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実践編・応用編

日本のICT利活用の推進2

投稿日:2026年2月16日 更新日:

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。

前回に引き続き、ICT利活用の推進について、お話しします。
インターネット上の偽・誤情報
総合的対策の推進
SNS等のインターネット上の偽・誤情報等は短時間で広範に流通・拡散し、国民生活や社会経済活動に重大な影響を及ぼし得る深刻な課題となっています。このため、総務省では、国際的な動向も踏まえつつ、表現の自由に十分配慮しながら、制度的対応、対策技術の開発支援、幅広い世代のリテラシーの向上も含めた総合的な対策を積極的に進めています。

制度的な対応
情報流通プラットフォーム対処法
インターネット上の違法・有害情報の流通は引き続き深刻な状況であり、総務省では、関係者と連携しつつ、誹謗中傷、海賊版などの様々な違法・有害情報に対する対策を継続的に実施してきています。総務省では、特にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)をはじめとするプラットフォームサービス上における誹謗中傷に関する問題が深刻化していることを踏まえ、2020年9月に取りまとめ、公表した「インターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージ」に基づき、関係団体などと連携しつつ、
①ユーザーに対する情報モラル及びICTリテラシー向上のための啓発活動
②プラッ トフォーム事業者の自主的な取組の支援及び透明性・アカウンタビリティの向上
③発信者情報開示に 関する取組
④相談対応の充実
といった取組を実施しています。

また、「プラットフォームサービスに関する研究会」において、プラットフォーム事業者へのヒアリ ング等を行い、2022年8月、違法・有害情報への対応について今後の方向性などを取りまとめた「第二次とりまとめ」を公表しました。
これを踏まえ、
①プラットフォーム事業者による削除等の透明性・アカウンタビリティ確保のあり方
②違法・有害情報の流通を実効的に抑止する観点からのプラットフォーム事業者が果たすべき役割のあり方
をはじめとした誹謗中傷等の違法・有害情報への対策を主な論点とした上で、専門的・集中的に検討するための有識者会合として、2022年12月から「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」を開催しました。本ワーキンググループでの議論の結果、誹謗中傷等の違法・有害情報の削除等について、法制上の手当てを含め、
①一定期間内の応答義務等を課すことによる対応の迅速化
②基準の策定や運用状況の公表等による透明化
を、不特定者間の交流を目的とするサービスのうち、一定規模以上の事業者に求めることが適当と取りまとめられました。

本ワーキンググループの取りまとめを受け、2024年2月、「プラットフォームサービスに関する研究会 第三次とりまとめ」が公表されるとともに、本報告書を踏まえ、2024年5月、プロバイダ責任制限法の一部改正法が成立しました。なお、同改正法により、プロバイダ責任制限法の題名は「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(通称:情報流通プラットフォーム対処法)に改められました。
同改正法の施行に当たり、総務省では、どのような情報を流通させることが権利侵害や法令違反に該当するのかを明確化するとともに、大規模特定電気通信役務提供者が「送信防止措置の実施に関する基準」を策定する際に盛り込むべき違法情報を例示するため、「違法情報ガイドライン」を策定しました。

デジタル広告
SNS等を通じて対面することなく交信を重ねるなどして関係を深めて信用させ、投資金名目やその利益の出金手数料名目などで金銭等をだまし取る「SNS型投資詐欺」の認知件数及び被害額は、2023年1月から2024年12月の2年間で、認知件数として8,684件、被害額にして約1,149.0億円という甚大な被害をもたらしています。
SNS型投資詐欺における当初の接触手段としては、SNS等におけるバナー等広告が全体の約半数を占めています。特に、SNS等において、個人又は法人の氏名・名称写真等を無断で利用して著名人等の個人又は有名企業等の法人になりすまし、投資セミナーや投資ビジネスへの勧誘等を図る広告(なりすまし型「偽広告」)を端緒としたSNS型投資詐欺が問題になっています。

