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実践編・応用編

日本の環境の保全と創造 2

投稿日:2025年4月8日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

前回に続き、環境の保全と創造についてお話しします。環境保全とは、自然環境や生態系を保護し、持続可能な状態を維持するための取組みのことです。保全の目的は、自然資源の持続可能な利用や再生、生物多様性の保全、大気や水の浄化、エネルギーの効率的な利用などです・これらにより、地球上の生態系のバランスを保ち、将来世代に美しい環境を受け継ぐことができます。

○海運における省エネ・低脱炭素化の取組み
国際海運分野においては、令和5年7月に 国際海事機関(IMO)において我が国の提案をベースとした「2050年頃までにGHG排出ゼロ」を目標とする新たなGHG削減戦略が全会一致で合意されました。この目標達成のため、IMOにおいて、技術的手法と経済的手法を組み合わせたゼロエミッション船の建造を促す制度の検討が始まっており、欧州連合からは技術的手法として、燃料のGHG強度による規制制度を提案し、我が国からは経済的手法として、化石燃料船に対する課金と、ゼロエミッション船に対してインセンティブを与えることを組み合わせた制度等を提案しているところであり、引き続き、具体的な対策を主導していきます。欧州連合からは燃料のGHG強度による規制制度が技術的手法として提案されており、引き続き、具体的な対策の策定を主導していきます。加えて、3年度より、グリーンイノベーション基金を活用して水素・アンモニア等を燃料とするゼロエミッション船の実用化に向けた技術開発・実証プロジェクトを行っており、アンモニア燃料船については8年、水素燃料船については9年の実証運航開始を目指しています。また、5年11月には、アンモニア燃料船の社会実装に向けた取組みを加速するため、温室効果の高い亜酸化窒素(N2 O)の排出低減やアンモニアの燃料補給時の安全対策等に資する開発をプロジェク トに追加しました。内航海運分野においても、船舶の省エネ・低脱炭素化を促進しており、荷主等と連携して離着桟・荷役等も含めた運航全体で省エネに取り組む連携型省エネ船の開発・導入、バイオ燃料の活用に向けた取組み、省エネルギー性能の見える化(内航船省エネルギー格付制度(6年3月末時点で172隻認定))を推進していきます。また、平成25年に策定 した「LNGバンカリングガイドライン」については、LNG燃料船への燃料供給実績の蓄積を踏まえ令和5年6月に改訂版を公表しました。引 き続き夜間及び錨泊中の安全な燃料供給について検討し、ガイドラインに反映します。さらに、LNG燃料船、水素FC船、バッテリー船等の開発・導入・実証に対する支援等、関係省庁と連携し、船舶の低・脱炭素化に向けた取組みを一層加速させていきます。

○航空分野のCO2 排出削減の取組み
脱炭素化に向けて、航空会社や空港会社による主体的・計画的な脱炭素化の取組みを後押しすることが重要であり、航空法等に基づく「航空運送事業脱炭素化推進計画」及び「空港脱炭素化推進計画」の認定等を進めています。 「航空運送事業脱炭素化推進計画」については、令和6年1月にはANAグループ、JALグループの2計画を初認定しました。「空港脱素化推進計画」については、5年12月には成田国際空港、中部国際空港、関西国際空港、大阪国際空港の4空港の計画を、さらに6年3月には地方公共団体が管理する県営名古屋空港の計画を初認定しました。航空機運航分野においては、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、官民協議会の場等を活用して関係省庁や民間事業者と連携しながら、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の導入促進、管制の高度化等による運航の改善、機材・装備品等への環境新技術の導入等に取り組んでいます。特にCO2 削減効果の高いSAFについては、2030年時点の本邦航空会社による燃料使用量の10%を SAFに置き換えるという目標を設定しており、経済産業省等と連携し、国際競争力のある価格で安定的に国産SAFを供給できる体制の構築や、国産SAFの国際認証取得に向けた支援等に取り組んでいます。空港分野においては、各空港において空港脱炭素化推進協議会を設置し、空港脱炭素化推進計画の検討を進めるとともに、空港施設・空港車両等からのCO2 排出削減、空港への再エネの導入等に取り組んでいます。また、「空港の脱炭素化に向けた官民連携プラットフォーム」を活用し空港関係者等と情報共有や協力体制を構築するとともに、空港関係者の意識醸成や空港利用者への理解促進を図ります。

