キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

基礎編・理論編

リファー キャリアコンサルタント養成講座13 I テクノファ

投稿日:2024年8月12日 更新日:

- リファーできるフォローアップの重要性 -

キャリアコンサルタント養成講座の12日間だけで本当に「本物のキャリア・カウンセラー」になれるかというとそれは違います。12日間の講座を受けて首尾よく合格したとしても、その時点ではキャリア・カウンセラーとしての出発点に立ったにしか過ぎません。さらにその後、キャリア・カウンセラーの資格を取得したあとでも「本物のキャリア・カウンセラー」を目指して、スーパーバイザーの指導を受け、さらなるスキルアップを図ることが必要だと思います。テクノファでは、そのようなフォローアップコースのステップを順次踏んでいただくために、有資格者を対象としたインターンシップをカウンセリングルームの運営と併せてシステム化しています。

また、我々だけでは出来ませんが、キャリア・カウンセラー、キャリアコンサルタントの言葉の定義がはっきりしませんので、これらに携わっている団体、業界の皆さんと協力してある程度はっきりさせていけないかと思います。今までこの世界で活動されてきた先人の方々の実績、思いがまずは重要ですし、関係する人たち、社会が受け入れられるような議論と集約が必要だと思います。

我々養成講座運営組織は、何故キャリアコンサルタント養成講座を運営するのか、我々がキャリア・カウンセリングの方法を勉強する意味をきちんと認識し、5年、10年先の社会のニーズを踏まえて、今日すべきことを議論し実践していく必要があると思います。そのような動きの中に我々も積極的に参画し、テクノファとしての特長を活かしたキャリアコンサルタント養成講座にしていきたいと思います。テクノファは、キャリアコンサルタントの資格が先にありきではなくて、何のためにキャリアコンサルティングあるいはキャリア・カウンセリングが必要なのかを掘り下げて、受講される一人ひとりと考えていきたいと思っています。キャリア開発の何たるかをちゃんと知っていただいた上で、それがあるからこそキャリアコンサルティングあるいはキャリア・カウンセリングが必要になってくるんだということを受講者皆さんと是非共有していきたいと思っています。

我々のキャリアコンサルタント養成講座は、単に一対一のカウンセリングができればいいというのではありません。それも含めて、組織内へのキャリア開発の導入・実践ができる人材、チェンジ・エージェントとしての機能を果たすことができる人材育成を目的と考えています。講座の内容そのものは現時点で変える必要はないと考えますが、講座修了後のフォローアップ、アドバンスコースの充実を図っていきたいと思います。具体的には、事例研究(ケーススタディ)をレベルアップさせていく必要があると思っています。これは、キャリアコンサルタント養成講座を修了された方々を対象にしたフォローアップコースとして、ケース記録のまとめ方やロール プレイ(事例研究)、そしてインターンシップ(カウンセリング実習)を通じてキャリア・カウンセラーとしての実践力を養成する体系化されたプログラムです。例えば、アサーショントレーニングのような、ヒューマン・ スキル(人間理解能力)を磨いていく、深めていくコースも当然必要になります。

小澤先生からは次のようなアドバイスを頂いています。

「キャリア・カウンセラーとしての面談のスキル・コンピテンシーをちゃんと持っている人は少ない。キャリアの範囲でとどまるべきなのか、リファー※すべきか そうでないかの判断がきちんとできない人たちが多い」とおっしゃられています。

※ リファー(refer):「参照する」が原意であるが、キャリアコンサルタントの世界では「自分では力になれないと感じられるクライアント(相談者)を、よりふさわしい人に申し送りする(紹介する)こと」です。

カウンセリングをしていて、メンタル面で精神科医の診断が必要だと感じられた場合は医者にリファーします。

リファーをきちんとできるようにしていくためのトレーニングも必要です。このようなトレーニングは、ロールプレイが非常に重要になってきます。例えば産業医の方を入れて、尚且つスーパーバイザーの方の協力を得ながら、その人のカウンセリングプロセスをきちんと評価して、スキルアップを図るためのトレーニングがアドバンスコースです。

