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実践編・応用編

持続可能な医療・介護の実現 5

投稿日:2025年1月6日 更新日:

 キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

持続可能な医療・介護の実現についての最終回です。少子高齢化によって、ますます労働力の減少が進んでいます。医療・介護も例外ではなく、将来的に医師や看護師、介護従事者が減っていくことは避けられません。つまり、社会と同じく需要と供給のバランスが崩れてしまう可能性があります。このバランスをどう保っていくかが、医療・介護業界の課題です。また、医療費も今後増える一方であり、税金が減ってしまえば、必然的に社会保障費の確保が難しくなってきます。

■医療・介護の連携
要介護認定率や認知症の発生率等が高い75歳以上の高齢者の増加に伴い、医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ高齢者の増加が見込まれることから、在宅医療・介護を一体的に提供できる体制の構築とその連携がますます必要となっています。 このため、在宅医療・介護連携推進事業を地域支援事業の包括的支援事業に位置づけ、市区町村が主体となって、事業を実施しています。さらに、地域包括ケア強化法により、都道府県による市町村支援を明記し、市町村支援を実施する都道府県に対する研修等の取組みを強化しています。 また、2021(令和3)年4月に「在宅医療・介護連携推進事業の手引き」を公開しました。さらに、市町村職員に対する研修等の取組みを強化しています。 また、地域包括ケアシステムを推進する観点から、医療処置等が必要であるものの、入院する程ではないが自宅や特別養護老人ホーム等での生活が困難な高齢者にも対応可能な受け皿を確保することは重要です。

■高齢者の虐待防止
2006(平成18)年4月に施行された「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成17年法律第124号)等に基づき、高齢者虐待の未然防止、早期 発見・速かつ適切な対応、再発防止を図るため、自治体等と連携して、虐待を受けた高 齢者に対する保護、養護者への支援等に係る措置を講じている。 2022(令和4)年度における対応状況は、養介護施設従事者等による虐待の相談・通報件数が2,795件、虐待判断件数が856件であり、養護者による虐待の相談・通報38,291件、虐待判断件数が16,669件である。 高齢者の虐待防止については、とりわけ市町村等の体制整備の強化が喫緊の課題であることから、都道府県の指導監督部局や市町村の虐待対応部局の実務者等で構成される会議の設置等の支援を行い、2024(令和6)年度介護報酬改定では、介護事業所・施設に いて、虐待の発生又はその再発を防止するための措置(委員会の設置、研修の実施等)が 講じられていない場合に、基本報酬を減算することとし、介護事業所・施設における高齢者虐待防止の取組みをより一層推進する施策を講じた。(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書

■認知症施策の推進
認知症は誰もがなりうるものであり、多くの人にとって、身近なものとなっているという認識の下、政府においては、2015(平成27)年に「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」(新オレンジプラン)、2019(令和元)年に「認知症施策推進大綱」等を策定し、取組みを進めてきた。 こうした中、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができること、認知症の人を含めた全ての国民がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重 しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(以下「共生社会」という。)の実現を推進することを目的とする「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」(令和5年法律 第65号。以下「認知症基本法」という。)が2023(令和5)年6月に成立し、2024(令 和6)年1月に施行された。 認知症基本法の施行に先立ち、2023年9月からは、内閣総理大臣主宰のもと、認知症の人やその家族、有識者等を構成員とする「認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議」が開催され、同年末の取りまとめにおいては、認知症と共に希望をもって生きるという「新しい認知症観」の理解促進を認知症の人の発信等を通じて進めることや、認知症の人やその家族の参画の下で施策を進めることの重要性が示された。

2024年1月には、認知症基本法に基づき、内閣総理大臣を本部長とする「認知症施策推進本部」が設置され、同年3月からは、認知症の人やその家族、保健医療福祉従事者等から構成される「認知症施策推進関係者会議」が開催されている。これらの議論を踏まえ、同年秋頃の「認知症施策推進基本計画」の策定を目指すこととされている。 また、認知症基本法では、共生社会の実現の推進という目的に向け、国・地方が一体と なって施策を講じるため、都道府県・市町村においても、認知症の人やその家族等の意見を聴いた上で「認知症施策推進計画」の策定に努めることとされており、厚生労働省においては、策定に必要な経費を支援するなど自治体との連携を図っている。

さらに、アルツハイマー病の原因に働きかけて病気の進行自体を抑制する薬として、国内で初めて承認された医薬品であるレカネマブが2023年末に保険収載され、投与が開始されたことも踏まえ、地域の認知症医療の中核である認知症疾患医療センターの整備を含め、より安全かつ安心な医療介護体制の整備を進める。 認知症治療の新時代の到来を踏まえ、引き続き必要な早期発見、検査・医療サービス等が提供される体制整備や治療薬の更なる研究開発を進めていくとともに、自治体とも連携しながら、認知症施策の総合的な推進に取り組んでいく。

