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実践編・応用編

健康で安全な生活の確保 2

投稿日:2025年1月15日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

前回に続き、健康で安全な生活の確保についてお話しします。国民の多くは、健康で安全な生活をすることを願っています。一方で、大規模な自然災害が発生しても、機能不全に陥らないで復旧復興に取り組まねばなりません。また、日常生活に潜む危険(感染症等)などから身を守る対策にも万全を期す必要があります。

■インフルエンザ対策について
●2023/2024シーズンのインフルエンザの流行状況と総合対策について
インフルエンザは冬季を中心に毎年流行する感染症の一つであり、その病原体の感染力強いため、日本国内では毎年約1,500万人前後が、つまり、国民の約10人に1人の割合で、インフルエンザに罹患しました。 2009(平成21)年に発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)については、2011(平成23)年3月31日以降季節性インフルエンザ対策の一環として対応しています。 2023/2024シーズンについては、2022/2023シーズン以降流行入りの基準(定点医療機関当たり報告数1)を下回ることなく推移し、例年より早い時期から報告数の増加が認められました。 厚生労働省では、インフルエンザの流行に備えて、「今冬のインフルエンザ総合対策」を取りまとめ、厚生労働省のホームページにインフルエンザに関する情報を掲載した専用のページを開設し、流行状況や予防接種に関する情報を提供するとともに、日常的な予防を啓発するポスター、X(旧Twitter)、動画などを用いた感染予防の普及啓発を行っています。

●新型インフルエンザ等対策特別措置法等について
新型インフルエンザ対策については、2009(平成21)年に発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)の経験などを踏まえて、対策の実効性を高めるために、2013(平成25)年4月13日に施行された。
特措法は、病原性が高い新型インフルエンザや同様の危険性がある新感染症等に対して、国民の生命・健康を保護し、国民生活・国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とし、新型インフルエンザ等の発生時における措置の法的根拠の整備を図るものである。 また、新型インフルエンザ等対策の円滑な推進のため、新型インフルエンザ等対策閣僚会議の下に設置された新型インフルエンザ等対策有識者会議における検討を踏まえ、2013年に関係政令が公布、施行され、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」とガイドラインが策定された。なお、本行動計画及びガイドラインについては、新型コロナウイルス感染症への対応の経験等を踏まえ、抜本的に改定することとなった。
(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書

 

●抗インフルエンザウイルス薬の備蓄とワクチン供給体制について
抗インフルエンザウイルス薬については、新型インフルエンザの発生に備え、行動計画に基づき国民の全罹患者数(被害想定において全人口の25%が罹患すると想定)の治療 その他の医療対応に必要な量を備蓄目標とし、国と都道府県などにおいて備蓄を行っている。なお、2022(令和4)年には、最新の科学的な知見に基づき、新たな抗インフルエンザウイルス薬を備蓄対象に追加した。ワクチンについては、これまで鶏卵培養法では1年半~2年を要する全国民分の新型イ ンフルエンザワクチンの生産期間を約半年に短縮することを目的として、2009(平成 21)年度補正予算で「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備臨時特例交付金」 を措置し、細胞培養法による新型インフルエンザワクチンの生産体制の整備を図った結果、2018(平成30)年度末までに全国民分のワクチン生産のための実生産施設が整備された。現在、危機管理上の重要性が高い亜型の発生に備え、細胞培養法により安定的に製造できる技術開発を推進している。また、高病原性の鳥インフルエンザに由来する新型インフルエンザの流行に備え、新型インフルエンザ発生初期に医療従事者や国民生活・国民経済の安定に寄与する業務に従事 する者に特定接種(特措法第28条で規定する「特定接種」をいう。以下同じ。)が行えるよう、プレパンデミックワクチンの製造・備蓄を進めている。(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書