フォローアップコースを通じて、総合的な力をつけていっていただく必要があるだろうなと思っていますが、これはテクノファだけでは出来ないことですので、いろいろな方に協力を得ながら、なお高いレベルを目指していきたいと思っています。「熟練レベルのキャリアコンサルタント」に求められる能力要件は、このようなきちんとリファーできるトレーニングプログラムから受講生のスキルアップができるのではないかと思っています。
(つづく)Y.H

-基礎編・理論編

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタントの活動領域4―地域領域

4.地域領域 キャリアコンサルタントの活動の領域4つめです。代表的なものは、公共職業安定所が設置されていない市町村数百か所に設置されているふるさとハローワーク(地域職業相談室)です。ふるさとハローワークは国と市町村が共同で運営しており、職業相談、職業紹介等を行っています。利用料等一切無料です。「わかものセンター」「マザーズセンター」として活動しているところもあります。地域職業相談室、わかもの支援コーナー活動の代表的なものが、キャリア開発支援であり、地域(県内)で働く人及び働きたい人を応援しています。 おおむね45歳未満の若年者、フリーター・ニートなど職業経験が浅い若しくは少ない若者、なんらかの …

キャリアコンサルタントの活動領域

厚生労働省の「キャリアコンサルティング研究会」の「キャリアコンサルタント自身のキャリア形成のあり方部会」の報告書では、キャリアコンサルタントの働く分野に「活動領域」という言葉が使われ、企業領域、需給調整機関領域(就職支援領域)、教育領域、地域領域として分類されています。 キャリアコンサルティングの制度を構築するにあたり想定した活動領域、制度実施後の実際のキャリアコンサルティングの活動領域を、中央職業能力開発協会の熟練検討委員会が整理した、実践フィールドの違いによる熟練レベルのキャリアコンサルタントの特長、中央職業能力開発協会の指導レベルキャリア・コンサルタント制度設計の必要性、労働政策研究・研 …

職業訓練におけるアサーションの実践的訓練_テクノファキャリアコンサルタント養成講座

キャリアコンサルタントの方に有用なお話をします。 アサーション※の難しさを肌で感じるのは、職業相談の現場においてです。当然ですが、職業相談に来られる方の目的は仕事の相談です。相談の目的が明瞭であれば、ご本人の意向や希望に沿ってマッチングや自己アピールの支援等を比較的順調に進めていくことができますが、このような例はごくわずかです。 ※「アサーション」(assertion)は1950年代にアメリカで、自己主張を苦手とする人を対象としたカウンセリング手法として生まれました。「人は誰でも自分の意見や要求を表明する権利がある」との立場に基づく適切な自己主張のことです。 相談の目的が仕事に関することであっ …

キャリアシートの作成について指導する場合の要点を説明します

キャリアコンサルタントの力ウンセリング基本的スキルとしてのキャリアシートの作成指導について説明します。キャリアシートは、職業経験のある人が自分の過去を振り返り、技能や能力について把握し、過去の職務や経験を評価し、今後の希望や計画をまとめるためのシートです。特に定められた形式はありません。 ■履歴書、職務経歴書との違いとは キャリアシートと似たようなもので従来から使用されているものに、履歴書と職務経歴書があります。履歴書は趣味なども記述しますので、公式の自己紹介書ともいえるもので、文字どおり自分の履歴を書くものです。したがって、職業経験がない人も使う場合があります。定型化されたものは文房具店で購 …

目標管理と人事考課ーキャリアコンサルタントの知恵袋|テクノファ

横山哲夫先生(1926-2019)の「個立の時代の人材育成」からの紹介です。 キャリアコンサルタントすべての方に読んでいただきたい本です。 ―目標管理と人事考課 ― R大社会学部の私の授業の一つのテーマに、W大ビジネススクールと同様に、「目標管理」をとりあげている。R大の場合は学部の学生であり、アルバイト以外は勤務経験がないから、人事管理論その他の関連課目の授業から得た知識をもとにして討議させることになる。目標管理サイクルの 仕上げの部分、業績評価の段階で、業績評価がそのまま人事考課の最大主要部分となっている米国系多国籍企業M社と、同じく米国系大手多国籍C銀行の書式の実物をみせる。次に、MBO …