●住宅・建築物の省エネ性能の向上
2022年6月の建築物省エネ法の改正により、2025年までに原則すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務化されることとなった。当該改正法の円滑な施行のため、2023年11月から2024年の2月にかけて住宅・建築物の設計・施工等に携わる方を対象に、講習会等を開催した。また、省エネ性能が市場において適切に評価されるよう、建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度を強化し、告示に規定する省エネラベルを用いて表示するよう見直された(2024年4月施行)ところ、2023年9月には本制度のガイドラインを策定・公表し、同制度の周知を図った。加えて、再エネ設備導入促進のための措置として、市町村が地域の実情に応じて再エネ設備の設置を促進する区域を設定できることとなった(2024年4月施行)ところ、2023年9月には本制度 のガイドラインを策定・公表し同制度の周知を図っている。 このほか、省エネ・省CO2等に係る先導的なプロジェクトやZEH・ZEB等の省エネ性能の高い住宅・建築物に対する支援を行うとともに、独立行政法人住宅金融支援機構の【フラッ ト35】SにおけるZEH等への融資金利引下げ等を実施している。さらに、住宅の省エネ化を推進するため、国土交通省、環境省及び経済産業省は住宅の省エネリフォーム等に関する補助制度について予算規模を拡大した上で引き続き実施するとともに、ワンストップで利用可能とするなど、連携して支援を行う。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

●下水道における脱炭素化の推進
高効率機器の導入等による省エネ対策、下水汚泥のバイオガス化等の創エネ対策、下水汚泥 の高温焼却等による一酸化二窒素の削減を推進しています。

●建設機械の環境対策の推進
燃費基準値を達成した油圧ショベル、ブル ドーザ等の主要建設機械を燃費基準達成建設機 械として認定する制度を運営しており、令和6年1月現在で183型式を認定しています。一方、 これらの建設機械の購入に対し低利融資制度等 の支援を行っています。また、2050年目標である建設施工におけるカーボンニュートラルの実現に向けて、動力源の抜本的な見直しが必要であり、GX建設機械 (電動等)の導入拡大を図るため、令和5年10月に電動建機を対象としたGX建設機械認定制度を創設しました。

●都市緑化等によるCO2 の吸収源対策の推進
都市緑化等は、パリ協定に基づく我が国の温室効果ガス削減目標の吸収源対策に位置付けられており、市町村が策定する緑の基本計画等に基づき、都市公園の整備や、道路、港湾等の公共施設や民有地における緑化を推進していく。 また、地表面被覆の改善等、熱環境改善を通じたヒートアイランド現象の緩和による都市の低炭素化や緑化によるCO2 吸収源対策の意義や効果に関する普及啓発にも取り組んでいく。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

●ブルーカーボンを活用した吸収源対策の推進
CO2 吸収源の新しい選択肢として、沿岸域 や海洋生態系により吸収・固定される炭素(ブ ルーカーボン)が注目されています。国土交通省では藻場・干潟等及び多様な海洋生物の定着を促す港湾構造物を「ブルーインフラ」と位置付け、ブルーカーボンを活用したCO2 吸収源 の拡大によるカーボンニュートラルの実現への貢献や生物多様性による豊かな海の実現を目指 し、「命を育むみなとのブルーインフラ拡大プロジェクト」の取組みを推進するとともに、ブルーカーボンクレジット制度の活用促進等に取り組んでいます。

■再生可能エネルギー等の利活用の推進
●海洋再生可能エネルギー利用の推進
洋上風力発電の導入に関し、港湾区域内において港湾管理者が事業者を選定済みの全国6港のうち、石狩湾新港内において、令和6年1月に、我が国2か所目となる大型商用洋上風力発電の運転が開始された。また、一般海域においても、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」に基づく公募により、経済産業省及び国土交通省が5年12月及び6年3月に新たに計4区域において事業者を選定し、事業者選定済みの海域は計9区域となった。6年3月には「青森県沖日本海(南側)」、「山形県遊佐町沖」の計2区域 において事業者公募を開始するなど、洋上風力発電の導入が加速化している。 さらに洋上風力発電設備の設置及び維持管理に利用される港湾(基地港湾)について、これまで国土交通大臣が5港を指定し、必要な整備を実施している。このうち、秋田港では整備が完了し、令和3年4月に港湾法に基づく発電事業者への埠頭の長期貸付けを開始した。 また、今後普及拡大が期待される浮体式洋上風力発電について、令和5年5月には発電設備の建設に対応した施設の規模等の検討を目的とした「洋上風力発電の導入に向けた港湾のあり方に関する検討会」、同年6月にはサプライチェーンの構築といった産業のあり方等の検討を目的とした「浮体式産業戦略検討会」を設置 し、検討を進めている。さらに、浮体式洋上風力発電施設の安全性と経済合理性を両立させるべく、その構造や設備の要件を定めた技術基準等の見直しや拡充を図るための検討を行っている。6年3月には排他的経済水域への拡大のための制度的措置として「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定し、第213回国会に提出した。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

 

-実践編・応用編

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