こうした状況を受け、総務省では、「国民を詐欺から守るための総合対策(令和6年6月18日犯罪対策閣僚会議決定)」を踏まえ、同月21日に、SNS等を提供する大規模事業者に対して、SNS等におけるなりすまし型「偽広告」への対応に関する実施を要請しました。
要請の発出後、2024年10月に「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」(以下「諸課題検討会」という。)の下で開催される「デジタル広告ワーキンググループ」において、要請を実施したプラットフォーム事業者5社(ByteDance、Google、LINEヤフー、Meta、X)に対してなりすまし型「偽広告」への対応に関するヒアリングを実施し、同年11月にその評価を「ヒアリング総括」として公表しました。「ヒアリング総括」においては、広告出稿時の事前審査等及びなりすまし型「偽広告」の削除等に関して、ヒアリングの評価結果を踏まえて事業者に更なる対応の改善を求めるとともに、その対応状況を総務省としてモニタリングすることを通じて、SNS等のサービスを利用する利用者の保護の観点から必要な対応を検討することとされました。

対策技術の開発・実証
技術革新のスピードが速い生成AIの活用は、社会課題の解決や産業競争力の向上等に貢献する一方で、国民生活全般へのリスクにもなり得るものであり、インターネット上の偽・誤情報への対応という観点からも、生成AIを含む技術の更なる精緻化・巧妙化に備えることが必要です。
総務省では、例えば、インターネット上の画像・映像が生成AIにより生成されたものか否かを判別するための対策技術や、情報発信者の真正性・信頼性を確保する技術等の開発・実証に取り組んでいます。

幅広い世代を対象としたICT活用のためのリテラシー向上推進
普及啓発教材等の開発
総務省では、幅広い世代でのICTの利用機会の拡大や、インターネット上での偽・誤情報の流通の問題の顕在化といったICTを取り巻く環境の変化に対応するため、2022年11月から「ICT活用のためのリテラシー向上に関する検討会」及び12月から「青少年のICT活用のためのリテラシー向上に関するワーキンググループ」を開催し、これからのデジタル社会において求められるリテラシーの在り方やリテラシー向上施策の推進方策についての検討を進めています。2023年6月には、同検討会や同 ワーキンググループにおける検討の結果を踏まえ、「ICT活用のためのリテラシー向上に関するロードマップ」を公表しました。ロードマップでは、短期的又は中長期的に取り組むべき事項の方向性を整理しており、2023年度は短期的取組として、ICT活用のためのリテラシー向上に必要となる能力の整理や幅広い世代に共通する課題に対応した学習コンテンツの開発を実施しました。2024年度は中長期的取組として、世代別(青少年層、保護者層、高齢者層)の特徴を踏まえた普及啓発教材等の開発を実施しました。

安心・安全なインターネット利用に関する啓発を目的としたサイト「上手にネットと付き合おう!~ 安心・安全なインターネット利用ガイド~」では、未就学児・未就学児の保護者、青少年、保護者・教職員、シニアに向けたコンテンツを掲載し、リテラシー向上に取り組んでいます。 偽・誤情報への対策としては、2024年度に、最新の事例や生成AIの影響等を踏まえて、啓発教育教材「インターネットとの向き合い方~ニセ・誤情報にだまされないために~」を改訂しました。

AIの普及促進とリスクへの対応
近年、AIの技術開発は急速な進展を遂げており、2022年11月に提供を開始したOpenAI社のChatGPTを始めとするAIサービスが普及しています。特に生成AIは、偽・誤情報の拡散等の懸念やリスクも存在しますが、生産性の向上や労働力不足の解消等、多大な便益をもたらすことが期待されており、世界でAIの可能性に向ける注目が格段に高まっています。

こうした中、生成AIに関する国際的なルールの検討を行うため、2023年5月のG7広島サミットの結果を踏まえ、生成AIについて議論するために「広島AIプロセス」が立ち上がりました。同年12月の閣僚級会合では「広島AIプロセス包括的政策枠組み」をとりまとめ、G7首脳で承認を行いました。広島AI プロセスについては、引き続き「広島AIプロセスを前進させるための作業計画」のもとG7各国が中心となり、OECDやGPAI及び国連等の多国間の場における協調と協力も得て更なる前進を図ることとしています。

