実践編・応用編

キャリコンサルタント実践の要領 68 | テクノファ

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前回に続きキャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、現段階でのスーパービジョンの基盤整理のスーパービジョンの浸透の現実から記述します。

・スーパービジョンの浸透の現実

スーパービジョンの重要性は上述のとおりであるが、キャリアコンサルタントがスーパー ビジョンを受けている状況を示す公的調査は見当たらない。そこで、一般財団法人ACCNが会員に対して実施したアンケート調査(調査期間:2019年12月26日~2020年1月16 日)をみると、次のような結果となっている。

調査は、会員3,167人に対しWEBを活用して実施し、器6人から回答(回収率26.4%) を得た。

回答者の属性をみると、キャリアコンサルティングに関連する活動をしている(ほぼ毎日、不定期、週2-3回程度、週1回程度)割合は87.0%となっている。また、キャリアコンサルティングに関連する活動の通算年数は、「10年以上」が37%、 「5年以上10年未満」 が26%である。

これらの回答者がスーパービジョンを受けている状況をみると、「定期的に助言・指導を受けている」は7%、「受けたことはあるが最近は受けていない」は22%、「受けたことはない」が55%であり、80%弱のキャリアコンサルタントがスーパービジョンを現在は受けていない結果となっている。

スーパービジョンを「受けていない」理由としては、「周囲にスーパーバイザーがいない、 または、探し方がわからないから」が32%、「スーパービジョンの受け方やケース記録の作り方がわからないから」「費用がかかるから」「スーパービジョンを受ける時間がないから」 がそれぞれ10%-20%である。

この調査ではスーパービジョンを定義していないため、回答者によってスーパービジョンの捉え方が異なることに留意する必要があるが、キャリアコンサルタントの多くが助言・指導を受けておらず、スーパービジョンが普及していない実態がうかがえる。

・スーパービジョンの効果と重要性

本事業では、既に示した既存のスーパーバイザー養成等の実態把握、スーパービジョンのモデル実施及びアンケート・実施結果報告書の分析を行った。

上記の分析では、調査数に限りはあるがスーパービジョンの効果や今後のスーパービジョンの在り方の検討を進めるうえでの重要な示唆を与えている。

まずスーパーバイジー(キャリアコンサルタント)のスーパービジョンのモデル実施前の課題認識と実施後の問題解決の平均値の差異を見ると、15項目中で最も高い課題は「介入・介入評価」で、次いで「クライアント評価」「意思決定支援」「目標・方策の設定」「プロセス構築」と続く。また、スーパービジョンの振り返りのアンケート結果を見ると、10 項目中で平均値が最も高い項目は「自分の役に立った」で、「今後の確認ができた」「気持ちが軽くなった」、「振り返りになった」 と続く。本分析においては、キャリアコンサルタントとしての課題は後述の4つに区分しており、区分ごとのスーパービジョンの事後と事前の平均との差、すなわちスーパービジョンを通してのスーパーバイジーの変化としては、今回のモデル実施では「カウンセリングのプロセス評価」が最も高かった。

言い換えると、キャリアコンサルタントが課題として認識していた「介入・介入評価」、「クライアント評価」、「プロセス構築」 について、スーパービジョンの効果が大きかったと見ることができる。

スーパーバイジーがスーパービジョンに期待していたことの具体例としては、次のことが挙げられている。

〇キャリア面談のケースに対して、自分の見立てが違っていないか、クライアントの気持ちに寄り添うことができる面談になっているか、内省を促すことができているか等の面談の手法

〇キャリアコンサルティングの構成とクロージングの方法、クライアントの視野を広げる質問の仕方、自分の意見をどの程度伝えてもいいのか等のカウンセリングのプロセス評価

〇同じ組織内において、社員同士という立場でキャリアコンサルタント業務を行うにあたってのスタンス等のネットワーク・組織への働きかけ

〇面談に対して自分が思うように進められていないポイントは何なのか、それを改善するには何が問題なのかを明確にしたい等の自己評価

なお、同分析においてスーパーバイザーが指摘したスーパーバイジーの課題は、スーパー バイジーが認識した課題と必ずしも一致はしていないことがうかがえる。このようなギャップが存在することが、スーパービジョンの必要性を理解するうえで重要な側面でもある。
(つづく)木下昭

-実践編・応用編

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