キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

国家試験

キャリアコンサルタント国家試験 I テクノファ

投稿日:2024年8月20日 更新日:

キャリア開発・形成の支援活動であるキャリアコンサルティングに関しては、国家資格キャリアコンサルタントと、国家検定キャリアコンサルティング技能検定1級・2級があり、キャリアコンサルティング技能検定はキャリアコンサルタントの上位に位置付けられます。キャリアコンサルタントは国家資格となり、名称独占となったため「キャリアコンサルタント」を名乗るにはキャリアコンサルタント試験に合格、資格取得後に登録が必要です。キャリアコンサルティング技能検定に合格すればキャリアコンサルティング技能士の称号が付与されます。キャリアコンサルティング技能士の他に、登録すれば「キャリアコンサルタントを名乗ることができます。

キャリアコンサルティングとは何でしょうか、厚生労働省のホームページには次のように書かれています。「キャリア」とは、過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すものです。「職業生涯」や「職務経歴」などと訳されます。「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。
「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。

キャリアコンサルティングを行うキャリアコンサルタントは、国家技能検定、国家資格ができる前は民間資格しかなかったため、その資質に関しては大きな差が生じていました。そこで厚生労働省が、キャリア開発・形成の支援活動である以上はある程度の資質を確保する必要があると考え、専門的な委員会での議論を経て、キャリア開発・形成支援のためのキャリアコンサルティングの具体的な内容、技法を定義し、支援の活動レベル求められる能力について統一して、それを満たす専門家をキャリアコンサルタントとしました。

2001年に、厚生労働省は産業構造の変化や働く人々のライフスタイルの多様化に対応するため、また、雇用のミスマッチを解消するため、労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力開発(キャリア開発・形成)と、これに関する職業能力評価制度の整備に重点を置き、関係法の改正、第7次職業能力開発基本計画の策定、事業主が講ずるべき措置に関する指針の策定、などを実施しました。これは、企業における従業員のキャリア開発・形成のための人事労務管理や能力開発などの施策を総合的かつ計画的に実施するための枠組みに関する基本法である職業能力開発促進法に基づくものです。

キャリアコンサルティングは、この第7次職業能力開発基本計画のなかで「労働者が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練の受講等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう、労働者の希望に応じて実施される相談」と定義されています。さらに、ここでは、キャリアコンサルティングの内容を4項目としています。
①職業能力の開発および向上に関する目標を定めるために必要な情報の提供。
②各種情報伝達手段の活用などによる雇用労働者への公平かつ効果的な情報提供の実施。
③キャリアコンサルティングの実施。
④キャリアコンサルティングを適切かつ効果的に行うための措置。

さらに、厚生労働省の委託を受けた、中央職業能力開発協会のキャリアコンサルテイング研究会報告では、キャリアコンサルテイングの実施過程において必要なスキルは以下の6項目であるとしています。
①来談者の相談内容を把握すること。
②来談者の達成目標、相談を行う範囲、緊要度などについて、明らかにすることができること。
③職業興味や適性、職業経験などを分析したり、来談者に応じて検査を実施したりすることによって、来談者の自己理解を支援できること。
④仕事に関する理解を支援すること。
⑤来談者の職業上の具体的な目標設定を支持することができること。
⑥来談者の目標に応じて、必要な能力開発の情報を提供できること。
これらの項目は、学校や職業紹介機関、あるいは企業などで行われてきたキャリア・ガイダンスの分野と同じ内容となっており、厚生労働省が定めるキャリアコンサルティングはキャリア・ガイダンスを参考にしていると思われます。

キャリアコンサルティング関連の施策はいくつかありますが、2008年にはキャリアコンサルティング技能検定2級がスタートし、2011年にはキャリアコンサルティング技能検定1級がスタート、2016年には職業能力開発促進法が改正されキャリア開発支援におけるキャリアコンサルティングが以前にもまして重要視されるようになり、キャリアコンサルティングを行うキャリアコンサルタントが国家資格化され、名称独占権を得ました。同時に策定された第10次職業能力開発基本計画ではキャリアコンサルタントを2024年までに10万人養成するという数値目標が立てられています。
(つづく) A.K

-国家試験

執筆者:

関連記事

労働環境の整備について2

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、労働環境の整備についてお話しします。労働環境とは、会社で働く従業員を取り巻く環境のことです。事業者には、従業員の健康や安全を守るため、労働環境を整える義務があります。「労働安全衛生法第3条の1」に、以下のように記されています。「快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」労働環境の整備は、従業員の定着や生産性の向上など企業の利益アップにつながるため非常に重要です。 ◆仕事と育児の両立支援策の推進 ■現状 育児・介護期は特に仕事と家庭の両立が困難である …

2級キャリアコンサルティング技能検定の合格レベル2

2級コンサルティング技能士検定の試験について前回の続きです。前回も説明しましたが、実技(面接)試験の詳細についてお話しします。 面接試験は、口ールプレイ形式の面接20分と、その後の口頭試問10分で構成されています。 ■試験官2名の前で口ールプレイ形式の面接を行う 面接試験は、まず、ロールプレイ形式で始まります。試験官2名を前に、相談者役の人と20分間の面接を行います。相談者候補の相談内容、簡単なプロフィールなどの相談ケースは、受検票などと一緒に送られてきます(送られた5ケース の中から1ケース出題されます)。当日どのケースの相談者と面接をするかは、面接室に入るまでわかりません。面接室に入った後 …

キャリアコンサルタント国家資格合格 熟練レベル

キャリアコンサルティング技能検定2級試験は、「熟練レベルのキャリアコンサルタント」に求める能力判定の試験です。 「標準レベル」に該当するキャリアコンサルタントの場合には、キャリアコンサルティングの実務経験は問われません。国家資格試験に合格し登録した人はキャリアコンサルタントを名乗ることができます。しかし、この場合は国家資格試験に合格したというだけであり、実態としてはキャリアコンサルティングの実務経験がある人もいれば、実務経験がまったくない人もいます。それではキャリアコンサルティングの質を確保することが難しいので、 厚生労働省は「事実上の標準レベル」として熟練レベルを設定しています。 「熟練レベ …

多様な働き手の参画 3

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、多様な働き手の参画についてお話しします。労働参加率の向上について、特に期待されるのは女性、高齢者等の多様な働き手の労働参加です。我が国において、出産や育児による離職は女性の労働参加に大きな影響を与えていると考えられています。そのため、女性が子供の成長に合わせて柔軟な働き方に変えていくことが必要です。 また、高齢者の労働参加率は他国の平均より高い水準にあります。一方で、年齢に関わりなく元気である限り、働きたいと考える高齢者への対応はより重要であると考えられます。今回は、女性、高齢者等の多様なな働き手の参画についてお話しし …

2級キャリアコンサルティング技能検定の合格レベル

キャリアコンサルタントの実践要領について、2級キャリアコンサルティング技能検定に合格するレベルについて説明します。2級キャリアコンサルティング技能検定は、実務経験があることが受験の条件になっていることからも言えるように、初心者キャリアコンサルタントとは異なり、安定して面接を行うことのできる、熟練者を指しています。キャリアコンサルタントとしての知識習得に加えて、実務訓練と数々の実務経験をこなして、2級の試験に合格できるのです。 ■面接で求められる能力とは 学科試験でキャリアコンサルティングについての知識が問われることは言うまでもありませんが、実際に試験官と対峙する実技(面接)試験(ロールプレイと …