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実践編・応用編

健康で安全な生活の確保3

投稿日:2026年10月4日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

前回に引き続き、健康で安全な生活の確保についてお話しします。

国民の多くは、健康で安全な生活をすることを願っています。一方で、大規模な自然災害が発生しても、機能不全に陥らないで復旧復興に取り組まねばなりません。また、日常生活に潜む危険(感染症等)などから身を守る対策にも万全を記す必要があります。

◆身体活動・運動

身体活動・運動の量が多い者は、少ない者と比較して循環器病、2型糖尿病、がん、ロコモティブシンドローム、うつ病、認知症等の発症・罹患リスクが低いという報告があります。厚生労働省では、「健康日本21(第三次)」における身体活動・運動領域の目標として、①「日常生活における歩数の増加」、②「運動習慣者の増加」、③「運動やスポーツを習慣的に行っていないこどもの減少」を設定しました。また、社会環境の質の向上に関する目標のうち、自然に健康になれる環境づくりとして、「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりに取り組む市町村数の増加を設定し、それぞれについて、目標値を定め、取組みを進めていくこととしています。

「健康日本21(第三次)」における身体活動・運動領域の取組みを推進するため、「健康づくりのための身体活動基準2013」を改訂し、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(以下「運動ガイド」という。)を公表しました。運動ガイドは、科学的知見に基づき、身体活動・運動領域の取組みを推進するため、健康づくりに関わる専門家(健康運動指導士、保健師、管理栄養士、医師等)、政策立案者(健康増進部門、まちづくり部門等)、職場管理者、その他健康・医療・介護分野における身体活動を支援する関係者を対象として、身体活動・運動に係る推奨事項や参考情報をまとめています。

運動ガイドにおいては、身体活動・運動に取り組むに当たっての全体の方向性として、個人差を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組む」こととしている。また、成人、高齢者に対しての推奨事項として、運動の一部として筋力トレーニングを週2~3日取り入れることや、座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意すること等を新たに示しています。

さらに、運動ガイドに基づいて、国民向けに「アクティブガイド-健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023-」を作成しています。

◆休養・睡眠

休養・睡眠は、生活の質に係る重要な要素であり、日常的に質・量ともに十分な睡眠をとり、余暇等で身体や心を養うことは、心身の健康の観点から重要です。

厚生労働省では、「健康日本21(第三次)」における休養・睡眠領域の目標として、①「睡眠で休養がとれている者の増加」、②「睡眠時間が十分に確保できている者の増加」、③「週労働時間60時間以上の雇用者の減少」を設定し、それぞれについて、目標値を定め、取組みを進めていくこととしています。

「健康日本21(第三次)」における休養・睡眠領域の取組みを推進するため、2024(令和6)年2月に「健康づくりのための睡眠指針2014」を改訂し、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(以下「睡眠ガイド」という。)を公表しました。睡眠ガイドは、科学的知見に基づき、休養・睡眠領域の取組みを推進するため、生活指導の実施者(保健師、管理栄養士、医師等)、政策立案者(健康増進部門、まちづくり部門等)、職場管理者、その他健康・医療・介護分野における良質な睡眠の確保を支援する関係者等を対象として、休養・睡眠に係る推奨事項や参考情報をまとめています。

睡眠ガイドにおいては、「健康日本21(第三次)」において目標として掲げられた適正な睡眠時間と睡眠休養感の確保に向けた推奨事項を「成人」「こども」「高齢者」と年代別に取りまとめました。また、良い睡眠には、光・温度・音等の環境因子、食生活・運動等の生活習慣、睡眠に影響を与える嗜好品との付き合い方も重要であるため、科学的知見を踏まえ、これらについて留意が必要な点を参考情報として取りまとめました。さらに、睡眠に関連する症状には、「睡眠障害」に起因するものがあるため、「睡眠障害」についても概説し、女性の健康等の観点からは、女性ホルモンの変動が睡眠に及ぼす影響を概説するとともに、現代社会の維持に不可欠な勤務形態の一つである交替制勤務における睡眠の不調等の健康リスクや生活習慣等において工夫できる点も整理しました。

◆たばこ

喫煙は、がん、循環器病、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの生活習慣病の最大の危険因子です。また、受動喫煙は、虚血性心疾患や脳卒中、肺がんに加え、乳幼児突然死症候群(SIDS)等のリスクを高めます。

厚生労働省では、「健康日本21(第三次)」における喫煙領域の目標として、①「喫煙率の減少(喫煙をやめたい者がやめる)」、②「20歳未満の者の喫煙をなくす」、③「妊娠中の喫煙をなくす」を設定し、社会環境の質の向上に関する目標のうち、自然に健康になれる環境づくりとして望まない受動喫煙の機会を有する者の割合の減少を設定し、それぞれについて目標値を定め、取組みを進めていくこととしています。

