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実践編・応用編

学校施設の整備、防災対策

投稿日:2025年6月26日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。
学校の教室や廊下に配置された防災グッズや避難経路の確認を通して、避難経路までの道のりを実際に歩いて確認することもあります。さらに、構内の安全設備や地震の強い建物構造を見直し、災害に対し物理的に進められています。今回は、学校施設の整備、防災対策についてお話します。

◆快適で豊かな施設環境の構築
■新たな時代に応じた学校施設への取組
●新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について
1人1台端末環境の下、個別最適な学びと協働的な学びを実現するための新しい時代にふさわしい学校施設の在り方について、「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」で議論が行われ、令和4年3月に報告書を公表しました。その中で、新しい時代の学びを実 現する学校施設として、柔軟で創造的な学習空間や地域・社会との共創空間などの五つの姿の方向性に加え、長寿命化改修等を通じた教育環境向上と老朽化対策の一体的な推進等の具体的な推進方策が提言されました。
こうした提言等を踏まえ、文部科学省では、令和4年6月に各学校施設整備指針を改訂しました。また、5年5月に、新しい時代の学びに対応した空間を改修等で実現する際の、ボトルネックとなる技術的な課題への対応策を解説する「学校施設の教育環境向上を図る改修等に関する課題解決事例集」を公表しました。さらに、同年1月に「学校施設の質的改善・向上に関するワーキンググループ」を設置し、新しい時代の学びを実現する学校施設を具現化するため、具体的な整備事例やそのプロセスの事例を収集し、アイディア集の作成を進めています。あわせて、後述の学校施設整備・活用推進のためのプラットフォームの構築、助成支援制度の充実などを通じ、新しい時代の学校施設整備に対する学校設置者の取組を支援しています。

●学校施設のバリアフリー化の推進
学校施設は、障害の有無にかかわらず児童生徒や教職員等が支障なく安心して学校生活を送ることができるようにする必要があるとともに、災害時の避難所など地域コミュ ニティの拠点としての役割も果たすことからも、バリアフリー化を進めることは重要です。文部科学省では、令和2年の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の改正等を踏まえ、学校 施設のバリアフリー化に関する基本的な考え方や計画・設計上の留意点を示した「学校施設バリアフリー化推進指 針」を改訂しました。また、公立小中学校等において、7年度末までの5年間に緊急かつ集中的に整備を行うための 整備目標を定めるとともに、3年度から、公立小中学校等のバリアフリー化工事に対する国庫補助の算定割合を3分の1から2分の1に引き上げています。 さらに、令和4年度には、前回の2年度調査に引き続 き、2回目となる「学校施設のバリアフリー化に関する実態調査」(4年9月時点)を実施しました。調査結果を公表するとともに、文部科学省ウェブサイト内の「学校施設 のバリアフリー化の推進」特設ページ*7における情報発信や、全国の学校設置者等を対象とした講習会や各種会議等 における普及啓発に取り組んでいます。
(出典)令和5年版 文部科学白書

■環境を考慮した学校施設づくり
●環境を考慮した学校施設(エコスクール)の環境推進
文部科学省では、脱炭素化の推進の一環として、環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備を推進しています。エコスクールは、児童生徒等にとって健康的で快適な学習・生活空間を備えるとともに、環境負荷低減を図ることができます。また、児童生徒等が環境について学ぶ教材としての側面を持つとともに、地域の環境教育拠点としての機能も果たすことができます。地方公共団体がエコスクールとして整備する公立学校施設整備事業について、関係省庁と連携し「エコスクール・プラス」として認定して います。 さらに、2050年脱炭素社会の実現に向けて、これまで のエコスクールの取組の深化を図り、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指したネット・ゼ ロ・エネルギー・ビルの整備を推進していくこととし、令和4年度からは「地域脱炭素 ロードマップ(国・地方脱炭素実現会議)」に基づく脱炭 素先行地域に立地する学校等のうち、ZEB Readyを達成する事業に対し、国庫補助単価の上乗せを行っています。 あわせて、令和5年3月に「2050年カーボンニュートラルの実現に資する学校施設のZEB化の推進について」 (報告書)を公表するとともに、6年3月には「学校施 設のZEB化の手引き」を公表するなど、技術面の普及啓発も行っています。 また、学校施設は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に基づき、エネルギーの使用の合理化(省エネルギー)に努めることが求め られています。このため文部科学省では、学校でできる省 エネルギー対策に関する資料「学校でできる省エネ」や 学校等における省エネルギー推進のための基本的事項をま とめた「学校等における省エネルギー推進のための手引 き」を作成し、学校設置者への周知を図っています。

