実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 14 I テクノファ

投稿日:2020年11月30日 更新日:

キャリアコンサルタントの知識の実践

前回に引き続いて相談場面の設定について説明します。次に相談場面の設定について説明します。
相談を始めるにあたって、物理的、精神的両方の意味で場作りを進める必要があります。
ここでは、部屋づくりから始まって、相談の目標について具体的な合意を得るまでを紹介します。

■物理的環境の整備
物理的環境の整備は、キャリアコンサルタントの職業倫理とも関連していることです。相談業務を行う場合、それが1対1でもグループであっても、面接をする場は安全で来談者が安心して相談ができる場所を用意しなければなりません。個室が理想的です。外が見える窓がある場合には、カーテンかブラインドで外が見えないように(外から見えないように)したほうがいいでしょう。部屋には椅子とテーブルを用意し、椅子は来談者が落ち着ける場所に座れるように、最低でも4つはあったほうがいいでしょう。来談者の緊張度が高い場合には正面から向かい合うより、斜めあるいは横に座ったほうが来談者は落ち着きます。外部と遮断された個室が用意できない場合は、パーティションなどで仕切りをつくり、他人からは見えないように配慮しなければなりません。

このような場づくりによってプライバシーを守ることが、キャリアコンサルタントには倫理として課せられています。話していることを他人が聞き取れるような場所は、相談の場所としては不適切です。

■心理的な親和関係(ラポール)の形成
相談を行うにあたって、まずキャリアコンサルタントがしなければならないことは、ラポールの形成です。来談者が話してみようという気持ちにならなければ、相談は始まらないからです。相談したいことがあって相談に来たとしても、実際に相手の顔を見たら話せなくなってしまうことはよくあることです。

挨拶(守秘義務の件を述べることも含む)、笑顔、アイコンタクト、服装などとともに、積極的傾聴のスキルで説明したように、受容的な態度で接することにより、心理的な親和関係をつくることができます。

■キャリア開発・形成およびキャリア・コンサルティングに係る理解の促進
キャリアコンサルタントはキャリア開発・形成は来談者自身の生き方の問題であり、したがって来談者のキャリア開発・形成の主体はあくまでも来談者自身であること、同時に最終的な意思決定は来談者自身に委ねられる(自己決定・自己責任)ことをきちんと伝え、来談者がそれを理解できるように説明しなければなりません。

さらに、キャリアコンサルタントの支援には限界があることなど、キャリアコンサルティングの目的や前提を明確に説明して来談者の理解を得なければなりません。

■相談の目標、範囲等の明確化
キャリアカウンセリングとして相談を引き受けることは一種の契約ですから、キャリアコンサルタントは相談を実施する際には、来談者の相談内容、抱えている問題、置かれた状況などを正確に把握し、整理したうえで、相談の到達目標、相談を行う範囲、相談の緊急度や重要度について、相談者との間に具体的な合意を得なければなりません。

特に、相談内容が複雑で多岐にわたっているような場合には、キャリアコンサルタントは一回の面接では終わらない可能性が高くなります。したがって取り上げる問題あるいは課題を整理し、それにプライオリティをつけて相談を進めること、相談が一回では終わらない可能性があること、などについて来談者の合意を得なければなりません。
(つづく)A.K

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