キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

実践編・応用編

キャリアコンサルタントの実践力強化の調査研究2

投稿日:2025年11月24日 更新日:

キャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、現段階でのスーパービジョンの基盤整理のスーパービジョンの浸透の現実から記述します。

■スーパービジョンの浸透の現実
スーパービジョンの重要性は上述のとおりであるが、キャリアコンサルタントがスーパー ビジョンを受けている状況を示す公的調査は見当たらない。そこで、一般財団法人ACCNが会員に対して実施したアンケート調査(調査期間:2019年12月26日~2020年1月16 日)をみると、次のような結果となっている。
調査は、会員3,167人に対しWEBを活用して実施し、器6人から回答(回収率26.4%) を得た。
回答者の属性をみると、キャリアコンサルティングに関連する活動をしている(ほぼ毎日、不定期、週2-3回程度、週1回程度)割合は87.0%となっている。また、キャリアコンサルティングに関連する活動の通算年数は、「10年以上」が37%、 「5年以上10年未満」 が26%である。

これらの回答者がスーパービジョンを受けている状況をみると、「定期的に助言・指導を受けている」は7%、「受けたことはあるが最近は受けていない」は22%、「受けたことはない」が55%であり、80%弱のキャリアコンサルタントがスーパービジョンを現在は受けていない結果となっている。
スーパービジョンを「受けていない」理由としては、「周囲にスーパーバイザーがいない、 または、探し方がわからないから」が32%、「スーパービジョンの受け方やケース記録の作り方がわからないから」「費用がかかるから」「スーパービジョンを受ける時間がないから」 がそれぞれ10%-20%である。
この調査ではスーパービジョンを定義していないため、回答者によってスーパービジョンの捉え方が異なることに留意する必要があるが、キャリアコンサルタントの多くが助言・指導を受けておらず、スーパービジョンが普及していない実態がうかがえる。

■スーパービジョンの効果と重要性
本事業では、既に示した既存のスーパーバイザー養成等の実態把握、スーパービジョンのモデル実施及びアンケート・実施結果報告書の分析を行った。
上記の分析では、調査数に限りはあるがスーパービジョンの効果や今後のスーパービジョンの在り方の検討を進めるうえでの重要な示唆を与えている。

まずスーパーバイジー(キャリアコンサルタント)のスーパービジョンのモデル実施前の課題認識と実施後の問題解決の平均値の差異を見ると、15項目中で最も高い課題は「介入・介入評価」で、次いで「クライアント評価」「意思決定支援」「目標・方策の設定」「プロセス構築」と続く。また、スーパービジョンの振り返りのアンケート結果を見ると、10 項目中で平均値が最も高い項目は「自分の役に立った」で、「今後の確認ができた」「気持ちが軽くなった」、「振り返りになった」 と続く。本分析においては、キャリアコンサルタントとしての課題は後述の4つに区分しており、区分ごとのスーパービジョンの事後と事前の平均との差、すなわちスーパービジョンを通してのスーパーバイジーの変化としては、今回のモデル実施では「カウンセリングのプロセス評価」が最も高かった。

言い換えると、キャリアコンサルタントが課題として認識していた「介入・介入評価」、「クライアント評価」、「プロセス構築」 について、スーパービジョンの効果が大きかったと見ることができる。
スーパーバイジーがスーパービジョンに期待していたことの具体例としては、次のことが挙げられている。
〇キャリア面談のケースに対して、自分の見立てが違っていないか、クライアントの気持ちに寄り添うことができる面談になっているか、内省を促すことができているか等の面談の手法
〇キャリアコンサルティングの構成とクロージングの方法、クライアントの視野を広げる質問の仕方、自分の意見をどの程度伝えてもいいのか等のカウンセリングのプロセス評価
〇同じ組織内において、社員同士という立場でキャリアコンサルタント業務を行うにあたってのスタンス等のネットワーク・組織への働きかけ
〇面談に対して自分が思うように進められていないポイントは何なのか、それを改善するには何が問題なのかを明確にしたい等の自己評価

なお、同分析においてスーパーバイザーが指摘したスーパーバイジーの課題は、スーパー バイジーが認識した課題と必ずしも一致はしていないことがうかがえる。このようなギャップが存在することが、スーパービジョンの必要性を理解するうえで重要な側面でもある。
(つづく)A.K

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

日本の環境の保全と創造 5

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、環境の保全と創造についてお話しします。環境保全とは、自然環境や生態系を保護し、持続可能な状態を維持するための取組みのことです。保全の目的は、自然資源の持続可能な利用や再生、生物多様性の保全、大気や水の浄化、エネルギーの効率的な利用などです。これらにより、地球上の生態系のバランスを保ち、将来世代に美しい環境を受け継ぐことができます。 ■水の恵みを将来にわたって享受できる社会を目指して 水資源政策については、平成27年3月国土審議会答申に基づき、安全で安心できる水を確 保し、安定して利用できる仕組みをつくり、水の恵みを将来 …

日本のICT技術政策の動向

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。 これまでの取組 総務省では、次世代の基幹的な情報通信インフラとして、あらゆる産業や社会活動の基盤となり、国境を越えて活用されていくことが見込まれるBeyond 5Gに向けた取組を中心として、情報通信分野の技術政策を推進しています。具体的には、2020年6月の「Beyond 5G推進戦略」以降、情報通信審議会において、「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」に関する審議が進められるとともに、これを踏まえた研究開発基金を設置し、民間事業者等によるBeyond 5Gの研究開発及び国際標準化活動に対する支援を強化してきています。 ま …

持続可能な医療・介護の実現 4

 キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、持続可能な医療・介護の実現についてお話します。少子高齢化によって、ますます労働力の減少が進んでいます。医療・介護も例外ではなく、将来的に医師や看護師、介護従事者が減っていくことは避けられません。つまり、社会と同じく需要と供給のバランスが崩れてしまう可能性があります。このバランスをどう保っていくかが、医療・介護業界の課題です。また、医療費も今後増える一方であり、税金が減ってしまえば、必然的に社会保障費の確保が難しくなってきます。 ■医療費適正化 国及び都道府県は、高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費適正化計 …

学校教育 私立学校の振興

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 我が国の私立学校は、建学の精神に基づく教育方針に従い、それぞれが創意工夫した教育を実践し、個性豊かな、多種多様な人材を育成しています。今回は、私立学校の振興についてお話します。 ◆学校法人制度の改善 学校法人制度について定める私立学校法は、私立学校の運営の自主性を重視するとともに、幅広い意見の反映を通じた公共性の高揚を目的とするものです。これまで、累次の私立学校法改正により、時代の要請に合わせてガバナンスの強化が図られてきたところ、令和5年4月には、「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」を基本的な考え方としつつ、理事・理事会、監 …

製造業を巡る現状と課題  ガイドライン策定の背景 2

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。 前回に続き、経済産業省製造産業局が2024年5月に公表した資料「製造業を巡る現状と課題について今後の政策の方向性」からスライド35ページ「ガイドライン策定の背景 2」について、詳細な解説をします。 (出典)経済産業省 016_04_00.pdf このスライドの狙い:なぜ「製造DXの指針(ガイドライン)」が必要なのか このスライドは、「製造DXの指針(ガイドライン)」を策定する根拠を、データに基づいて示すものです。上段の文章には、製造事業者が直面している課題が経営の視点(Q・C・D・E)と業務変革の視点の2つから整理されています。 まず、経 …