キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

実践編・応用編

キャリコンサルタント実践力の向上指導5

投稿日:2025年11月30日 更新日:

キャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、現段階でのスーパービジョンの基盤整理の、スーパーバイザーに求められる能力要件から記述します。

3.スーパーバイザーに求められる能力要件(案)

本事業では、スーパーバイザーに求められる能力について明確化するまでの議論を重ねることはできなかったが、すでに記述した「既存のスーパーバイザー養成等の実態把握」における各機関からの発表を踏まえ、次のように整理することができる。ただし、今後の汎用的なスー パーバイザー養成のための能力要件とするためには、更なる検討、検証が必要である。

(1)基盤能力
1)基本姿勢
①スーパーバイジーのやる気、意欲を育て、さらに動機付けできる。
②スーパーバイジーへの支持的な態度を大切にし、絶えず維持できる。
③スーパーバイジーの持ち味を大切にし、積極的に活かせる。

2) キャリアコンサルタントとしての経験及び能力
①キャリアコンサルティングの豊富な経験を有している。
②スーパービジョンを受けている。
③一人ひとりの違いに対する感受性を有している。
④面談場面に必要な能力(関係構築、プロセス評価、クライアント評価、意思決定、介入行動等)を有している。
⑤自己評価や他者のフィードバックを通じて自己の限界を認識している。

3)知識と技能
①指導者として倫理・法・規則に精通し、かつその知識を活用できる。
②スーパービジョンを行う領域について、適切な知識、豊富な経験、かつその知識や経験を活用できる。
③スーパーバイジーが現場で求められている役割(枠組み)に沿って、適切な助言や最新の情報提供ができる。
④スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)の課題を克服するために提供する知識やスキルをどのような教授法でスーパーバイジーに気づかせ、定着させるかを特定し、組み合わせられる。

4)スーパービジョンのマネジメントと倫理
①スーパーバイジーの成長プロセスに関する考え方を説明し、援助ができる。
②スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)の受けてきたトレーニング、経験等を把握し、スーパーバイジーのレベルに合ったスーパービジョンの方法を構築できる。
③スーパービジョンのプロセス全体の枠組みの設計、改善ができる。
④スーパービジョンを実践する上での適切な手続き、インフォームド・コンセント、二重関係、守秘義務等の倫理について、スーパーバイジーに指導、教育できる。

(2)スーパービジョンプロセスのコンピテンシー
1)スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)との関係性
①スーパーバイジーの自信、意欲、自己肯定感を喚起し、さらに動機づけすることができる。
②スーパーバイジーとは権威的な関係性ではなく、スーパーバイジーが専門家として成長するための育成効果の高い関係を構築できる。

2)ケースの概念化と戦略
①スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)が担当するケース、クライアントの状況を客観的に把握してケースの本質を捉えられる。
②スーパーバイジーが担当するケースを事例検討に終わらずに概念化し、スーパービジョン全体の進行過程とマネジメント等を検討し、スーパーバイジーの見立てや支援のための戦略を立てる力を指導、教育できる。

3)スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)の評価
①得られた情報からスーパーバイジーのキャリアコンサルティング能力の過不足状況を把握し、育成的視点でスーパーバイジーが取り組むべき課題を特定できる。
②スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)の問題点を評価し、援助する役割を果たしながら、スーパーバイジー 自身の情緒的な状態(転移など)を意識化させられる。

4)教育プログラム構築
①スーパーバイジーの専門的、個人的な長所と短所の両方を見極め、スーパーバイジーに必要なプログラム、目標達成を判断するための評価方法を構築できる。
②スーパーバイジーの課題を克服するために、スーパービジョンプロセスにおける個々のセッションの内容、進め方を計画できる。

5)スーパーバイザー(キャリアコンサルタント)としての介入
スーパーバイザーが構築した教育プログラムを効果的に遂行するために、デモンストレーションや対話などを通じて、スーパーバイザーとして専門的な介入を行う。

6)自己評価と継続的な自己成長へのコミットメント
スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)との関係性、スーパーバイジーのスーパーバイザーに対する捉え方、スーパーバイジーを育てることに対するスーパーバイザーの感情、自身が行ったスーパービジョンを点検・自己評価し、自己成長につなげられる。

7)組織への働きかけ
個人支援のみならず、企業・組織へのアプローチ、関係者との連携、コーディネートができる。
(つづく)A.K

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

製造業を巡る現状と課題  なぜ“デジタル敗戦”したのか?

