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基礎編・理論編

横山哲夫先生の思想ー組織文化とリーダーシップ2

投稿日:2026年2月26日 更新日:

横山哲夫先生はモービル石油という企業の人事部長をお勤めになる傍ら、組織において個人が如何に自立するか、組織において如何に自己実現を図るか生涯を通じて研究し、又実践をされてきた方です。

横山哲夫先生が2019年6月に逝去されて今年は7回忌になります。テクノファでは2004年に先生のご指導でキャリアコンサルタント養成講座を立ち上げさせていただいて以来、今年まで実に16年もの間先生の思想に基づいたキャリアコンサルタント養成講座を開催し続けさせていただきました。

横山哲夫先生は、個人が人生を通じての仕事にはお金を伴うJOBばかりでなく、組織に属していようがいまいが、自己実現のためのWORKがあるはずであるという鋭い分析のもと数多くの研究成果を出されてきております。

今回はその中からキャリアコンサルタントが知っていると良いと思われる「組織文化とリーダーシップ」を紹介します。

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本記事はエトガー・H・シャインの著作「組織文化とリーダーシップ」を横山先生が翻訳されたものです。横山先生はシャインが2006年来日した時の立役者(JCC:日本キャリア・コンサルタント研究会が招待した、彼と娘さんが来日した)で、東京、大阪でシャインが講演をする際にいつも同席し、そればかりか新幹線で京都案内までされて、ごくごく親しく彼の人柄に触れた唯一の日本人でありました。

横山先生の思想の系譜をたどるときには、エドガー・シャインにかならず突き当たるので今回から横山先生の翻訳を紹介しながら彼の思想の系譜を探索していきたいと思います。

<ここより横山先生翻訳:2010年シャイン著>
組織文化とリーダーシップはともに,きわめて複雑なトピックになってきている。過去数十年の間に,組織文化は文化人類学,社会学,社会心理学,認知心理学から数多くの論文が発表されている。また組織文化それ自体の領域を築き,さらに最近の華々しいグローバル化に触発された,より広範な文化研究と深い関連性を築いている。また情報テクノロジーとメディアによる情報伝達における新しい手段の急速な発展が,文化的な現象を高度に可視的なものに高めており,さらにこれらの現象の一部は情報時代においてユニークな存在になってきている。国家,民族,宗教,社会階層ごとの文化の多様性もテレビやインターネットを通じて益々可視的になっている。またある種の文化を保ち,そのような文化を築き,そのような文化を持ちたいという願望が新聞で頻繁に取り上げられている。「命令とコントロール」は,われわれが実際に組織を注意深く観察すると,このことが一体何を意味するのかの定義が益々不明瞭になっているにもかかわらず,文化の原型(archetype)として認められている。

われわれはまたますます危機の時代に突入している。とくにすべてのテクノロジーの急速な高度化が進む結果生じている潜在的な危険から生ずる危機だ。驚くべきことに,この状況は文化にも影響を及ぼしはじめている。地球温暖化による脅威に無関心でいることから,われわれは地球の破壊の危機に局面している;その結果が未知にもかかわらず,さまざまな生命を遺伝子組み換え技術によって生みだす能力を築いている;高い比率の院内感染によりわれわれのヘルスケア産業は深刻な問題を抱えており,さらにバイオの潜在的な脅威の亡霊がうごめきはじめている;核兵器を怖れ,原子力の各種の事故に対して怖れを強めながらもなお原子力エネルギーへの依存度をたかめている,といった影響が及んでいるのだ。

これらの領域を統治する職業が,これまたわれわれがほとんど理解してこなかった「文化そのもの」であることに,我々は如実として気づいた。たとえば「医師は自律性に高い価値を認めている」けれども,この事実がヘルスケアにおけるある種の改革をきわめて困難なものにしている。また「エグゼクティブ文化」は株主に対する利益を重視しており,そのことが社会責任に関わるさまざまな問題を生じさせていることを理解している。また科学に伴う文化は探求とイノベーションに高い価値を認めていることを理解している。しかも遺伝子組み換え技術や人間クローンを作るといった,倫理的に危険を含む領域に化学が踏み込んでいるにもかかわらずである。むしろ当然なことかも知れないけれども,原子力発電における更なる事故が生む危機に対応して,そのテクノロジーの安全性に関わる全く新しい懸念材料が原子力産業において生み出されており,「安全な文化」を定義するための先行事例や努力が導き出されている。

