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これまでの取組
1985年の通信自由化及び電気通信事業法(昭和59年法律第86号)の施行以降、これまでの40年間に多くの新規事業者が参入し、競争原理の下で、IP・デジタル化、モバイル・ブロードバンドなど様々な通信技術の進展と導入が行われ、料金の低廉化・サービスの多様化・高度化がめざましく進展してきました。これまで、総務省では、こうした電気通信サービスのイノベーションやダイナミズムを維持しながら、信頼できる電気通信サービスの提供を確保する観点から、様々な政策や制度についての不断の見直 しを行ってきています。
例えば、近年、我が国の電気通信市場では、携帯電話やブロードバンドの普及、移動系通信事業者を主としたグループ単位での競争の進展などの大きな環境変化が起きており、そうした環境変化も踏まえた上で公正な競争環境を引き続き確保していくための制度整備や、今や生活必需品となっている携帯電話について、料金が諸外国と比較して高い、各社の料金プランが複雑で分かりづらいなどの課題があったことから、その課題を解決し、国民が低廉で多様な携帯電話サービスを利用できるよう、公正な競争環境の整備に向けた取組などを実施してきました。
また、利用者と事業者との間の情報格差や事業者の不適切な勧誘などによる電気通信サービスの利用を巡る様々なトラブルの増大やサイバー攻撃の複雑化・巧妙化などのグローバルリスクの深刻化などに対応するための制度整備なども実施してきました。
今後の課題と方向性
電気通信事業は、国民生活や社会経済活動に必要不可欠な電気通信サービスを提供する事業です。我が国の社会構造が「人口急減・超高齢化」へ向かう中で、地域の産業基盤の強化や地方移住の促進など、地方の創生のためにICTが果たすべき役割が今後増大していくことが見込まれるとともに、新事業の創出や生産性の向上など経済活動の活性化や、安心・安全な社会の実現、医療・教育・行政などの各分野における社会的課題の解決に当たり、ICTが果たすべき役割も増大していくと考えられ、電気 通信サービスの重要性は、一層高まってきています。
このような中で、電気通信サービスの利用者利益を確保するとともに、我が国の社会全体のイノベーション促進、デジタル化・DX推進を支える基盤としてのデジタルインフラの整備は、一人ひとりの個人や我が国の社会経済にとって、極めて重要です。
今後、電気通信市場のみならず、我が国の社会構造が更に激変し、我々がこれまで前提としてきた社会・経済モデルが通用しない時代が到来することが予想される中で、先進的な情報通信技術を用いて社会的課題の解決や価値創造を図る必要性が高まっています。
また、電気通信サービスが国民生活や社会経済活動に必要不可欠となっており、自然災害や通信障害等の非常時においても継続的にサービスを提供することが求められています。 このため、我が国のありとあらゆる主体が安心・安全かつ確実な情報通信を活用していく環境の整備を図っていくことが必要です。
市場環境の変化に対応した通信政策
市場環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し、国民生活の向上や経済活性化を図るため、総務省は2023年8月、情報通信審議会に対し、「市場環境の変化に対応した通信政策の在り方」を諮問しました。同審議会の下に設置された通信政策特別委員会での議論を経て、2024年2月に取りまとめられた第一次答申を踏まえ、NTT持株・東西の研究開発に関する責務の廃止等を盛り込んだ「日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第20号)が同年4月に公布、施行されました。また、第一次答申で「今後更に検討を深めていくべき事項」と提言されたユニバーサルサービス、公正競争、経済安全保障などの事項については、主に同委員会の下で開催した3つのワーキンググループにおける専門的な議論や関係事業者へのヒアリングも踏まえ、2025年2月に最終答申として取りまとめられました。
最終答申では、電話とブロードバンドについて、モバイル網を活用したサービス(モバイル網固定電話等)をユニバーサルサービスに追加することや、NTT東西の線路敷設基盤の譲渡等に認可制を導入することなど、多岐にわたる論点に関する提言がされています。総務省はそれらの提言等を踏まえ、基礎的 電気通信役務について他の電気通信事業者が提供しない区域における提供の義務を負う最終保障電気通信事業者について規定するほか、NTT東西の業務の範囲を見直す等の措置を講ずる「電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案」を同年3月に国会に提出し、同年 5月に成立しました。今後、省令等における具体的な制度整備等を進めていく予定です。
公正な競争環境の整備
