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少子高齢化、日本経済の低迷
我が国の出生数は2016年から減少が続くなど、我が国の少子高齢化の問題は深刻さを増しており、今後も人口減少が続くことが見込まれています。特に生産年齢人口(15歳~64歳人口)の減少により人手不足が年々深刻化しており、特に地方の疲弊や衰退、将来の経済や市場規模の縮小による経済成長率の低下などに影響することが懸念されています。また、日本経済は、長期的な停滞が続き、労働生産性も低迷しています。デジタル技術は、このような課題の解決に大きな役割を担っており、例えば、AIやロボットをはじめとするデジタル技術がさらなる進展をとげ、社会に浸透・活用されることで、労働力不足の解消、生産性向上や競争力強化による経済活性化につながることが期待されています。また、テレワーク・サテライトオフィスなどの活用により場所の制約を受けずに就業する選択肢を広げることなどが期待されています。
災害の激甚化、社会インフラの老朽化
近年、我が国では気候変動の影響等により激甚な気象災害が頻発しており、また、南海トラフ地震、首都直下地震などの大規模地震の発生も懸念されている状況です。こうした災害発生時には、ICTを活用することにより災害関連情報の収集と避難情報等の提供を正確に行うとともに、迅速な通信の復旧、継続的な通信サービスの継続等が求められています。また、高度経済成長期に集中的に整備されたインフラは、今後急速に老朽化することが懸念されており、インフラの維持管理・更新を戦略的に実施することが喫緊の課題となっています。一方、少子高齢化の進行等により労働供給が減少している状況下においては、インフラの維持に人手をかけることも困難となっていることから、デジタル・新技術の徹底活用による取組の推進が重要となっています。
国際情勢の複雑化
ロシアによるウクライナへの侵攻等の地政学的な緊張の高まり、世界経済の不透明さの拡大、重要インフラに対する国境を越えたサイバー攻撃や偽情報の拡散等、我が国を取り巻く国際情勢は不確実性や不透明さが増しています。このような中、2022年5月に成立した「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」(令和4年法律第43号)においては、特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度の対象となり得る事業分野として「電気通信事業」「放送事業」「郵便事業」 が挙げられており、今後同制度が実効的に運用されるよう、着実に取り組むこととしています。また、膨大なトラヒックを支える大容量・高速通信ネットワークや莫大なデータ処理に対応する計算資源等が必要となるAI・DX時代において、経済安全保障の観点からも、デジタル分野における我が国の自律性の確保が重要な課題となる中で、我が国のデジタル分野の国際競争力の向上に向けた取組の推進が必要となっています。
総合的なICT政策
我が国のIT戦略は、主にインフラ整備とIT利活用を推進する2001年1月に策定された「e-Japan戦略」から始まり、その後、累次の見直しが行われてきたところですが、2021年9月に、我が国のデジタル社会実現の司令塔としてデジタル庁が発足して以降は、デジタル庁設置法に基づき、内閣総理大臣を議長とする「デジタル社会推進会議」が設置され、デジタル社会の形成のための施策の実施の推進及びデジタル社会の形成のための施策について必要な関係行政機関相互の調整が行われています。同会議においては、目指すべきデジタル社会の実現に向けて、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策を明記し、各府省庁が構造改革や個別の施策に取り組み、それを世界に発信・提言する際の羅針盤となる「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が議論されており、2025年6月には、その改定が閣議決定されました。 同計画では、デジタル社会で目指す6つの姿として
①デジタル化による成長戦略
②医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化
③デジタル化による地域の活性化
④誰一人取り残されないデジタル社会
⑤デジタル人材の育成・確保
⑥DFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)の推進をはじめとする国際戦略
を掲げており、これを実現するための政策等をとりまとめています。この計画を受け、総務省においては、関連する施策を進めているところです。
また、デジタル化の恩恵を国民や事業者が享受するためには、実際にデジタル技術の実装を通じて地方が抱える課題を解決することで、地域の暮らしの向上、産業の活性化、持続可能な社会の実現、幸福度の増大を図る必要があります。そのため、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていくことで、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、構想の具体化を図るとともに、デジタル実装を通じた地方活性化を推進するため、2021年11月に内閣総理大臣を議長とする「デジタル田園都市国家構想実現会議」が設置されました。同会議の議論を踏まえて、2022年6月に「デジタル田園都市国家構想基本方針」、同年12月に構想の中長期的な基本的方向を提示する2023年度から2027年度までの5か年の「デジタル田園都市国家構想総合戦略」が閣議決定されました。さらに、2023年12月にはデジタル行財政改革の動きなどを踏まえ、「デジタル田園都市国家構想総合戦略(2023改訂版)」が閣議決定されるとともに、2024年6月には、「デジタル行財政改革取りまとめ2024」(2024年5月デジタル行財政改革会議決定)がとりまとめられました。
2024年10月には、「地方こそ成長の主役」との発想に基づき、地方がそれぞれの特性に応じた発展を遂げることができるよう、日本経済成長の起爆剤としての大規模な地方創生策を講ずるため、「デジタル田園都市国家構想実現会議」を発展させ、内閣総理大臣を本部長とする「新しい地方経済・生活環境創生本部」が設置されました。同本部での議論を踏まえ、同年12月に地方創生2.0の「基本的な考え方」 が決定され、2025年6月には、今後10年間集中的に取り組む地方創生2.0の「基本構想」が閣議決定されました。
また、この「基本的な考え方」においてデジタル・新技術の徹底活用が柱の一つとして掲げられたことも踏まえ、総務省においては、2025年2月から、情報通信審議会情報通信政策部会において、日本の地域社会・経済を取り巻く状況、AIを含むデジタル技術の最新動向を踏まえた、地域社会DXの推進に向けた情報通信政策の在り方について審議されており、同年夏頃の答申が予定されています。
また、AIの活用をはじめとして、地方でDXを推進し、「地方創生2.0」を実現するためには、ゲームチェンジャーとして期待される「光電融合技術」を活用した「オール光ネットワーク」を中核とする新たなデジタルインフラの実現が切り札となっています。近年、デジタル分野において海外依存が高まる中、安全保障の観点からも、こうしたデジタルインフラの中核となる技術・システムの競争力を強化し、海外展開を進めることが必要となります。
そのため、2025年5月、総務省は「DX・イノベーション加速化プラン2030」を公表しました。今後、「デジタルインフラ整備計画2030」及び「デジタル海外展開総合戦略2030」に基づき、DX・イノベーションの加速化に強力に取り組むこととしています。
(出典)総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/pdf/index.html
(つづく)Y.H