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横山哲夫著「個立の時代の人材育成」からの紹介2

投稿日:2024年11月11日 更新日:

テクノファでは2004年に横山哲夫先生のご指導でキャリアコンサルタント養成講座を立ち上げさせていただいて以来、今年まで実に20年もの間先生の思想に基づいたキャリアコンサルタント養成講座を開催し続けさせていただきました。

先生はモービル石油という企業の人事部長をお勤めになる傍ら、組織において個人が如何に自立するか、組織において如何に自己実現を図るか生涯を通じて研究し、又実践をされてきた方です。先生は、個人が人生を通じての仕事にはお金を伴うJOBばかりでなく、組織に属していようがいまいが、自己実現のためのWORKがあるはずであるという鋭い分析のもと数多くの研究成果を出されてきております。

先生には多くの著者がありますが、引き続き「個立の時代の人材育成」-多様・異質・異能が組織を伸ばす-の核となるところを紹介したいと思います。横山先生が40年も前に喝破していたJOB型人事(もちろん、当時はこのような名前は無かったが)の検討に入るきっかけとなった伊藤レポートについて触れます。伊藤レポートは経済産業省の研究会である「 持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」の報告書のことでバブルがはじけてなかなか浮上しない日本経済の立て直しの議論が2020 年まで行われ、同年報告書が出されました。この中で議論されたのが「人的資本(Human Capital)」でした。人を従来のように資源とみなさず、資本とみなそうということを軸に人々の活性化について議論がされたのです。

この研究会では、グローバルマーケットで競争している企業において、ポストに求められる職務内容を明確にし、その職務の遂行に必要なスキルを有する人材の活躍を促す「ジョブ型」雇用の促進が求められるようになってきたと言っています。現在でも、中途採用・経験者採用では、ジョブを明確にした雇用形態が多いが、新卒採用の段階でも、一部の企業では、職務内容を明確にした採用が行われています。例えば、専門性が明確なAIやコンピューターサイエンス等の職種においては、新卒採用の段階からジョブ型雇用となってきており、この対象は拡大されていくことが見込まれているというのです。また、ジョブを明確にした長期インターンシップ等も個人のキャリア形成にも有効であり、今後、増えていくことが見込まれると報告書では述べています。

「ジョブ型」雇用については、一般的に欧米では、職務・労働時間・勤務場所について契約で限定された雇用の在り方を指しますが、報告書では、一般社団法人日本経済団体連合会の「2020年版 経営労働政策特別委員会報告」を参考に、当該業務等の遂行に必要な知識や能力を有する社員を配置・異動して活躍してもらう専門型業務・プロフェッショナル型に近い雇用区分も含めています。

では、横山先生著「個立の時代の人材育成」-多様・異質・異能が組織を伸ばす-の核となるところの引用です。

―目標による管理とは(日本への導入)―
実は、 目標(による)管理そのものについては、 後で紹介する文献によって別途ご勉強いただきたいと思っている。MBOの全容を本稿の一章に言いつくすことは到底不可能であるからである。また、目標による管理は、人材育成のためのみにあるものではなく、ましてや人事考課との結びつけがMBOの最大焦点だといいたいわけでもない。いわば、マネジメントの概念ならびに手法として多くの現代的特徴をもつMBOが、個立型人材育成の理念と手法との結びつきにみせる見事なドッキングに青いライト(青信号)を当て、MBOの日本的誤用の典型としてみられる、人事考課との断絶、すなわちMBOサイクルの不完全さに赤いライト(赤信号)を当てる。

目標設定による管理(マネジメント) 方式は主としてドラッカーによって日本に伝えられたから、彼の用語 (management by objective) を借りてMBOが一般に使われる。ここで、原産地アメリカの事情について2、3知っておくことは損にならない。その一つは、ドラッカー自身が 「マネジメント・バイ・オブジェクティブ」 の後に、「エンド・セルフコントロール」と続けることを本来のいい方としていたことである。 エンド以下は省略されて用いられるようになったが、セルフ・コントロールの部分がMBOの重大な要因であることにいささかの変わりもないこと、この部分の慣用的省略が先に述べた第1、第2の悲劇、とくに第2の悲劇にかかわりがあることに読者はお気付きになるだろう。

次に、目標設定によるマネジメントの考え方はドラッカーの専売特許ではないことである。文献的正確さを期すことにはあまり興味がないので勝手な引用になると思うが、例えば、E・G・シュレイは 『マネジメント・バイ・リザルツ』 (上野一郎訳)で、目標設定を、一定期間に達成されるべき、具体的な目標の設定と捉え、とかくプロセスに目を奪われがちな経営の軌道修正を指摘した。この書もほぼ同時期に日本に紹介され、啓蒙的な役割を果たした。

また、目標設定による”ハイ・パフォーマンス・サイクル” によって、組織と自らの成長へのコミットメントの在り方を、 理論的に、また実務的に検証しつづけてきたE・A・ロック(最近も来日し、学会その他で講演活動を行なった)は、目標設定による管理の元祖ともいわれる。たまたまドラッカーの著書、論文の紹介が盛んであったため、日本でのロックの知名度はそれほどでない。しかし、もし、このロックの紹介が先であったら、コトバの濫用、誤用を招いた「目標管理」の代わりに、「サイクル管理」とか、あるいは「(ハイ)・パフォーマンス・サイクル」がそのまま日本語呼称として用いられることになったかもしれない。ロックが 「ハイ・パフォーマンス・サイクル」を用いはじめた正確な時期は知らないが、いずれにしても、コトバによるイメージ効果の点では、この方がよかった、と私などは残念に思う。この書では、目標設定によるマネジメントを意味するために「目標(による)管理」ないしは「MBO」を主として用いるが、随時、「サイクル管理」、「サイクル・パフォーマンス」、「パフォーマンス・サイクル」なども用いてみることにする。

(つづく)平林良人

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