◆国民の健康増進の取組み
■国民健康づくり運動の展開
生活習慣病のがん、循環器疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患などは、日本人の死因の約5割を占めるなど、日本人の健康にとって大きな課題となっています。また、死亡のリスク要因を見てみると、喫煙などの個人の生活習慣と、これらと関係する高血圧、高血糖などが上位となっています。厚生労働省では、2000(平成12) 年から一次予防の観点を重視した「21世紀における国民健康づくり運動」(「健康日本 21」)を開始しました。「健康日本21(第二次)」の最終評価の結果等を踏まえ、次期国民健康づくり運動プランの検討を行い、2023(令和5)年5月に「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」(令和5年厚生労働省告示第207号)を告示しました。当該方針に基づき、2024(令和6)年4月から「健康日本21(第三次)」を開始しました。

「健康日本21(第三次)」においては、「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」に向けて、
①健康寿命の延伸と健康格差の縮小、
②個人の行動と健康状態の改善、
③社会環 境の質の向上、
④ライフコースアプローチを踏まえた健康づくりを基本的な方向として取組みを推進していくこととしています。

近年、がん、循環器疾患、糖尿病、COPDなどを非感染性疾患(Non Communicable Diseases:NCDs)という概念で一括りにとらえ、包括的な社会政策として取り組むことが国際的な潮流となっています。これは、NCDsの発症や重症化は、個人の意識や行動だけなく、個人を取り巻く社会環境による影響が大きいため、地域、職場等における環境要因や経済的要因等の幅広い視点から、社会政策として包括的に健康対策に取り組む必要があるという考えに基づくものです。「健康日本21(第三次)」の推進に当たっては、こう した視点に立った対応が求められています。2013(平成25)年に「地域における保健師の保健活動に関する指針」を改正し、地域保健を担う行政保健師が保健活動を行う上で留意すべき事項を示した。本指針において、各自治体は体系的な人材育成 を図ることとされており、2016(平成28)年3月、「保健師に係る研修のあり方等に関 する検討会最終とりまとめ」で自治体における保健師の人材育成体制構築に向けた推進策 が示されました。これらを踏まえて、自治体保健師の更なる資質向上及び人材育成体制の構築を推進している。熱中症予防については、2023年に政府における計画として「熱中症対策実行計画」を策定し、熱中症対策の計画的な推進を図ることとしています。

■栄養、食生活
栄養・食生活は、生命を維持し、子どもたちが健やかに成長し、また人々が健康で幸福な生活を送るために欠くことのできない営みであり、生活習慣病の予防のほか、生活の質の向上及び社会生活機能の維持・向上の観点から重要である。「健康日本21」では、生活の質の向上とともに、社会環境の質の向上のために、食生活、食環境の双方の改善を推進する観点から、目標設定を行っている。このことも踏まえ、これまで、厚生労働省では、栄養・食生活に関する対策として、乳幼児期から高齢期までの全ライフコースだけでなく、傷病者や被災者も対象とした取組みを通じて、「誰一人取り残さない栄養政策」を推進してきた。
厚生労働省では、活力ある「人生100年時代」の実現に向けて、自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた産学官等連携の在り方を検討するため、「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会」を開催し、2021(令和3)年6月に報告書を公表した。この報告書では、栄養は、活力ある持続可能な社会の基盤なるものであり、そうした社会の実現に向けて、全世代や生涯の長きにわたり国民に大きく影響し得る栄養課題を改善・解消していく必要があるとしている。そして、こうした観点から、国民にとって特に重要な栄養課題となっている「食塩の過剰摂取」への対策として「減塩」に優先的に取り組みつつ、「若年女性のやせ」や「経済格差に伴う栄養格差」も対象に、産学官等が連携して取り組んでいく必要があるとしている。この取りまとめ踏まえ、厚生労働省では、関係省庁の協力を得て、産学官等連携による食環境づくりの推進体制として、「健康的で持続可能な食環境づくりのための戦略的イニシアチブ」を 2022(令和4)年3月に立ち上げた。本イニシアチブでは、事業者がビジネスを通じて栄養課題等に取り組むことについて、産学官等が連携して支援するとともに、各事業者の行動目標、進捗、成果等を社会に広く見える化する仕組みとしている。本イニシアチブの特徴として、環境・社会・企業統治(ESG)評価など、事業者の社会的 評価の向上や、それを通じた更なる事業機会の拡大と連動して、栄養課題等の解決を図っていくことが挙げられる。(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書

(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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