実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 74 | テクノファ

投稿日:2021年6月5日 更新日:

キャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、キャリアコンサルタントの成長モデルの考え方の部分を記述します。

第五に、クライアント属性の多様化や相談内容の複雑化・高度化に伴い、キャリアコンサルタント単独では対応できず、様々な関連分野の専門家との連携によって問題解決を支援していくことが増加していくと考えられるため、専門家とのネットワーク連携の能力を磨いていく必要が高まる。例えば、キャリアコンサルタントの活動領域によらず、相談の背景に発達障害やメンタルヘルスの問題を抱えるクライアントの増加に適切に対応するためには、産業医や保健師、精神保健福祉士、人事スタッフ等、人にかかわる他の専門家とのネットワークを築き、有効な連携ができる能力を磨く必要がある。

(2)専門領域を磨くための学習
キャリアコンサルタントの活動領域は、企業領域、学校領域、需給調整領域に加えて医療領域や福祉領域へ広がっており、また若者支援、女性支援、中高年支援、LGBT支援、外国人支援といったクライアント属性の観点からも、適切な支援のための専門的な知識・技能は細分化、深化している。そもそもキャリアコンサルティングとは職業選択、職業生活設計、職業能力開発に関する相談に応じて助言・アドバイスを行うことであると定義されているわけだが、これに必要な知識・技能は3テーマごとに深まりを持つ。

一方で、上級レベルになればなるほど、それぞれの専門領域を超えて連携する能力を獲得する必要が生じる。キャリアコンサルティングは個人一人ひとりのキャリアにかかわっていくことから、例えば、医療福祉の領域で支援を開始したクライアントに対して、時を経て企業領域で支援を継続していくことがある。したがってキャリアコンサルティングにおけるリーダーや指導者とは、領域を超えた連携・協業ができ、またそうした活動をコーディネートするといった活動ができる能力を持つ人であるといえよう。

今後、更新講習を中心に、上記のような様々な次元での専門領域や領域を超えた連携能力を磨くための学習機会を整備していくことが必要である。またそれぞれの専門領域、テーマごとに、基礎から応用、高度水準までの能力段階を明らかにして、学習内容を設計していくことが大切である。キャリアコンサルタント資格取得後の成長モデルに照らした学習テーマを体系モデル化し、その内容の精査と充実を図りながら、資格者の効果的かつ合理的な学習機会選択と成長促進につなげていく必要がある。

続いて、キャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書のスーパービジョン補章の説明をします。ここでは、まず第一節としてキャリアコンサルタントの役割りの拡大を、年代ごとの職業能力開発基本計画の流れと対比させ、歴史的にみた活動の拡大をまとめている(When)。そしてその延長として組織の視点を組み込んだキャリアコンサルタントの役割りとして、セルフ・キャリアドックとキャリア自律に対応した組織の多様な支援活動をまとめている(What).

第二節では、(1)新たなキャリアコンサルタントの個人に向けた支援活動として、従来の悩みや不安に対する心の支援から、個人のキャリア開発を通した成長や、キャリア形成を通じたライフキャリアにおけるキャリア充実などを重要な支援活動領域とすべきことを提起している。具体的には(4)キャリアコンサルティングの対象者、支援者としてまず、心の問題を抱えたクライアントから、キャリア開発・形成に向けて一歩踏み出すことに関心をもつクライアント(Whom)としている。言い換えるなら、クライアントが抱える主たる課題を、キャリア構築に際しての心の悩みに加え、具体的な仕事作り、組織の中での役割や居場所作り、そしてライフキャリアにおけるキャリア充実も新たな重要課題としている。それに対応するプロフェッショナルをキャリアコンサルタント(Who)として位置付けている。それ故この支援の対象として、キャリア開発、キャリア充実、モチベーション開発、現場における成長やチャンス作り(What)などが重要なのである。また、(3)支援の対象として、キャリア開発、キャリア充実、モチベーション開発を通してクライアントの成長に向き合う(What)ことの重要性を提起している。また、それに対応する手法やスキルとしては(How)、一歩の踏み出し支援・キャリア開発の具体的な支援が重要となる。それらの(2)活動の場を実践する場(Where) として仕事の現場活動が重要という立場を貫いている。この一節・二節において、新しいキャリアコンサルタントの活動領域をWhat(第一節のWhatは組織視点、第二節のWhat は個人視点). When(どのような時代の変化とともに活動が変化し)、Who & Whom(どのような問題意識をもったキャリアコンサルタントがどのような期待や要望を持っているクライアントに向き合い)、Where (どのような場を通じて)、How(いかなる活動を実践していくのか)という5W1Hの視点でまとめている。

第三節では、心の悩みから、個々人のキャリア開発・形成という問題意識の変化をベースに、一人ひとりの個人のキャリア開発視点に対応した新たなキャリアコンサルタントの支援活動をまとめている。とりあげた課題は(1)元気、一歩の踏み出し、仕事作り、役割り作りへの支援、(2)キャリア開発・居場所作りを通した成長やストレッチなどの支援、(3)節目作り支援に対応する支援、(4)日常活動に加えて、修羅場、困難な状況を打開するために発揮する多様な力・人間力支援の重要性などである。
(つづく)A.K

-実践編・応用編

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