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実践編・応用編

日本におけるICT国際戦略

投稿日:2026年2月22日 更新日:

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概要
総務省では、政府全体のインフラ海外展開戦略である「インフラシステム海外展開戦略2030」(令和6年12月24日経協インフラ戦略会議決定)に基づき、デジタルインフラやデジタルソリューションの海外展開について、案件発掘、案件提案、案件形成などの展開ステージに合わせ、人材育成・メンテナンス・ファイナンスなどを含めたトータルな企業支援を通じて精力的に取り組んできました。また、米国をはじめとした二国間での政策対話やG7、G20などの多国間の場を活用し、国際ルール形成に向けたデジタル経済に関する議論や国際的なルール形成に関する議論などに積極的に関与し、国際的な枠組作りに貢献してきています。 さらに、光海底ケーブルや5Gネットワークなどのデジタルインフラが国民生活や経済活動を支える基幹的なインフラとなるなかで、経済安全保障の観点からも、国際連携などを通じ、それらの安全性・信頼性の確保等に取り組んできました。

今後の課題と方向性
社会・経済のデジタル化が加速する中、通信ネットワークの整備・高度化や課題解決に効果的なデジタルソリューションへのニーズが増大しています。また、経済安全保障に関する議論が活発化するなかで質の高いインフラの重要性がクローズアップされています。こうした中、二国間、多国間での枠組を活用し、我が国の有する質の高いインフラを海外に展開することは、各国の社会課題のみならず、気候変動等の世界的な課題の解決に寄与し、更には国連持続可能な開発目標(SDGs)の実現に貢献するものです。また、我が国のデジタル技術の普及、開発の土壌の整備により国際競争力を高めてプレゼンスを示していくことは、我が国の経済の発展のためにも重要です。

このような状況の下、総務省では、2025年6月、「インフラシステム輸出海外展開戦略2030」の中核を成すデジタル分野について、2030年頃を見据えて、国際競争力強化及び経済安全保障の確保に向けた各種政策を進めるに当たっての基本的考え方を定めるとともに、今後具体的に取り組む事項をまとめた「デジタル海外展開総合戦略2030」を策定しました。今後、同戦略に基づき、グローバルファース ト、マーケットイン、同志国との連携強化といった考え方を柱として、国際競争力の強化や経済安全保障の確保の観点から重点分野を設定し、研究開発からグローバルな市場獲得まで一貫した戦略的な取組を推進していくこととしています。また、引き続きデジタル分野における国際的なルール形成を先導していくため、国際会議などの場を活用し、国際的議論に積極的に参画していくことが重要です。

デジタルインフラなどの海外展開
社会・経済のデジタル化が進む中で通信インフラ・サービスへのニーズが世界的に増大していることを踏まえ、総務省では、我が国のデジタル産業の国際競争力強化及びデジタル技術を活用した世界的な課題解決の推進を目的に、デジタルインフラなどの海外展開支援などを推進しています。

総務省における海外展開支援ツール
総務省では、我が国の質の高いデジタルインフラなどの海外展開について、基礎調査から実証事業までのそれぞれのフェーズに応じた支援を通じ、各国の事情・課題を踏まえた取組を実施しています。また、2021年2月には、総務省主導で日本のICT海外展開を支援するための官民連携の枠組である 「デジタル海外展開プラットフォーム」を設立しました。この枠組には、2025年1月末現在、我が国のICT企業などを中心に200を超える会員や関係省庁・機関などが参加し、データベースによる世界各国・地域(70カ国)に関する情報共有、ワークショップの開催、チーム組成や具体的プロジェクトの検討を進めています。

株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)
総務省所管の官民ファンドである株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)では、海外において通信・放送・郵便事業を行う者やそれを支援する者に対して投資やハンズオンなどの支援を実施しており、2025年3月末現在、累計約1,535億円の出融資について支援決定済みです。また、近年のICTの発展やニーズ、世界各国の政策動向などを踏まえ、2022年2月にJICTの支援基準を改正し(令和4年総務省告示第34号)、JICTによるハードインフラ整備を伴わない事業(ICTサー ビス事業)に対する支援やファンドへのLP出資が可能となったことで、大企業のみならず中堅・中小・地方企業に対しても海外展開支援をしやすい体制が整い、2024年度には5件の新規支援決定を行いました。

