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多様な働き手の参画の最終回です。労働参加率の向上について、特に期待されるのは女性、高齢者等の多様な働き手の労働参加です。我が国において、出産や育児による離職は女性の労働参加に大きな影響を与えていると考えられています。そのため、女性が子供の成長に合わせて柔軟な働き方に変えていくことが必要です。
また、高齢者の労働参加率は他国の平均より高い水準にあります。一方で、年齢に関わりなく元気である限り、働きたいと考える高齢者への対応はより重要であると考えられます。
■エビデンスに基づく外国人雇用対策の基盤整備
適時・的確かつ柔軟な外国人雇用対策を実施していくため、2021(令和3)年3月より学識者や労使を委員とする「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」を開催しています。
エビデンスに基づく外国人雇用対策の立案の基盤整備を目指すべきとの同検討会の中間取りまとめ(2021年6月)を踏まえ、外国人労働者の雇用の実態を把握する外国人雇用実態調査を2023(令和5)年から実施しています。
■二国間の協定等に基づく外国人看護師候補者及び介護福祉士候補者の受入れ
経済連携協定(EPA)等に基づく外国人看護師候補者及び介護福祉士候補者の受入れは、経済活動の連携強化の観点から、公的な枠組みで特例的に行われているものです。
本枠組みにより入国した看護師候補者及び介護福祉士候補者は、協定等で定められた滞在期間(看護師候補者3年、介護福祉士候補者4年)の間、病院・介護施設等で就労を行い、国家試験の合格を目指して研修等を受け、滞在期間中又は帰国後に国家資格を取得した場合においては、日本国内において看護師及び介護福祉士としての就労が認められます。
インドネシアは2008(平成20)年度から、フィリピンは2009(平成21)年度から、ベトナムは2014(平成26)年度から受け入れています。
厚生労働省では、国家資格取得に向けた就労・研修等に関する支援の実施、受入れ調整機関である公益社団法人国際厚生事業団(候補者の受入れを適正に実施する観点から、同法人が唯一の受入れ調整機関となっています。)による職業紹介業務等に対する指導監督を行うとともに、外務省、法務省及び経済産業省と緊密に連携しその運営を行っています。
また、2010(平成22)年度から、看護師国家試験及び介護福祉士国家試験における用語等を見直し、2012(平成24)年度からは、試験時間の延長などの配慮も実施しています。さらに、2016(平成28)年4月からEPA介護福祉士候補者等の受入対象施設の範囲の拡大を行い、2017(平成29)年4月から介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士の就労範囲に訪問系サービスを含めました。
■外国人技能実習制度の適正な実施
外国人技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術又は知識の移転を通じて、開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的とし、1993(平成5)年に創設された制度です。
制度創設以降、技能実習は我が国の国際貢献において重要な役割を果たしており、送出国からも積極的な評価を受けている一方で、入管法令・労働関係法令違反等の発生も指摘されてきました。こうした状況を受けて、管理監督体制の強化や制度の拡充などを内容とする「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が、2017(平成29)年11月1日に施行された。同法においては、監理団体について許可制、技能実習計画について認定制とし、外国人技能実習機構(認可法人)を設立して監理団体等に対する実地検査や技能実習生に対する母国語相談等の業務を行っているほか、通報・申告窓口の整備、人権侵害行為等に対する罰則等を整備しています。入管法令・労働関係法令違反等の不適切な事案については関係機関とともに必要な対応を行い、違反の態様に応じて法務大臣・厚生労働大臣等が許可の取消等の行政処分等を行うなど、同法に基づき、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、制度の趣旨に沿った技能実習制度の活用を進めています。
さらに、日本と送出国が技能実習を適正かつ円滑に行うために連携を図ることを目的として、技能実習生の送出国のうち16か国(ベトナム、カンボジア、インド、フィリピン、ラオス、モンゴル、バングラデシュ、スリランカ、ミャンマー、ブータン、ウズベキスタン、パキスタン、タイ、インドネシア、ネパール及び東ティモール(2025(令和7)年3月31日現在))との間で、二国間取決め(MOC)を作成し、送出機関の適正化等を図っています。
技能実習制度の在り方については、技能実習法等の附則に基づく検討の時期を迎えたことから、2022(令和4)年11月に開催が決定された「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」において検討が行われ、2023(令和5)年11月に提出された最終報告書を踏まえて、2024(令和6)年2月に「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」において「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応について」を決定しました。これを基に「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案」が第213回通常国会に提出され、2024年6月に成立・公布されました。
本改正法は、技能実習制度に替えて、人材育成及び人材確保を目的とする育成就労制度を
創設するものです。育成就労制度においては、特定技能制度において従事することができる業務との連続性を持たせ、就労を通じて特定技能1号の在留資格において要求される技能と同水準の技能を有する人材を育成することとしてキャリアアップの道筋を明確にします。また、育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護を図るため、外国人ごとに作成する育成就労計画の認定の仕組みや、監理支援事業を行う監理支援機関の許可の制度を定め、外国人技能実習機構を改組し外国人育成就労機構を設けるほか、やむを得ない事情がある場合のほかにも一定の要件を満たす場合には、技能実習制度においては認められていなかった、本人の意向による転籍を認めるなどの措置を講じています。
