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基礎編・理論編

横山哲夫先生の思想ー組織文化とリーダーシップ3

投稿日:2026年2月28日 更新日:

横山哲夫先生が2019年6月に逝去されて今年は7回忌になります。テクノファでは2004年に先生のご指導でキャリアコンサルタント養成講座を立ち上げさせていただいて以来、今年まで実に16年もの間先生の思想に基づいたキャリアコンサルタント養成講座を開催し続けさせていただきました。

横山哲夫先生はモービル石油という企業の人事部長をお勤めになる傍ら、組織において個人が如何に自立するか、組織において如何に自己実現を図るか生涯を通じて研究し、又実践をされてきた方です。

横山哲夫先生は、個人が人生を通じての仕事にはお金を伴うJOBばかりでなく、組織に属していようがいまいが、自己実現のためのWORKがあるはずであるという鋭い分析のもと数多くの研究成果を出されてきております。

今回はその中からキャリアコンサルタントが知っていると良いと思われる「組織文化とリーダーシップ」を紹介します。

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本記事はエトガー・H・シャインの著作「組織文化とリーダーシップ」を横山先生が翻訳されたものです。横山先生はシャインが2006,7年頃(記憶があいまいですみません)来日した時の立役者(JCC:日本キャリア・コンサルタント研究会が招待した、彼と娘さんが来日した)で、東京、大阪でシャインが講演をする際にいつも同席し、そればかりか新幹線で京都案内までされて、ごくごく親しく彼の人柄に触れた唯一の日本人でありました。

横山先生の思想の系譜をたどるときには、エドガー・シャインにかならず突き当たるので今回から横山先生の翻訳を紹介しながら彼の思想の系譜を探索していきたいと思います。

<ここより翻訳:2010年シャイン著>
(つづき)
この版は,企業文化のダイナミックスとそのリーダーシップとの関係のほとんどの側面をカバーする総論的なテキストの役割を担っている。これに対して Survival Guide は,文化のマネジメントに関してどのように考えたらよいのかについて,直接的なガイドラインを求めているリーダーとマネジャーに対して,最新版の実際的なロードマップを提供している。この第4版のほうは,文化の領域を取り巻く,理論的および実際的課題を深く掘り下げることを目指している。したがってたとえば「文化のアセスメントのプロセス」はGuideでは8段階で示されているのに対して本書では10段階で示されている。それは,本書では理論的根拠をさらに掘り下げ,またいくつかのステップをさらにサブステップに分別したからだ。いくつかのケースは両書に共通なものが使われているけれども,この第4版ではいくつか新しいケースを追加したと同時に,とくに重要なポイントを示すケースはそのまま残している。したがって理論を学ぶ人たちは本書を読み,実務家マネジャーは Guide を読むことをお薦めする。

<本書はどのように構成されているか>
第1部では私は,文化とリーダーシップの領域はお互いに相異なった領域を形成しておりかつ次の3つの違った視点から観察可能だ,ということを指摘した。それは基本的な理論を追求する伝統的な学者/研究者,またリーダーやマネジャーがぶつかる文化の課題に取り組む際に支援を提供するためのツールを開発している実務家,さらに中間レベルの理論とその種の理論を実務家に役立つ概念やツールに翻訳することに関心を寄せる学者/実務家(たとえ彼らが理論を伝え続けるにしても),という3つの視点だ。

私自身はつねに第3番目の視点から執筆を進めてきた。それというのも,理論を築き,テストすることをたすける,豊富な臨床的経験をもたらしてくれた,数多くのコンサルティングの経験を持つ幸運に恵まれてきたからだ。私が「臨床的研究」と名付けた方法では,組織が自らの問題を解決することをわれわれが実際に支援する体験的な経験こそ,将来起こってくる経験に適用することが可能なすぐれた概念,モデル,ツールに導くために観察し,探求するための数多くの機会を提供してくれる,ということが想定されている。

社会システムと人間のダイナミックス(力学)がからむ状況では実験を行うことは困難であり,また文化的な現象が関係する場面では調査によって信頼できるデータを集めることも困難となる。そこで私は,注意深い観察,グループに対する面接,情報提供者に対する焦点を絞った質問に頼ることが多い。学者兼実業家である私は,表面的妥当性(facevalidity),さらにわれわれが理解することを目指す複雑な現象を説明する,読者やクライアントからのフィードバックに含まれる事実に依存の度合を深めている。さらに私は「繰り返しの反応(replication)」にも注目している。つまり,もしほかの人たちがその状況にはいり込んだときに,私自身が観察したようにほかの人たちも同じようにその現象をとらえるだろうか,という問いだ。

第Ⅰ部では文化を定義し,抽象概念としての文化をどう考えたらよいかの例とモデルを提供する。第Ⅱ部では,文化を分析することを可能にする主要な側面(dimensions)を検討し,さらに現在使用されている,より顕著な文化の類型法のいくつかをレビューする。第Ⅲ部では,リーダーシップにフォーカスを移し,いかに文化が開始され,進化し,変化するかというダイナミクスに焦点を当てる。第Ⅳ部は,まず変革のための一般的なモデルをレビューし,さらにいかに文化を分析し,評価するかの検討を経て,いくつかの組織/文化変革のケースを紹介することを通じて,「マネジされた」文化変革のダイナミクスを取り上げる。第Ⅴ部のふたつの章では,世界がますます複雑化し,ネットワーク化し,多元的文化に向かうなか,文化マネジメントに伴う新たなチャレンジを紹介する。文化の島の概念と対話の活用が,多元的文化の世界におけるリーダーシップに対する,活用可能な新しいアプローチとして紹介される。

第4版の主要なゴールは,文化の概念とそのリーダーシップとの関連性を明らかにし,文化がどのように機能するかを示すこと,さらに放っておけば困惑とフラストレーションを生む組織と職業に伴う現象を読者自らが説明できるように導くことを目指している。この理解を通して,読者は文化を生み,進化させ,変革する際にリーダーシップを発揮するために必要とされる洞察とツールを獲得することができる。
(つづく)平林良人

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