著者である私に対するこのような状況からの影響を考えると,私たちは,これらすべてが文化の領域で生まれてきた研究とコンサルティングの法外な量に圧倒されると感じるだけではなく,すべての分野を理解することに伴うますます増大する困難性にも圧倒される。いかに異なった文化が交流するのか,いかに違った職業がそのタスクを定義するのか,さらにいかに多元的文化ティームが機能するのか等に対するわれわれの経験にもとづく知識が急速に拡張し,いまや私が体系的に分析する範囲(スコープ)を超えているという事実を私はこれまで見つけだしてきた。しかし同時に私は,最初の3つの版で私が明らかにした基本的な概念モデルは,文化の諸現象を分析する方法としては今なお健全性を保っていると認識している。そのため第4版に盛られた基本的な内容のほとんどは第3版に述べたこととほとんど似かよっている。しかし私が最近見聞したトレンドを反映して,そのすべての内容が拡大され,深められている。また文化の領域でわれわれが学んできたこと,さらに領域が拡大することによって生じてきた新しい問題を反映して,各章は全く新しい内容も付け加えられている。またさまざまな分析レベル,すなわち国家と民族といったマクロカルチャーからティームにもとづくマイクロカルチャーのレベルの文化に関する新しい考え方を反映して,いくつか新しい章も付け足した。このようなより広範な視点は,いくつかの文化に対するいくつかの普遍的概念,つまりすべての文化のレベルに存在する共通的課題について考えるニーズ,さらにきわめて多様な多元的文化のグループにおいて,協力して仕事を進める能力をいかに築いていくかというディレンマに対応する「文化の島」の概念を生みだすニーズを明らかにしている。

ではリーダーシップについてはどうか?リーダーシップについての文献も多数発表されている。しかし25年前に比べて,すぐれたリーダーはどのようなリーダーであり,リーダーはどのように行動すべきかどうかといった点について,さらに明確な理解が進んでいるとは言い難い。リーダーはどうあるべきか,どのように行動すべきかについての数多くの提案がなされているし,リーダーが発揮すべき「コア・コンピテンシー」や特性のさまざまなリストも発表されている。このような混乱の一端は,誰がリーダーであるのかについての明確なコンセンサスが存在していない事実から生じている。CEOなのか,部門のヘッドなのか,あるいは物事を変革するイニシアティブを発揮する人なのか?リーダーシップの機能は拡大されて,その勢いを増しており,その結果望ましい成果に向けて進歩を促している人物がリーダーシップを発揮する可能性が高まっている。

この可能性という大海原でフォーカスを保つためのもっとも重要な方法は,リーダーシップと文化がいかに基本的に関連し合っているかを探求し続けることであると私は確信している。そこで私は次のことを主張し続けたい。(1)起業家としてのリーダーが文化の主要な建築家であること,(2)文化が形成されたあとに,彼らはどのようなリーダーシップが可能かという側面に影響を及ぼすこと,(3)文化の要素が機能不全に陥ったら,リーダーは文化変革をスピードアップするために何らかのことが実行可能であり,かつ実行しなければならないこと。

私はまた,技術の高度化,とくに情報技術におけるさまざまな変化に伴って,リーダーの役割も変化していることにも注目している。ネットワークで結ばれた組織におけるリーダーシップは,これまでのリーダーシップとは根本的に異なっている。したがって世界がますますグローバル規模で結びつけられている環境で,文化とリーダーシップの間にどのような関係が生まれてきているかについても注意深く検討することが求められはじめ
(つづく)平林良人

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