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。 前回に続き、経済産業省製造産業局が2024年5月に公表した資料「製造業を巡る現状と課題について今後の政策の方向性」からスライド23ページ「なぜ“デジタル敗戦”したのか?」について、背景にある構造的な課題について、経営視点で解説します。 はじめに デジタル敗戦とは何か – 背景と問題提起 日本企業のデジタル化の遅れが顕在化した象徴的な表現として「デジタル敗戦」という言葉が生まれました。特に新型コロナウイルス禍では、他国に比べ日本の行政手続きや企業活動のデジタル対応の遅れが露呈し、「まるでデジタル戦争に敗北したようだ」という危機感が広がりまし …

我が国の国土交通行政の展開 2

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、国土交通行政の展開についてお話しします。国土交通省は、陸海空にわたる諸活動の基盤に関して、国土の総合的な利用と保全、社会資本の整合整備、交通政策の推進、観光立国の推進,、海上の安全の確保などを任務としています。これらの多岐にわたる取組みの目指すところは、安心・安全で豊かな自立し活力ある暮らしを可能にすることにより私達の暮らしを支えることといえます。 ◆交通政策の推進 ■交通政策基本法に基づく政策課題 「交通政策基本法」に基づき、令和3年5月に閣議決定された「第2次交通政策基本計画」 は、3年度から7年度までを計画期間と …

エビデンスに基づく外国人雇用対策の基盤整備

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 多様な働き手の参画の最終回です。労働参加率の向上について、特に期待されるのは女性、高齢者等の多様な働き手の労働参加です。我が国において、出産や育児による離職は女性の労働参加に大きな影響を与えていると考えられています。そのため、女性が子供の成長に合わせて柔軟な働き方に変えていくことが必要です。 また、高齢者の労働参加率は他国の平均より高い水準にあります。一方で、年齢に関わりなく元気である限り、働きたいと考える高齢者への対応はより重要であると考えられます。 ■エビデンスに基づく外国人雇用対策の基盤整備 適時・的確かつ柔軟な外国人雇用対 …

グロースマネジャー(第4部)

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。 6)人的資本も最大化を実現する方法 企業内におけるキャリア開発の支援の重要性が高まりつつあり、その中で「1on1」の重要性がたかまりつつある。特に管理職向けの講演や研修において、1on1の実施方法に関する質問が頻出し、「どのように1on1をすすめればよいのか」「1on1の目的やゴールが不明確である」といった声が寄せられる。1on1の目的及び実施方法について理論的枠組みを踏まえながら、実務的視点を交えて論じる。 ①1on1の目的 1on1の最大の目的は「人的資本の最大化」にある。これは、組織におけるメンバーが自身のポテンシャルを最大限に発揮 …

経産省CX研究会に見る日本製造業の今後3

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお届けします。出典 経済産業省 meti.go.jp 技術力・製品力以外の領域で競争力を高める狙い 前述の通り、CX研究会はあえて技術力や製品そのものの競争力を議題のスコープ外とした[6]。これは決してそれらを軽視するものではなく、日本の製造業が依然として高い技術的優位を持つとの前提に立ちつつ、「優れた製品を作れば売れる」だけでは通用しない時代において不足している要素を補強する狙いがあったと言える。事実、日本企業は品質や職人技術で高い評価を受ける一方、それをビジネスとして展開する戦略・収益モデルの面で後れを取ってきた歴史がある。例えば、同じ技術力を持って …