN 1.0」の商用 サービスを開始し、2025年の大阪・関西万博では夢洲会場内のパビリオン・催事施設等の主要施設間にIOWNを提供したほか、KDDI及びソフトバンクも、オール光ネットワークを自社コア網に導入したことを発表しました。
また、低軌道衛星や高高度プラットフォームシステム(HAPS:High Altitude Platform Station) 等の非地上系ネットワーク(NTN)については、ソフトバンクが、あらゆる通信技術を1つに統合し、ユースケースに合わせて陸・海・空どこでも通信を提供するユビキタスネットワーク構想の実現に向けて、低軌道衛星とともに、「HAPSアライアンス」等を通じたHAPSの活用を推進しています。スペースコンパスとNTTドコモはHAPSの2026年のサービス提供開始を目指した取組を推進しており、2025年2月にケニアにおいてデータ通信の実証実験に成功したことを発表しています。また、楽天モバイルは、2024年2月、AST SpaceMobile社との衛星と携帯端末の直接通信による国内サービスを2026年内に提供を目指す計画を発表しています。

社会実装に向けた取組
Beyond 5Gの実現に向けては、様々な民間事業者、団体等において社会実装に向けた取組を進めています。
IOWN Global Forumでは、IOWN構想の実現と普及に向け、2030年頃の将来を見据えたユースケースだけでなく、2025年頃の実用化・事業化を目標としたユースケースを各業界と連携して検討しており、2025年頃の初期導入事例として、金融業界向けデータセンター接続、放送業界向け遠隔・クラウドメディア制作等を挙げています。今後、商用化に向けて仕様策定や実証を進めていくとしています。

実際に、東急不動産では、2023年6月にNTT各社とIOWN構想に関連した技術・サービス等を活用した新たなまちづくりに向けた協業に合意し、最初の取組として、2023年12月に「Shibuya Sakura Stage」へIOWN 1.0を導入しました。
また、国際標準化に向けては、NICTや「Beyond 5G推進コンソーシアム」等を中心に、Beyond 5Gに係る国際的なビジョン作りに貢献してきており、2023年11月には国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)において、我が国の提案も反映される形で、6Gを念頭においた「IMT-2030」の能力やユースケース等を含む全体像を示すフレームワーク勧告が承認されました。

さらに、2023年世界無線通信会議(WRC-23)では、HAPS等の非地上系ネットワーク(NTN) を含めたBeyond 5Gの実現に向けた議題において周波数等が確保されました。

海外展開に向けた取組
Beyond 5Gに向けては、NTT各社は、IOWN Global Promotion Officeを設立する等してグロー バル展開に取り組んでおり、NTT及びNTTデータグループが米国及び英国においてオール光ネットワークによるデータセンター間接続の実証を実施しているほか、2023年10月、NTTと台湾・中華電信との間で、IOWNによる国際ネットワーク接続の実現に向けた基本合意書を締結し、2024年8月、中華電信のデータセンターからNTT武蔵野研究開発センターまで約3,000kmのオール光ネットワークを開通しました。これに加え、富士通も、2024年2月、中華電信との間で、台湾におけるIOWN構想に基づくオール光ネットワークの構築に向け、共同検討することを発表しているほか、2024年8月、欧州におけるオール光ネットワークのビジネス展開を目的としたオープンAPNラボをドイツに開設しました。また、光分野においては、我が国企業が特に北米を中心とする世界市場において主要な伝送装置のシェアを伸ばしています。

(出典)総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/pdf/index.html
(つづく)Y.H

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

今後の日本の経済社会の構築 2

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、経済の社会の構築について、お話しします。今後の日本経済は、より高い製品開発能力を獲得し、製品の付加価値を高めながらアジアを中心とする諸外国との経済分業の下で、互恵的な経済社会の発展を追及していくことが基本的な方向です。 ○航空自由化戦略的推進による我が国の国際航空網の拡充 国際航空網の拡充を図るため、我が国では航空自由化(オープンスカイ)を推進しています。 首都圏空港の厳しい容量制約を背景に、羽田空港を自由化の対象外とするなど一部制約が残るが、我が国を発着する国際旅客便数は、成田空港における二国間輸送を自由化の対象に追 …

欧州連合の労働施策 4

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 欧州連合の労働施策の最終回です。日本と欧州連合(EU)とは、共に世界貿易の担い手であり、二者間の貿易関係は、双方にとって重要です。二国は、戦略的な貿易パートナーであり、2019年2月に発動した日・EU経済連携協定は多くの経済的メリットを生み出しています。また、安全保障から気候変動・エネルギー・デジタル等広範な分野において協力しています。 ◆労使関係施策 労働施策の策定に当たっては政労使の対話が重視されています。欧州委員会、欧州理事会が政策立案を行う際は労使に協議を行うとされています。労使が労働協約を結び、EUが認めれば、その内容が …

今後の日本の経済社会の構築5

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、経済の社会の構築について、お話しします。今後の日本経済は、より高い製品開発能力を獲得し、製品の付加価値を高めながらアジアを中心とする諸外国との経済分業の下で、互恵的な経済社会の発展を追及していくことが基本的な方向です。 ●鉄道車両工業 鉄道新造車両の生産金額は、国内向けは平成28年度から増加傾向である一方、輸出向け はその年の受注状況によって波があります。令和4年度の生産金額は2,542億円(1,798両)でした。生産金額の構成比は国内向け79.6%(2,023億円)、輸出向け20.4%(518億円)であり、前年度比は …

日本の環境の保全と創造 5

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、環境の保全と創造についてお話しします。環境保全とは、自然環境や生態系を保護し、持続可能な状態を維持するための取組みのことです。保全の目的は、自然資源の持続可能な利用や再生、生物多様性の保全、大気や水の浄化、エネルギーの効率的な利用などです。これらにより、地球上の生態系のバランスを保ち、将来世代に美しい環境を受け継ぐことができます。 ■水の恵みを将来にわたって享受できる社会を目指して 水資源政策については、平成27年3月国土審議会答申に基づき、安全で安心できる水を確 保し、安定して利用できる仕組みをつくり、水の恵みを将来 …

インバウンド観光立国の実現 

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 日本は、現在景気の低迷や少子高齢化の影響で国内消費の拡大が難しくなっています。そこで観光に注力しインバウンド客を呼び込んで消費を促そうと考えています。温泉、和食、侍、神社、豊かな自然など、日本には海外の人に好まれるコンテンツが豊富にあります。しかし、今までアピール力が不十分でした。今、そういった部分を見直す動きが出ています。今回は、観光立国実現についてお話しします。 ◆観光をめぐる動向 ■観光立国の意義 観光は、成長戦略の柱であって地域活性化の切り札であります。我が国には、国内外の観光客を魅了するすばらしい「自然、気候、文化、食」 …