海外展開に向けた取組
基幹通信インフラ
モバイル通信網については、2021年、エチオピア政府から、同国の携帯電話事業について我が国企業を含む国際コンソーシアムへライセンスの付与が承認され、2022年10月に商用通信サービスを開始しました。これを契機として、同国及びアフリカ地域へのデジタルソリューションの展開を推進する予定です。

光海底ケーブルについては、JICTを通じて東南アジアを中心とした地域における光海底ケーブル事業(総事業費約400百万米ドルのうち最大78百万米ドルの出資等を支援決定)を支援しているほか、2020年8月にインドのモディ首相から発表されたインド洋における光海底ケーブル敷設計画について、2021年9月から同地域のプロジェクトに我が国企業が参画し、2023年7月に完成しています。さらに、通信環境が比較的整っていない太平洋島嶼国の通信環境の改善についても、有志国や関係省庁・機関と も連携し取り組んでいます。また、2023年7月に欧州委員会との間で安全で強靱かつ持続可能なグローバル接続性のための海底ケーブルに関する協力覚書に署名しました。

5Gについては、国際場裡で安心・安全な5Gネットワークの重要性が議論される中で、オープンでセキュアなネットワークを実現する技術として注目されるオープンRANやそれを活用したシステムの海外展開に取り組んでいます。例えば、ベトナム及びフィリピンにおいては2022年度に、オーストラリア、インドネシアにおいては2023年度にオープンRAN展開可能性について調査を実施しました。フィリ ピンにおいては2022年度の調査結果も踏まえ、2023年度にオープンRAN機器の有用性を検証することを目指した実証を実施し、2024年度にはフィールドトライアルに向けた実証を実施しました。また、英国においては2022年度にオープンRANに関する試験環境整備や、RAN機器におけるO-RANアライ アンスが定めるインターフェース仕様への適合性の確認試験等を実施しました。さらに、カンボジアにおいては2024年度に、我が国の4GオープンRAN機器が採用されることを目指し現地で実証実験を実施しました。インドにおいては2024年度に5G/オープンRAN通信網の有効性に係る実地試験調査やBeyond 5G/6Gに向けた柔軟性のある通信端末アーキテクチャのフィールド実証に向けた調査を実施しました。

データセンターについては、2021年3月から、ウズベキスタンにおいて、同国の通信環境の改善に向け、データセンターなどの通信インフラ整備に係るプロジェクトに我が国企業が参画しているほか、JICTを通じてインドにおけるデータセンターの整備・運営事業(2022年10月に最大86百万米ドルの出資等及び2024年5月に最大91.2百万米ドルの追加出資を支援決定)を支援しています。 地上デジタル放送日本方式については、中南米を中心に、日本を含む20か国が同方式を採用しており、2022年10月にはボツワナにおいて、海外での採用国として初めて全土でアナログ放送停波が完了し、コスタリカ(2023年1月)、チリ(2024年4月)においても全土でアナログ放送停波が完了しました。総務省では、今後も引き続きデジタル放送への円滑な移行にかかる支援を実施していきます。

デジタル技術の利活用
医療分野における利活用については、中南米地域を中心にスマートフォンによる遠隔医療システムを受注するとともに、2020年度からは東南・南西アジア諸国への高精細映像技術を活用した内視鏡及び医療AIによる診断支援システムの普及展開に向け、現地病院における実証も通じて検討を進めています。
交通インフラにおける利活用については、2024年度にタイの高速道路や空港において、車載型の機器等により撮影した三次元映像情報等を活用し、地上及び地中の情報を一元的に管理する、我が国のイ ンフラ維持管理業務システムを用いた実証実験を実施しました。