(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書

■介護現場の生産性向上の推進
●生産性向上
人材の確保が喫緊の課題であり、介護職員が行うべき業務の切り分けや、各現場の 課題・ニーズに応じたテクノロジーの活用などを通じて、介護サービスの質の維持・向上を図りつつ、介護職員の負担軽減や職場環境の改善を通じて、働きやすい職場環境づくりを一層推進するためにも、生産性向上の取組みは重要です。 そのため、2020(令和2)年度から継続して介護現場の生産性向上に関する全国セミナ―を開催しています。そのほか、2024(令和6)年4月から、介護事業所・施設の生産性の向上に資する取組みが促進されるよう都道府県に対する努力義務が創設されることも踏まえ、都道府県の主導のもと、生産性向上に資する様々な支援・施策を総合的・横断的に一括して取り扱 い、適切な支援につなぐワンストップ窓口の設置等を行う「介護生産性向上推進総合事業」について、2023(令和5)年度より地域医療介護総合確保基金を活用し実施しています。

●介護ロボット
厚生労働省においては、経済産業省と連携し、移乗介助や見守りなど重点的に開発等の支援を行う分野を定め、介護ロボットの実用化や普及の促進に取り組んでいる。 また、2020(令和2)年度に①介護施設等 (ニーズ側)・開発企業等(シーズ側)の一元的な相談窓口の設置、②リビングラボのネットワークの構築、③介護現場における実証フィールドからなるプラットフォームを整備した。2023(令和5)年度は上記のプラットフォームに加え、ワンストップ窓口の支援を行う中央管理事業を実施し、地域での介護ロボットの普及・活用の推進を図った 。
さらに、2024(令和6)年度介護報酬改定において、生産性向上による職場環境の改善に向けた先進的な取組みを推進する観点から、テクノロジーを活用した業務改善を継続的に行うことを評価する加算の新設や、生産性向上に先進的に取り組む特定施設の人員配置基準の特例的な柔軟化などを行うこととした。更なる生産性向上の方策について検討していくため、今後も状況の把握・検証、実証データの収集を行っていく。

(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書

●介護分野の文書負担軽減
「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」において、議論と検討を行い、 2022(令和4)年11月に負担軽減策の方向性等に関する取りまとめを行いました。 取りまとめを踏まえ、関係省令等を改正し、2024(令和6)年4月より指定申請等の様式を統一化した上で、「電子申請・届出システム」の使用を基本原則化し、地方公共団体は2025(令和7)年度末までに利用開始の準備を完了するものとしました。今後もフォローアップ等を行いながら、介護現場の負担軽減に向けた取組みを推進していていきます。

■介護報酬改定
介護護人材不足の状況等を踏まえると、介護分野における賃上げは喫緊の課題であり、2024(令和6)年度の介護報酬改定について、全体の改定率は1.59%となり、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行いつつ、サービス毎の経営状況の違いも踏まえたメリハリのある対応を行うこととしています。 また、改定に当たっては、人口構造や社会経済状況の変化を踏まえ、地域包括ケアシス テムの深化・推進、自立支援・重度化防止に向けた対応、良質な介護サービスの効率的な 提供に向けた働きやすい職場づくり、制度の安定性・持続可能性の確保の基本的な視点を踏まえ、運営基準や単位数、要件等について見直しを行いました。

◆福祉・介護人材の確保
将来必要となる介護職員数を推計すると、2040(令和22)年度には約280万人となっており、介護職員の確保は喫緊の課題となっています。このため、政府においては、就業促進、職場環境の改善による離職の防止、外国人材の受入れ環境整備などに総合的に取り組んでいくこととしています。 具体的には、処遇改善に加えて、

①介護分野への高齢者など介護の未経験者の参入を促すための「入門的研修の普及
②ICTや介護ロボット等のテクノロジーを活用した生産性向上の推進による業務負担の軽減や職場環境の改善
③介護の仕事魅力発信
など介護人材確保に総合的に取り組んでいます。

総合的な介護人材の確保策の一つとして、外国人介護人材の受入れに取り組んでいくこ とも重要です。昨今、諸外国との人材確保の競争が激しくなっており、新たに日本の介護現場に来てもらうための対策や既に国内に在留する外国人に日本の介護現場で長く働いてもらうための対策など、外国人介護人材の受入環境の整備及び定着支援について、より一層取組みを進めていく必要があります。このため、海外現地での日本の介護の情報発信やマッチング等の入国支援、受入施設への巡回訪問・相談等の定着支援、介護福祉士資格取得に向けた学習支援、受入施設における生活支援等の環境整備といったきめ細かな支援を行っています。また、2023(令和5)年7月より「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」を立ち上げ、訪問系サービスなどへの従事等について議論を行っています。ハロートレーニング(公的職業訓練)においては、人材確保に課題を抱える建設分野、保育分野等に加え介護分野において必要とされる人材の確保に資する訓練を実施しています。公益財団法人介護労働安定センターにおいては、事業所の雇用管理の改善のためのコンサルティング等の実施や事業所の雇用管理改善に係る好事例の公開及び助成金等の周知を実施し、介護労働者の雇用管理の改善を図っています。
(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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