キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

国家試験

キャリアコンサルタント国家資格者数 I テクノファ

投稿日:2024年9月5日 更新日:

2016年にキャリアコンサルタント資格は国家資格になりましたが、キャリアコンサルタントの資格には3種類があり、国家試験も3種類の試験があることをお話ししてきました。

名称独占資格キャリアコンサルタントの方は、令和6年現在75,025名が登録されていますが、キャリアコンサルタント技能士の方は1桁少ない登録数になっています。

キャリアコンサルタント技能士資格を得るためにはキャリアコンサルタント技能検定試験に合格しなければなりません。現在技能士検定試験は、機械加工、建築大工やファイナンシャル・プランニングなど全部で130の職種(令和2年)で行われていますが、試験に合格すると合格証書が交付されて技能士に登録できます。
技能士は、働く人々の技能と地位の向上を図ることを目的に、働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家資格制度です。
キャリアコンサルタント技能士には、2級と1級があり(1級が上位資格)、各等級に求められるレベル及び令和2年時点での技能士数は以下のようになっています。

〇 2級キャリアコンサルティング技能士に求められるレベル
クライアント(相談者)の相談に対して、クライアントが持っている問題、課題などを見立てることができ、1対1の相談支援が的確にできる。
2級キャリアコンサルティング技能士:11,173名(令和5年)

〇 1級キャリアコンサルティング技能士に求められるレベル
クライアントからの相談を2級より高い水準で的確に行うキャリアコンサルティング能力を持っている。組織への働きかけや関係者との連携などのコーディネート能力がある。下位のキャリアコンサルタントからの相談に対応して指導、アドバイスができる。
1級キャリアコンサルティング技能士:621名(令和5年)

キャリアコンサルタントになるためには、登録試験機関(※1)で実施されるキャリアコンサルタント試験に合格等のうえ、キャリアコンサルタント名簿に登録(※2)することが必要ですが、技能検定キャリアコンサルティング職種の1級または2級に合格された方も「キャリアコンサルタント」として名乗るためにはキャリアコンサルタント名簿に登録することが必要となります。

※1:登録試験機関には以下2つの機関があります。
・特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会
・特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(JCDA)

※2:キャリアコンサルタントとして登録するためには、指定登録機関であるキャリアコンサルティング協議会にて手続きを行う必要があります。詳しくは、公式サイトで確認してください。「国家資格 キャリアコンサルタント WEBサイト」

https://www.career-cc.org/naritai/

なお、次の方は登録できません。
<登録の欠格事由 >
1.精神の機能の障害によりキャリアコンサルタントの業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
2.職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号。以下「法」という。)又は法に基づく命令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
3.法又は法に基づく命令以外の法令に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
4.法第30条の22第2項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者

ここで気を付けなければならないことは、キャリアコンサルタント登録制度は5年ごとの更新制であるという点です。2016年(平成28年)4月より、労働者の職業選択、職業生活設計または職業能力開発に関する相談・助言を行う専門家として「キャリアコンサルタント」が職業能力開発促進法に規定されましたが、名称独占資格キャリアコンサルタントは登録制(5年ごとの更新)となっており、名称独占資格には社会的に守秘義務、信用失墜行為の禁止義務が課せられています。

キャリアコンサルタントが名称独占資格に位置付けられたことから、キャリアコンサルタントには自己研鑽が求められます。前述のように、「キャリアコンサルティング技能検定」に合格した場合でも自己研鑽に努める必要が強調されています。

以上のような更新講習制度は、キャリアコンサルタントの質の陳腐化を防ぐ目的であり、加えてキャリアコンサルタントは倫理的にも自分を律して絶えざる自己研鑽が求められているのだといえます。そのために特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会では、「キャリアコンサルタント倫理綱領」を定め、キャリアコンサルタントに行動指針とすることを求めています。
(つづく)A.K

-国家試験

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタント国家資格 3 I テクノファ

厚生労働省のキャリアコンサルティング実施のために必要な能力要件の説明をしています。前回は、「Ⅲキャリアコンサルティングを行う、2.相談過程において必要な技能、(4)自己啓発の支援」まで説明しました。 今回は、「Ⅲキャリアコンサルティングを行う、2.相談過程において必要な技能、(5) 意思決定の支援」から説明を続けます。 (5) 意思決定の支援 1) キャリア・プランの作成支援 ・自己理解、仕事理解及び啓発的経験をもとに、職業だけでなくどのような人生を送るのかという観点や、自身と家族の基本的生活設計の観点等のライフプランを踏まえ、相談者の中高年齢期をも展望した中長期的なキャリア・プランの作成を支 …

2020年前後に従業員の働き方が一気に見直しされた2

日本では、2020年前後に従業員の働き方が一気に見直しされたました。 今回もキャリアコンサルタント業務に係りがある、働き方改革を実行するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)の説明をします。 働き方改革関連法は、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等を目的とした法律で、「労働基準法」、「労働安全衛生法」、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」、「じん肺法」、「雇用対策法」、「労働契約法」、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する …

2級キャリアコンサルティング技能検定の合格レベル

キャリアコンサルタントの実践要領について、2級キャリアコンサルティング技能検定に合格するレベルについて説明します。2級キャリアコンサルティング技能検定は、実務経験があることが受験の条件になっていることからも言えるように、初心者キャリアコンサルタントとは異なり、安定して面接を行うことのできる、熟練者を指しています。キャリアコンサルタントとしての知識習得に加えて、実務訓練と数々の実務経験をこなして、2級の試験に合格できるのです。 ■面接で求められる能力とは 学科試験でキャリアコンサルティングについての知識が問われることは言うまでもありませんが、実際に試験官と対峙する実技(面接)試験(ロールプレイと …

2018年改正された働き方改革関連法2

2018年6月に可決、成立し7月に法律公布、改正された働き方改革関連法は順次施行されています。キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティング業務を行う上でかかわりがある法律の改正を伴うものです。この法律は多くの法律に関連していますが、キャリアコンサルタントが知っているべき主要な労働に関する8つの法律についての主な改正点は次のようになります。 1.第一条 労働基準法関係 ・フレックスタイム制の拡充 ・時間外労働の上限規制 ・年5日の年次有給休暇の確実な取得 ・高度プロフェッショナル制度の創設 ・月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引上げ ・労働条件の明示の方法 ・過半数代表者の選任 2. …

労働環境の整備について 3

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、労働環境の整備についてお話しします。労働環境とは、会社で働く従業員を取り巻く環境のことです。事業者には、従業員の健康や安全を守るため、労働環境を整える義務があります。「労働安全衛生法第3条の1」に、以下のように記されています。「快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」労働環境の整備は、従業員の定着や生産性の向上など企業の利益アップにつながるため非常に重要です。 ■職業生涯を通じたキャリア形成支援の一層の推進 ●キャリアコンサルティングの活用促進 …