2016年にキャリアコンサルタント資格は国家資格になりましたが、キャリアコンサルタントの資格には3種類があり、国家試験も3種類の試験があることをお話ししてきました。
名称独占資格キャリアコンサルタントの方は、令和6年現在75,025名が登録されていますが、キャリアコンサルタント技能士の方は1桁少ない登録数になっています。
キャリアコンサルタント技能士資格を得るためにはキャリアコンサルタント技能検定試験に合格しなければなりません。現在技能士検定試験は、機械加工、建築大工やファイナンシャル・プランニングなど全部で130の職種(令和2年)で行われていますが、試験に合格すると合格証書が交付されて技能士に登録できます。
技能士は、働く人々の技能と地位の向上を図ることを目的に、働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家資格制度です。
キャリアコンサルタント技能士には、2級と1級があり(1級が上位資格)、各等級に求められるレベル及び令和2年時点での技能士数は以下のようになっています。
〇 2級キャリアコンサルティング技能士に求められるレベル
クライアント(相談者)の相談に対して、クライアントが持っている問題、課題などを見立てることができ、1対1の相談支援が的確にできる。
2級キャリアコンサルティング技能士:11,173名(令和5年)
〇 1級キャリアコンサルティング技能士に求められるレベル
クライアントからの相談を2級より高い水準で的確に行うキャリアコンサルティング能力を持っている。組織への働きかけや関係者との連携などのコーディネート能力がある。下位のキャリアコンサルタントからの相談に対応して指導、アドバイスができる。
1級キャリアコンサルティング技能士:621名(令和5年)
キャリアコンサルタントになるためには、登録試験機関(※1)で実施されるキャリアコンサルタント試験に合格等のうえ、キャリアコンサルタント名簿に登録(※2)することが必要ですが、技能検定キャリアコンサルティング職種の1級または2級に合格された方も「キャリアコンサルタント」として名乗るためにはキャリアコンサルタント名簿に登録することが必要となります。
※1:登録試験機関には以下2つの機関があります。
・特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会
・特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(JCDA)
※2:キャリアコンサルタントとして登録するためには、指定登録機関であるキャリアコンサルティング協議会にて手続きを行う必要があります。詳しくは、公式サイトで確認してください。「国家資格 キャリアコンサルタント WEBサイト」
http://careerconsultantmhlw.go.jp/p/top.html
なお、次の方は登録できません。
<登録の欠格事由 >
1.精神の機能の障害によりキャリアコンサルタントの業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
2.職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号。以下「法」という。)又は法に基づく命令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
3.法又は法に基づく命令以外の法令に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
4.法第30条の22第2項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
ここで気を付けなければならないことは、キャリアコンサルタント登録制度は5年ごとの更新制であるという点です。2016年(平成28年)4月より、労働者の職業選択、職業生活設計または職業能力開発に関する相談・助言を行う専門家として「キャリアコンサルタント」が職業能力開発促進法に規定されましたが、名称独占資格キャリアコンサルタントは登録制(5年ごとの更新)となっており、名称独占資格には社会的に守秘義務、信用失墜行為の禁止義務が課せられています。
キャリアコンサルタントが名称独占資格に位置付けられたことから、キャリアコンサルタントには自己研鑽が求められます。前述のように、「キャリアコンサルティング技能検定」に合格した場合でも自己研鑽に努める必要が強調されています。
以上のような更新講習制度は、キャリアコンサルタントの質の陳腐化を防ぐ目的であり、加えてキャリアコンサルタントは倫理的にも自分を律して絶えざる自己研鑽が求められているのだといえます。そのために特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会では、「キャリアコンサルタント倫理綱領」を定め、キャリアコンサルタントに行動指針とすることを求めています。
(つづく)A.K