キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

国家試験

キャリアコンサルタント国家資格合格 指導者レベル

投稿日:2024年9月3日 更新日:

「指導者レベルのキャリアコンサルタント」に求められる能力要件としては、厚生労働省の委託を受けた中央職業能力開発協会のキャリアコンサルティング研究会の報告にまとめられている指導ベルのキャリアコンサルタントの特長が参考になりますので、ここではその報告書で述べられている内容を記しておきます。 なお、これもキャリアコンサルティング技能検定1級試験における試験範囲になります。

基本的には次の能力が求められます。
・キャリアコンサルタントティングの普及促進に指導的な役割を果たすこと。
・労働市場インフラ(基盤)であるキャリア形成支援システムの中核を担うこと。
・他のキャリアコンサルタントの模範として、相応の社会的機能とこれを裏付ける能力があること。

このため、「指導者レベルのキャリアコンサルタント」には、一対一の支援を中心とした「キャリアコンサルティング機能」に加え、他のキャリアコンサルタントを「指導する機能」、組織への働きかけや関係者との連携等の「コーディネート機能」が求められます。
これらの機能・役割を果たすためには;
①体系的かつ詳細な知識、
②適切かつ安定的なスキル
③思考・行動特性
を有していることが必要とされ、指導者にふさわしい能力が求められます。

またキャリアコンサルティングの主要な対象領域である企業領域、教育機関領域、需給調整機関領域のうち複数の領域の課題解決ができる専門性、自己研鑽の観点から継続的に学習する姿勢、他のキャリアコンサルタントを指導する立場のキャリアコンサルタントとしての適性も求められます。
指導レベルのキャリアコンサルタントを判定するための1級技能検定が把握する能力として、具体的に以下のような要件が上げられています。
1.キャリアコンサルティング能力
キャリアコンサルティングは、キャリアに関する課題・問題を解決するために行われる相談・支援であり、「個人が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう個別の希望に応じて実施されるその他の支援」ですが、指導者レベルでは、熟練レベルより高い水準のキャリアコンサルティング能力が求められます。

2.指導能力
指導者レベルでは、他のキャリアコンサルタントを指導する能力が必須となります。現場で期待される指導ニーズとしては、キャリアコンサルティングの実施が困難なケースについて「相談を受けられる」、「アドバイスを受けられる」等があり、このような現場のキャリアコンサルタントからの相談に対して、的確な指導・アドバイスを行うことが求められます。

3.コーディネート能力
組織に対する働きかけや関係者との連携等ができる能力です。領域間の連携、専門家へのリファーだけでなく、企業内の能力開発制度やプログラム、教育機関のキャリア教育プログラムの設計・運営・評価等ができる能力が必要です。

4.思考・行動特性
ここでいう思考・行動特性とは、知識やスキルという観点のみでは表しきれない「必要な知識やスキルを総合的かつ効果的に使いこなし、クライエントへの返答や接する態度等に表される思考・行動特性」です。特に、指導レベルでは指導能力、コーディネート能力に関する思考・行動特性が重視されます。

以上が「指導者レベルのキャリアコンサルタント」に求められる能力です。
(つづく)A.K

-国家試験

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタント国家資格者数 I テクノファ

2016年にキャリアコンサルタント資格は国家資格になりましたが、キャリアコンサルタントの資格には3種類があり、国家試験も3種類の試験があることをお話ししてきました。 名称独占資格キャリアコンサルタントの方は、令和6年現在75,025名が登録されていますが、キャリアコンサルタント技能士の方は1桁少ない登録数になっています。 キャリアコンサルタント技能士資格を得るためにはキャリアコンサルタント技能検定試験に合格しなければなりません。現在技能士検定試験は、機械加工、建築大工やファイナンシャル・プランニングなど全部で130の職種(令和2年)で行われていますが、試験に合格すると合格証書が交付されて技能士 …

多様な働き手の参画について

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 労働参加率の向上について、特に期待されるのは女性、高齢者等の多様な働き手の労働参加です。我が国において、出産や育児による離職は女性の労働参加に大きな影響を与えていると考えられています。そのため、女性が子供の成長に合わせて柔軟な働き方に変えていくことが必要です。 また、高齢者の労働参加率は他国の平均より高い水準にあります。一方で、年齢に関わりなく元気である限り、働きたいと考える高齢者への対応はより重要であると考えられます。今回は、多様な働き手の参画についてお話しします。 ■女性の雇用の現状 女性の労働力人口は、2023(令和5)年3 …

キャリアコンサルタント国家資格合格 熟練レベル

キャリアコンサルティング技能検定2級試験は、「熟練レベルのキャリアコンサルタント」に求める能力判定の試験です。 「標準レベル」に該当するキャリアコンサルタントの場合には、キャリアコンサルティングの実務経験は問われません。国家資格試験に合格し登録した人はキャリアコンサルタントを名乗ることができます。しかし、この場合は国家資格試験に合格したというだけであり、実態としてはキャリアコンサルティングの実務経験がある人もいれば、実務経験がまったくない人もいます。それではキャリアコンサルティングの質を確保することが難しいので、 厚生労働省は「事実上の標準レベル」として熟練レベルを設定しています。 「熟練レベ …

「労働安全衛生法」の改正項目を説明します

キャリアコンサルタントのキャリアコンサルティング業務に係る法律についてです。近年の働き方改革における種々の取り組みの一環としてで、働き方改革関連法で改正されましたが、その中の一つである「労働安全衛生法」の改正項目を説明します。キャリアコンサルタントには必須な労働法規の最新情報ということになります。 【労働安全衛生法】 改正項目 産業医の誠実な職務遂行、産業医への必要な情報提供が新設された。 産業医に対し労働者の労働時間その他、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供することが新設された。 事業者が勧告を受けたときは、勧告の内容などを衛生委員会又は安全衛生委員会に報告する義務 …

多様な働き手の参画 2

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、多様な働き手の参画についてお話しします。労働参加率の向上について、特に期待されるのは女性、高齢者等の多様な働き手の労働参加です。我が国において、出産や育児による離職は女性の労働参加に大きな影響を与えていると考えられています。そのため、女性が子供の成長に合わせて柔軟な働き方に変えていくことが必要です。 また、高齢者の労働参加率は他国の平均より高い水準にあります。一方で、年齢に関わりなく元気である限り、働きたいと考える高齢者への対応はより重要であると考えられます。今回は、女性、高齢者等の多様なな働き手の参画についてお話しし …