キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

実践編・応用編

キャリコンサルタント実践力の向上指導4

投稿日:2025年11月28日 更新日:

前回に続きキャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、現段階でのスーパービジョンの基盤整理の、スーパービジョンの形式と方法から記述します。

(2)スーパービジョンの形式と方法
本事業では、スーパービジョンの形式と方法について、標準的な枠組みを示すまでの議論を重ねることはできなかったが、第2章に示した「既存のスーパーバイザー養成等の実態把握」における各機関からの発表を踏まえ、次のように整理することができる。
1)形式
スーパービジョンの形式は、スーパーバイザーとスーパーバイジー(キャリアコンサルタント)が1対1で行うものと、グループ形式(グループサイズは6 -10名程度、クローズドメンバーの場合とオープンメンバーの場合がある)で行うものがある。スーパービジョンの基本的な目的は変わらないが、グループ形式のスーパービジョンはスーパーバイザーのほかにグループメンバー相互のフィードバックが加わる。
また、本事業のスーパービジョンのモデル実施では、通信機器を活用したスーパービジョンも行われた。スーパービジョンは、一般的にはスーパーバイジーとクライアントとの面談後に行われるが、ライブで行われる場合もある。

2)契約等の必要条件
スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)がスーパービジョンを希望する際には、スーパーバイザーとスーパーバイジー(キャリアコンサルタント)の間での契約が必要となる。
契約では、スーパービジョンの方法(形式、指導材料、ケース記録・逐語記録またはその両方、録音VTRの使用等)、場所、目標、1回当たりの時間、期間、頻度、料金、秘密保持、修了要件、その他必要となる事項について取り決めを行う。
スーパービジョンを受けるに当たって、スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)は、スーパーバイザーへの質問、指導を受けたい内容、その理由等を整理しておくとともに、ケース記録等をもとにして事前にケース全体を振り返り、自身の課題や問題点を点検しておくことが必要である。

3)指導材料(ケース記録)
指導材料のうちケース記録については、概ね次の事項を記載する。
①クライアントの属性(氏名、年齢、性別)、その他(服装や全体の印象)
②面接年月日、面談の回数、面談場所、面談時間
③クライアントとの関係性
④クライアントの話した内容(可能な限りクライアントの話した事実ベースでクライアントの言葉をそのまま記入。キャリアコンサルタントの問いに答えて出た言語の場合はキャリアコンサルタントの話した内容もそのまま記入。)
⑤クライアントの状態把握
a クライアントの課題
クライアント自身は何を課題と観て、それを自身はどう感じているかをクライアントの言動に基づいて記入。
b キャリアコンサルタントの仮説
クライアントの言動を通して、キャリアコンサルタントの視点ではどんな課題があると捉えたか、根拠を添えて記入。
⑥キャリアコンサルタントの方策
a キャリアコンサルタントの示した方策
キャリアコンサルタントが提示した方向性や情報提供などを具体的に記入。
b クライアントの変化
クライアント自身の変化、環境や周りの変化について、クライアントの語った言葉や態度をそのまま記入。
C 自己評価
クライアントの状態把握、キャリアコンサルタントがとった方針や方策の実現が出来たかを記入。

(参考)
スーパービジョンの必要性やスーパービジョンの形式・方法等は上述のとおりであるが、スーパービジョンが未だ普及していない現実を踏まえると、すでに記述した「既存のスーパーバイザー養成等の実態把握」 において、主として資格取得後経験の乏しいキャリアコンサルタントを対象として、訓練を受けたクライアント役に対するキャリアコンサルティング実施場面(20分) を複数のスーパーバイザー(キャリアコンサルタント)が一定の判定基準に従って評価・診断し、その場でキャリアコンサルタントとしての成長課題を対話によってすり合わせしながら、今後の効果的な更新講習の受講や学習機会等を指導するという形式(※全体で1時間程度)を取り入れることも有効であると考えられる。
(つづく)A.K

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

海外進出日本企業で働く人々_イギリス_労働施策 3

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、英国の労働施策の3回目です。英国は、ヨーロッパ最大の人口を誇る巨大消費市場やビジネスハブとしての優位性を持ち合わせており、英国政府も外国企業への投資を促進するための税制上のインセンティブを提供しています。例えば他の多くの国に比べて、法人税率が低く設定されていることは良く知られています。そうした中、英国に拠点を持つ日系企業は約960社、最も多く進出しているのが製造業で約330社です。 ◆労働条件対策 ■制度概要 1996年雇用権利法(Employment Rights Act 1996)においては、雇用される労働者(wo …

リソースが集中する大企業を活性化していく重要性

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。 前回に続き、経済産業省製造産業局が2024年5月に公表した資料「製造業を巡る現状と課題について今後の政策の方向性」からスライド26ページ「リソースが集中する大企業を活性化していく重要性」について、詳細な解説をします。 (出典)経済産業省 016̠04̠00.pdf 1.製造業における企業規模別の売上・利益構造の分析 ■ 売上高・利益構造 まず、製造業における企業規模別の売上高・利益構造を確認します。上掲の図表によれば、資本金10億円超の大企業は全体のわずか0.6%(約1,800社)に過ぎませんが、この小数の企業グループが製造業全体の約8割 …

製造業を巡る現状と課題 製造業企業の状況

キャリアコンサルタントに有用な情報をお伝えします。 日本の製造業が置かれている構造的変化を企業行動の観点から読み解き、グローバル化の進展とその影響が、どのように企業の売上、利益、そして雇用構造に反映されているのかを解説します。 (出典)経産省 製造業を巡る現状と課題今後の政策の方向性2024年5月製造産業局 – 検索 ◉1.グローバル化の進展:日本企業の海外売上比率が世界を上回る まず注目すべきは、日本の製造業大手企業の「海外売上比率」である。かつては、欧米企業の方が積極的に海外市場に展開していると捉えられていたが、図表によれば2013年には日本企業が米国企業を逆転し、現在では海外 …

海外進出日本企業で働く人々_ベトナム_雇用政策

日本とベトナムは、長年にわたって政治、経済、文化、スポーツと幅広い分野で友好関係が続いています。日系企業の進出も盛んで、約2千社がベトナムへ進出しており、キャリアコンサルタントが日系企業で働く人々と接触する機会は年々増加しています。私の友人も、6年間ほどベトナムの日本企業に派遣され、2年ほど前に帰国しました。彼の話しによると、ベトナムは人口に占める若年層の割合が大きいので多くの若者がその企業で働いていたそうです。その中で、優秀な人材が他の企業に転職する例もあったようで、そのため、賃金上昇によるコスト増で、経営者は頭を抱えていたと語っていました。私も2024年4月25,26日の両日ハノイのハイフ …

中学学習指導要領 自己実現

文部科学省が発行している中学校学習指導要領(平成 29 年 7 月告示、令和 6 年 12 月 一部改訂総則改正)の中には「自己実現」が出てきます。 (3)キャリア教育の充実(第1章第4の1の(3)) 生徒が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう,特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて,キャリア教育の充実を図ること。その中で,生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。本項は,生徒に学校で学ぶことと社会との接続を …