総務省では、事業者間の活発な競争を通じて低廉で多様なサービスの実現を図るべく、モバイル市場 における公正な競争環境を整備するための取組を進めています。2019年には、通信料金と端末代金の分離や行き過ぎた囲い込みの禁止などを目的とした電気通信事業法の改正を行っており、この改正により講じた措置の効果やモバイル市場に与えた影響などについて、「電気通信市場検証会議」の下に開催する「競争ルールの検証に関するWG」(以下「競争WG」という。)において、2020年以降、継続的な検証を行っています。
これまでの取組として、総務省では、2020年10月に、モバイル市場の公正な競争環境の整備に向 けた具体的な取組をまとめた「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を公表しました。また、競争WGにおける検討や同アクション・プランを踏まえ、SIMロックの原則禁止 (2021年8月)や既往契約の早期解消に向けた制度整備(2022年1月)などを行いました。さらに、携帯 電話事業者各社においても、違約金の撤廃、キャリアメール持ち運びサービスの開始、eSIMの導入等 の取組が進展するなど、モバイル市場における公正な競争環境の整備が進みました。その後、2023年12 月には、電気通信事業法の一部を改正する法律(令和元年法律第5号)附則第6条(検討条項)に基づく競争WGでの検討結果を踏まえ、「白ロム割」規制などの制度改正を実施しました。また、2023年11月 に総務省において公表した「日々の生活をより豊かにするためのモバイル市場競争促進プラン」(以下 「モバイル市場競争促進プラン」という。)を踏まえ、競争WGにおいて
①モバイル市場の競争を一層 促進させるための対策、
②中古端末を含む端末市場の活性化のための対策
を中心に検討を行いました。 2024年12月には、その検討結果を取りまとめた「競争ルールの検証に関する報告書2024」を踏まえ、ミリ波対応端末の割引上限額の緩和などの制度改正を実施しました。
接続ルールなどの整備
音声接続
NTT東西が提供する電話等の音声サービスに係る接続(音声接続)については、2024年12月に固定電話網からIP網への移行が完了することなどを踏まえ、情報通信審議会において、IP網への移行後における音声接続料の在り方について審議しました。 2025年1月以降の接続料算定について、同審議会からの答申(2024年6月答申)を踏まえ、固定電話網のIP網への移行後、メタルIP電話、ワイヤレス固定電話及びひかり電話を同一の接続料とするため、メタルIP電話、ワイヤレス固定電話及びひかり電話の発着信に係る機能を単一の法定機能(組合せ適用接続機能)として規定し、組合せ適用接続機能に係る接続料の算定方法を規定するなどの制度整備を行いました(電気通信事業法施行規則等の一部を改正する省令(令和6年総務省令第110号))。
モバイル接続料
電気通信事業法では、主要なネットワークを設置する特定の事業者に対して、接続料・接続条件の公平性・透明性、接続の迅速性を確保するための規律(指定電気通信設備制度)を課しているところ、総務省では、指定電気通信設備の接続料について、認可・届出等の行政手続の中で適正性を確保するとともに、「接続料の算定等に関する研究会」における議論等により、その算定方法の適正性の向上を図っています。 移動通信におけるMNOのネットワークに関する接続料(モバイル接続料)については、同研究会に おける議論等を踏まえ、MNO各社の2023年度接続会計において、音声通信に関する接続料とデータ 通信に関する接続料の双方を算定する際の考え方(費用・資産の配賦基準)の見直しが行われました。総務省では、同研究会における当該見直しの検証結果を踏まえ、2025年3月に「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」の改定を行うとともに、2025年4月に所要の制度整備(第二種指定電気通信設備接続会計規則の一部を改正する省令(令和7年総務省令第42号))を行いました。また、2024年9月の「接続料の算定等に関する研究会 第八次報告書」を踏まえ、5G(SA 方式)の機能開放について、事業者間の協議状況を確認するとともに、今後の接続ルール等を検討することとしています。
卸電気通信役務
指定電気通信設備を用いて提供される卸電気通信役務については、卸元事業者の交渉上の優位性等を是正し、卸元事業者・卸先事業者間の協議の適正性を確保するため、電気通信事業法の一部を改正する法律(令和4年法律第70号)により、そのうち事業者間の適正な競争関係に及ぼす影響が少なくないものの役務提供義務や協議における情報提示義務が課されることとなりました。総務省では、「接続料の算定等に関する研究会」等において、改正法施行後の協議状況・制度の運用状況を確認するとともに、卸電気通信役務と接続機能の代替性に着目した卸料金の検証に関する議論を行うなど、卸電気通信役務の提供に関する協議が活発・実質的に行われること等により、第一種指定電 気通信設備及び第二種指定電気通信設備の利用において「接続」と「卸電気通信役務」の利用形態を適正に並立させるための取組を引き続き行っています。
(出典)総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/pdf/index.html
(つづく)Y.H