国内では、AI技術の急激な変化や国際的な議論を踏まえ、政府の司令塔として2023年5月にAI戦略会議を立ち上げ、様々な課題に関して幅広い知見を有する有識者のもと集中的に議論を行っています。総務省及び経済産業省は、AI戦略会議でとりまとめられた「AIに関する暫定的な論点整理」(2023年 5月)を踏まえ、2024年4月に「AI事業者ガイドライン」第1.0版の策定・公表を行いました。なお、AI事業者ガイドラインは、AIを巡る動向や課題、国際的な議論等を踏まえ、適宜更新を行うこととしており、同年11月には時点更新(第1.01版)、2025年3月には、RAGやマルチモーダルなAIの普及といった国内外の最新動向を踏まえた更新(第1.1版)を行いました。

国内外のAIに関するルール整備が進む中、2024年8月には、AIに係る法制度の要否を含む制度整備の議論を行う場として、AI戦略会議の下で第1回AI制度研究会が開催されました。本研究会が2025年2月にとりまとめた「中間とりまとめ」を踏まえた、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」が第217回国会(常会)にて成立した(令和7年法律第53号)。本法律では、AIのイノベーション推進とリスク対応の両立を基本的な考え方として、政府の司令塔機能強化のための「AI 戦略本部」の設置、政府が推進すべきAI政策の基本的な方針を定めた「AI基本計画の策定」、AIの適正性確保のための国際規範に即した「指針」の整備、国による調査・情報収集、事業者への助言等が規定されています。

さらに、上述のとおりAIの技術開発及びAIの活用が官民において急速な進展を遂げていることから、 政府の様々な業務への生成AIの利活用促進とリスク管理を表裏一体で進めるため、デジタル庁が総務省、経済産業省等と協力し、「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」 (令和7年5月27日デジタル社会推進会議幹事会決定)の策定に向けた検討を行い、2025年5月にデジタル社会推進会議幹事会において決定・公表されました。

メタバースの安心・安全な利活用の促進
総務省では、安全・安心なサイバー空間の確保に向けた対応を進めることが必要であるという認識の下、将来的にメタバースがより一般に普及することを見据え、サイバー空間に関する新たな課題について把握・整理すべく、2022年8月から「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究 会」を開催し、2023年7月に報告書を取りまとめました。

報告書の内容を受け、メタバースの民主的価値に基づく原則等の検討やメタバースに係る技術動向等のフォローアップを行うとともに、国際的なメタバースの議論にも貢献することを目的として2023年 10月から新たに「安心・安全なメタバースの実現に関する研究会」を開催し、2024年10月に、メタバースの民主的価値の実現によるユーザーの安心・安全の確保のためにメタバース関連サービス提供者へ期待される取組をまとめた「メタバースの原則(第1.0版)」を含む「報告書2024」を取りまとめました。
「報告書2024」の内容を受け、総務省では、「メタバースの原則(第1.0版)」を踏まえた国際的な共通認識の醸成に向けた取組のほか、安心・安全なメタバースの実現とこれに基づく利活用促進を進めています。

安全・安心な情報の利用環境の整備
高齢者等のデジタル活用に対する支援向上
総務省では、社会全体のデジタル化が進む中で、デジタル・ディバイドを解消し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境を整備していくため、デジタル活用に不安のある高齢者などを対象として、スマートフォンを利用したオンライン行政手続等に関する助言・相談などについて、講習会形式で支援を行う「デジタル活用支援推進事業」に、2021年度から取り組んでいる。2024年度は、携帯電話ショップなどを中心に全国6,000か所以上で講習会を実施した。

青少年のインターネット利用環境の整備
総務省では、青少年がインターネット上の有害な情報等に接触することを防ぐためのフィルタリング利用の促進や、青少年・保護者等のリテラシー向上に向けた啓発など、青少年がインターネットを安心・安全に利用できる環境の整備に努めています。 具体的には、児童・生徒、保護者・教職員等に対する学校等の現場での無料の啓発講座である「e ネットキャラバン」の開催、インターネット利用に係るトラブル事例の予防法などをまとめた「インターネットトラブル事例集」の作成・公表を行うとともに、インターネット上の危険・脅威に対応するための能力とその現状等を可視化するため、毎年、全国の高等学校1年生を対象に「青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標(ILAS:Internet Literacy Assessment indicator for Students)」のテストを実施しています。
また、青少年のインターネットを利用した情報「発信」の拡大や、インターネット利用の低年齢化を踏まえ、こどもの成長や利用状況に即したペアレンタルコントロール26の効果的な普及啓発に取り組んでいる。

(出典)総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/pdf/index.html
(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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