放送コンテンツ
総務省では、放送コンテンツの海外展開を推進するため、放送コンテンツ関連海外売上高を2025年度までに1.5倍(対2020年度比)に増加させることを目標に、引き続き、国内外で開催されるコンテンツの国際見本市(TIFFCOM(日本)、ATF(シンガポール)、MIPCOM(フランス)等)においてセミナー等を実施し、放送事業者等の取組を支援しています。また、2025年度からは、先進的設備等を活用した実写コンテンツの制作支援や国内配信事業者と連携した海外配信等に新たに取り組みます。

その他
◆消防分野
2018年10月8日にベトナムとの間で「日本国総務省とベトナム社会主義共和国公安省との消防分野における協力覚書」を締結して以来、予防政策や消防用機器等の基準等についての意見交換等を行うことで、日本の消防用機器等の品質の高さをPRしてきました。また、2025年2月から3月にかけて火災予防 技術に関する専科研修を実施したところです。引き続き、ベトナムをはじめ幅広く東南アジア諸国等に対し働き掛けていくことで、日本の規格に適合する消防用機器等の海外展開を推進していきます。

郵便分野
東南アジア、欧州、コーカサス地域などの主に新興国・途上国を対象に、郵便サービスの品質向上や 郵便業務の最適化に関する課題やニーズを把握し、その解決や実現に資する我が国の知見・経験や技術・システムを提供するアプローチを通じて、官民一体となって日本型郵便インフラシステムの海外展開の取組を推進していきます。

行政相談
行政相談分野では、各国の公的オンブズマンとの連携・協力などが行われており、ベトナム、ウズベキスタン、イラン、タイの4か国とは、行政苦情救済に係る協力の覚書をそれぞれ締結しています。これに基づき、例えば、ベトナムから研修生を計約310人受け入れるなどの取組が実施されてきました。

デジタル経済に関する国際的なルール形成
信頼性のある自由なデータ流通
DFFT(Data Free Flow with Trust(信頼性のある自由なデータ流通))については、2023年4月に開催されたG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合でDFFT具体化のための国際枠組みであるIAP (Institutional Arrangement for Partnership)の立ち上げに合意し、5月に開催されたG7サミットでIAPの設立の承認を経て、12月にOECDの下で設立されました。

サイバー空間の国際ルールづくり
総務省では、サイバー空間の国際的なルールづくりに関し、
①民主主義を支えるだけでなく、イノベーションの源泉として経済成長のエンジンとなる情報の自由な流通に最大限配慮すること
②サイ バーセキュリティを十分に確保するためには、実際にインターネットを利用し、ネットワークを管理している民間企業や学術界、市民社会などあらゆる関係者の参画(マルチステークホルダーの枠組)が不可欠であること
の2点を重視しています。これを踏まえ、デジタルエコノミーに関する日米対話(日米DDE)など二国間対話において関連の議題を取り上げ、同志国との連携を強化することに加えて、 2022年4月には、コアメンバー国(日本、米国、オーストラリア、カナダ、EU、英国)及び有志国において、「未来のインターネットに関する宣言」を立ち上げるなど、多国間会合における議論にも積極的に参加しています。

サイバーセキュリティに関する二国間・多国間対話
サイバーセキュリティに関する二国間の政府の議論については、日本・米国間で2024年6月に「第9回日米サイバー対話」、日本・英国間で同年9月に「第8回日英サイバー対話」、日本・EU間で同年11月に「第6回日・EUサイバー対話」が開催され、情勢認識、両国または日本・EUにおける取組、国際場裡における協力、能力構築支援などについて議論を行うなど、各国との連携強化を進めています。サイバーセキュリティに関する多国間の議論については、日ASEANサイバーセキュリティ政策会議 などにおいて、各国の取組状況やASEAN地域に対する能力構築支援の状況などに関する意見・情報交換が行われています。また、日本・米国・オーストラリア・インド4か国のいわゆるクアッドの取組の下で、サイバーセキュリティに関する協力について合意されており、政府一体となって同志国との連携強化に向けた議論が行われ、2022年5月の首脳会合共同声明にて「日米豪印サイバーセキュリティ・ パートナーシップ:共同原則」が公表されました。
(出典)総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/pdf/index.html
(つづく)Y.H

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