2005(平成17)年2月に「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)」が発効しました。我が国は2004(平成16)年にこの条約を締結しており、喫煙や受動喫煙が健康、社会、環境や経済に与える影響から、現在及び将来の世代を保護するという基本理念に沿って、たばこ対策の充実強化に取り組んでいます。

2016(平成28)年8月には、たばこを取り巻く社会環境の変化とともに新たに蓄積された科学的知見、たばこの現状と健康影響及び諸外国のたばこ対策等を整理するため、「喫煙の健康影響に関する検討会」を開催し、「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(通称、たばこ白書)を取りまとめました。

喫煙率を低下させる取組みとしては、2018(平成30)年5月に「禁煙支援マニュアル(第二版)」を増補改訂するなど、禁煙治療とともに禁煙支援の充実を図っています。

また、禁煙や受動喫煙防止の普及啓発活動として、WHOが世界禁煙デーとして定める毎年5月31日から1週間を禁煙週間としています。2016年11月には「受動喫煙のない社会を目指して」ロゴマークを発表しました。

受動喫煙対策については、2018年の第196回通常国会において、「望まない受動喫煙」をなくすことを目的とし、以下を主な内容とする「健康増進法の一部を改正する法律」が成立し、2020(令和2)年に全面施行されました。

・子どもや患者等が主たる利用者となる学校、病院、児童福祉施設等や行政機関(第一種施設)においては「敷地内禁煙」とすること

・これら以外の多数の者が利用する施設(第二種施設)においては「原則屋内禁煙」とすること

・既存特定飲食提供施設(既存の飲食店のうち、個人又は資本金5,000万円以下の中小企業であって、客席面積100m2以下のもの)については、別に法律で定める日までの間の措置として、標識の掲示等により店内での喫煙が可能であること

2017(平成29)年から実施している「喫煙環境に関する実態調査」においては、「健康増進法の一部を改正する法律」の施行後の状況の把握を行っており、2022(令和4)年度の調査では、第一種施設における敷地内全面禁煙の割合が86.3%、第二種施設における屋内全面禁煙が74.1%、喫煙専用室設置が9.7%となっています。

また、2022年には「たばこ対策に関する世論調査」を行い、「健康増進法の一部を改正する法律」による健康増進法の改正内容や喫煙による健康影響に関する知識について調査を行いました。

◆飲酒

アルコールは、様々な健康障害との関連が指摘されており、アルコール性肝障害、膵炎等の臓器障害、高血圧、心血管障害、がん等に深く関連しています。また、近年は若者や妊娠中の飲酒の弊害がより強く認識されるようになっています。2010(平成22)年5月のWHO総会において、「アルコールの有害な使用を軽減するための世界戦略」が採択されるなど、国際的に見てもアルコール対策は重要な課題と認識されています。

こうした状況を踏まえ、厚生労働省では、「健康日本21(第三次)」における飲酒領域の目標として、①「生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量を飲酒している者の減少」、②「20歳未満の者の飲酒をなくす」を設定した。また、ライフコースアプローチを踏まえた健康づくりに関する目標のうち、女性に関するものとして、③生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量を飲酒している女性の減少を設定し、それぞれについて数値目標を定め、取組みを進めていくこととしています。また、健診・保健指導の現場で活用されている「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」では、問題飲酒者に対するスクリーニングテストや減酒支援のほか、飲酒の質問項目に沿って作成しましたた、飲酒に係るリスクの評価(生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者)の表を提示しました。生活習慣病の発症予防・重症化予防を多角的に推進していくためには、保健・医療の現場における生活習慣の改善支援の一環として、食生活・身体活動・禁煙の支援とともに減酒支援を推進していくことが重要です。

さらに、「アルコール健康障害対策基本法」(平成25年法律第109号)に基づく「アルコール健康障害対策推進基本計画」については、2021(令和3)年度からのおおむね5年間を対象期間とする第2期計画が2021年3月に閣議決定され、アルコール健康障害の発生予防に向けた重点目標を設定するなど、総合的な対策の推進を図っています。また、2024(令和6)年2月には、第2期計画の基本的施策として、飲酒に伴うリスクに関する知識の普及の推進を図るため、国民それぞれの状況に応じた適切な飲酒量・飲酒行動の判断に資する「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。

◆歯・口腔の健康

歯・口腔の健康が社会生活の質の向上に寄与することや歯・口腔の健康と全身の健康との関連性についても指摘されていることを踏まえると、歯科疾患の予防や口腔機能の獲得・維持・向上等の歯・口腔の健康づくりは重要です。このため、歯・口腔の健康づくりの取組みをさらに強化していくことが求められています。