◆安全・安心な学校施設の整備

“■老朽化した学校施設の長寿命化対策の推進
公立学校施設については、現在、全国の公立小中学校の 半数以上が築40年以上を経過し、そのうち約7割が改修 を要するなど、老朽化が深刻な状況となっており、厳しい 財政状況の下、着実に老朽化対策を進めていくことが喫緊 の課題となっています(図表2-10-5)。 また、家庭や社会の環境の変化に伴い、少人数による指 導体制や1人1台端末に対応した施設環境の整備、バリアフリー化、熱中症防止等のための空調設備の設置、トイレの洋式化乾式化、脱炭素化などの学校施設の機能・性能の向上が求められています。 そのため、公立学校施設等の整備目標等を定めた文部科学省告示「公立の義務教育諸学校等施設の整備に関する施設整備基本方針」と「公立の義務教育諸学校等施設の整備 に関する施設整備基本計画」においても、これらの課題に対応するため計画的な整備を行うことの必要性を記載しています。
(出典)令和5年版 文部科学白書

○長寿命化改修の推進
厳しい財政状況の下、公立学校施設を取り巻く様々な課題を解決するためには、中長期的な視点の下、計画的な整備を行うとともに、「長寿命化改修」に重点を移していくことが必要です。 長寿命化改修は、コストを抑えながら建物の耐久性を高め、学校施設に対する現代の社会的事情に応じるよう、建物の機能や性能を引き上げるものです。適切なタイミング (おおむね築後45年程度まで)で長寿命化改修を行うことにより、技術的には、70から80年程度に耐用年数を延ばすことが可能です。 文部科学省では、公立学校施設の長寿命化を推進するため、地方公共団体が行う長寿命化改修に対して国庫補助を行っています。 また、長寿命化に向けた取組を着実に進めるため、学校 設置者が個別施設ごとの長寿命化計画(以下「個別施設計 画」という。)を策定し、計画に基づいて中長期的なトータルコストの縮減や予算の平準化を図りながら、計画的・ 効率的に取組を進めるよう促してきており、令和5年4月 1日現在で99.2%の学校設置者において個別施設計画の策定が完了しています。 さらに、各設置者において計画の適時の見直しや内容の 充実が図られるよう、教育委員会と首長部局の連携に関する解説書や計画の充実、見直しに資する事例集等を作成・ 周知しています。

○維持管理の徹底等
学校施設には、日常のみならず災害時においても十分な 安全性・機能性が求められます。建築当初には備わっているこれらの性能も、経年等により満たされなくなっている 恐れがあります。学校施設の管理者等においては、当該施設が常に健全な状態であるよう、適切に維持管理を行うこ とが必要です。 近年、学校施設の老朽化に伴い、外壁等が落下する事故 が相次いで発生する等、安全面における不具合が増加して います。また、体育館の床板剥離による負傷事故、防球 ネットの支柱倒壊による児童死傷事故など重大事故も断続的に発生しています。 文部科学省では、このような学校施設に起因する事故等 を防ぐため、学校設置者に対して、落下や倒壊等により重大な事故につながる恐れのある外壁や工作物等の点検を要 請するなど安全確保に係る通知を発出するとともに、適切な維持管理が進むよう手引きやパンフレットなどを作成・周知しています。

“■学校施設の耐震対策
公立学校施設は、児童生徒の学習・生活の場であるとと もに、地震などの災害時には地域住民の避難所としての役割も果たすことから、耐震化により安全性を確保することは極めて重要です。 令和5年4月1日現在、公立小中学校施設の構造体の耐 震化率は99.8%、屋内運動場等の吊り天井等の落下防止 対策実施率は99.6%とおおむね完了しているものの、吊 り天井以外の非構造部材の耐震対策実施率は67.3%と なっており、引き続き対策が必要です。 文部科学省としては、構造体の耐震化及び屋内運動場等 の吊り天井等の落下防止対策が未完了の地方公共団体に対 して、一刻も早く耐震化が完了するよう要請するととも に、老朽化した施設では、地震発生時にガラスの破損や内外装材の落下など非構造部材の被害が拡大する可能性が高いため、吊り天井以外の非構造部材の耐震対策を含めた老 朽化対策、防災機能強化についても対策を推進していきます。
(出典)令和5年版 文部科学白書

■学校施設における事故防止及び防犯対策の充実
学校施設における児童生徒等の安全を守るためには、教育委員会や教職員をはじめとする関係者が危機管理意識を持って緊密に連携し、ハード・ソフト両面において組織的・継続的に安全対策及び防犯対策を行うことが必要で す。 文部科学省では、学校施設の事故防止や防犯対策に関して、設計上・計画上の基本的な考え方や留意点を示した報告書等を作成し、研修会等を通じて学校設置者に対し普及、啓発を図るとともに、必要となる施設整備に対して国庫補助を行っています。 また、令和5年度から7年度までの間、防犯カメラ・ オートロックシステム・非常通報装置の整備等、学校の防犯対策の強化のために必要な施設整備について集中的な支援を行うなど、児童生徒等の安全を確保する取組を進めています。
(つづく)Y.H

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