歯・口腔の健康づくりに際しては、2011(平成23)年8月に成立した「歯科口腔保健の推進に関する法律」(平成23年法律第95号)に基づき、2012(平成24)年7月に国や地方公共団体が歯科口腔保健に関する施策を総合的に推進するための「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」(平成24年厚生労働省告示第438号)を策定しました。

2022(令和4)年10月に取りまとめられた「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の最終評価では、歯科口腔保健の向上が図れた一方で、様々な課題が依然として存在していると評価されました。

最終評価を踏まえ、全ての国民が健康で質の高い生活を営む基盤となる生涯を通じた歯科口腔保健を実現することを目的に、2023(令和5)年10月に「歯科口腔保健の推進関する基本的事項(第二次)」(歯・口腔の健康づくりプラン。令和5年厚生労働省告示第289号)を策定し、引き続き、生涯を通じた切れ目のない歯科口腔保健を推進していきます。

厚生労働省では、1989(平成元)年から80歳になっても自分の歯を20本以上保つことにより、健やかで楽しい食生活を過ごそうという「8020(ハチマルニイマル)運動」を推進しています。また、毎年6月4日から10日までの1週間を「歯と口の健康週間」としており、この期間には地方自治体や歯科医師会等が様々なイベント等の取組みを実施しています。今後も様々な歯科口腔保健に関する施策の展開を図り、歯・口腔の健康づくりに取り組んでいきます。

■がん対策の総合的かつ計画的な推進

◆がん対策推進基本計画の策定

がんは、我が国において1981(昭和56)年から死因の第1位であり、2023(令和5)年には年間約38万人が亡くなり、生涯で約2人に1人ががんにかかると推計されています。また、人口の高齢化に伴いがんの罹患者や死亡者は今後も増加していくものと見込まれています。

このため、政府は、1984(昭和59)年度から「対がん10カ年総合戦略」、1994(平成6)年度から「がん克服新10か年戦略」、2004(平成16)年度から「第3次対がん10か年総合戦略」を策定し、がんの罹患率と死亡率の減少を目指し、研究、予防、医療等の総合的な推進に取り組んできました。また、議員立法により成立した「がん対策基本法」(平成18年法律第98号)に基づき、2007(平成19)年6月に「がん対策推進基本計画」(以下「基本計画」という。)を閣議決定しました。2016(平成28)年12月にはがん対策基本法が改正され、基本理念の追加や基本的施策の拡充が行われました。2023年3月には第4期基本計画を策定し、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」ことを全体目標として掲げて、「がん予防」、「がん医療」及び「がんとの共生」の診受診率の目標を50%から60%へと引き上げました。引き続き新たな医療技術の速やかな医療実装や患者・市民参画の推進、デジタル化の推進等に取り組んでいきます。

◆がん検診の推進

がん検診は健康増進法に基づく市区町村の事業として実施されており、厚生労働省では、2008(平成20)年に「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を定め、科学的根拠に基づくがん検診として、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん及び子宮頸がんの検診を推進しています。2024(令和6)年2月には、「がん検診のあり方に関する検討会」における議論を踏まえて当該指針を改正し、国が推奨する子宮頸がん検診に、HPV検査単独法を追加しました。

がん検診受診率の向上を目的として、2009(平成21)年より毎年10月を「がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン月間」(2023(令和5)年度以降は「がん検診受診率向上に向けた集中キャンペーン月間」)と定め、この期間中に「がん検診50%推進全国大会」(2023年度以降は「がん検診受診率向上推進全国大会」)を開催するなど、国民一人ひとりの行動を検診受診につなげるための各種施策を展開しており、職域においても、「がん対策推進企業等連携事業」にてがん検診受診率の向上などを推進しています。

各自治体の検診受診率向上のための支援として、がん検診のアクセシビリティ向上策等の実証事業において有効と認められた受診勧奨策をまとめた「受診率向上施策ハンドブック(第3版)」(2023年3月)を公表し、2023年度には、都道府県及び市町村を対象に、受診率向上効果が実証された受診勧奨策を自治体が主体的に実施できるよう支援するための研修事業を実施しました。

また、2020(令和2)年に公表された「2019年国民生活基礎調査」において、男性の肺がん検診受診率50%を達成したことやその他のがん種においても受診率が上昇傾向であることを踏まえて、2023年3月に策定した第4期基本計画では、がん検診受診率の目標を50%から60%へと引き上げ、引き続き、受診率向上に向けた取組みなどを進めるとともに、精密検査受診率90%を目指し、がんの早期発見につなげていきます。

(つづく)Y.H

(出典)厚生労働省 令和7年版 厚生労働白書

-実践編・応用編

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