本改正法は、一部を除き2027(令和9)年4月1日に施行することとされており、「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」の下で「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」を開催することが2024年12月に決定されました。当該有識者会議において、特定技能制度及び育成就労制度の基本方針についての議論が行われ、2025(令和7)年3月、「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針及び育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する基本方針」が閣議及び「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」において決定されました。
重層的なセーフティネットの構築
■生活保護受給者などの生活困窮者に対する就労支援の推進
2013(平成25)年度から生活保護受給者を含め生活困窮者を広く対象として、地方自治体(福祉事務所)にハローワークの相談窓口(常設窓口や巡回相談)を設置するなど、ワンストップ型の就労支援体制を全国的に整備し、ハローワークと地方自治体の協定に基づき、両者によるチーム支援方式により、就労支援を行う「生活保護受給者等就労自立促進事業」を実施しています。2024(令和6)年度における実績は支援対象者数約8.6万人、就職者数約6.1万人となっています。
■求職者支援制度
求職者支援制度は、主に雇用保険を受給できない方々に対して公的な職業訓練の受講機会を提供するとともに、収入、資産など一定の要件を満たす場合に、訓練を受けることを容易にするための職業訓練受講給付金を支給しています。2023(令和5)年4月に、誰もが職業訓練を受講しやすい環境整備を図り、今後のステップアップに結びつけられるようにするため、本制度について、職業訓練受講給付金の支給要件の緩和や訓練対象者の拡大の見直しを行い、当該制度の活用促進を図りました。
なお、求職者支援訓練には、多くの職種に共通する基本的能力を習得するための「基礎コース」と、基本的能力と特定の職種の職務に必要な実践的能力を一括して習得するための「実践コース」があります。
また、ハローワークは求職者に対してキャリアコンサルティングを実施し、適切な訓練へ誘導するとともに、個々の求職者の状況を踏まえて作成した就職支援計画に基づき、訓練期間中から訓練修了後まで、一貫して就職支援を行い、求職者の早期の就職に向け取り組んでいます。
2023(令和5)年度においては、約4.5万人が訓練を受講しました。また、2023年度中に終了した訓練コースの雇用保険適用就職率は、基礎コース60.1%、実践コース60.6%となっています。
■雇用保険制度
雇用保険制度は、労働者が失業した場合や自ら職業に関する教育訓練を受けた場合、育児休業を取得した場合等に給付を行うとともに、失業の予防や労働者の能力開発等のための事業を行うなど、雇用に関する総合的機能を有する制度として運営されています。
今般、多様な働き方を効果的に支えるセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、2024(令和6)年5月に成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律」において、
・被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更する適用対象の拡大(2028(令和10)年10月施行))
・教育訓練やリ・スキリング支援の充実(2024(令和6)年10月・2025(令和7)年10月施行)
・育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保として、育児休業給付の国庫負担を給付費の1/8に引き上げるとともに、育児休業給付に係る保険料率について、法律上の本則を0.4%から0.5%へ引き上げつつ、保険財政状況に応じた弾力的な引下げを可能とする仕組みの導入(2024(令和6)年5月・2025(令和7)年4月施行)
等の措置を講ずるとともに、共働き・共育ての推進の観点から、2024(令和6)年6月に成立した「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」において、
・出生後休業支援給付の創設(2025(令和7)年4月施行)
・育児時短就業給付の創設(2025(令和7)年4月施行)
を行いました。
雇用保険財政については、2023(令和5)年度末時点において、雇用保険二事業に充てる雇用安定資金は2020(令和2)年度末以来0円であり、失業等給付に充てる積立金もコロナ禍前よりも低い水準であることから、雇用保険財政の早期健全化は重要な課題となっています。一方で、現在の雇用情勢は求人が底堅く推移し緩やかに回復していることや、雇用調整助成金の特例措置が終了したことなどを背景に雇用保険の財政状況は好転しています。
失業等給付の積立金の水準が回復傾向にあり、2024(令和6)年度末時点では2.3兆円となる見込みであるところ、2025(令和7)年度の失業等給付に係る保険料率については法律の規定に基づき引下げが可能となっていることから、本則の0.8%から0.7%へ引き下げることとしました。また、雇用保険二事業及び保険料の弾力的な調整の仕組みを設けた育児休業給付の保険料率については、2025(令和7)年度はそれぞれ2024(令和6)年度と同じ0.35%及び0.4%としています。
引き続き雇用のセーフティネットとしての役割を十分に果たすことができるよう、制度の安定化を図っていく必要があります。
■雇用調整助成金・産業雇用安定助成金
雇用調整助成金は、景気の変動、産業構造の変化等の経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業、教育訓練又は出向を行って労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当、賃金などの一部を助成しています。
2024(令和6)年4月からは、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくするため、教育訓練を一定割合実施しない場合に助成率を引き下げる等の省令改正を実施し、施行しています。
産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)は、景気の変動、産業構造の変化等の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、生産性向上に資する取組等を行うために必要な新たな人材を雇い入れる場合に、賃金の一部を助成しています。
なお、雇用調整助成金は災害時の雇用対策の一つとして活用されており、令和6年能登半島地震においては、2024(令和6)年1月より、令和6年能登半島地震の影響に伴い事活動が縮小した事業主を対象に、支給要件の緩和や助成率の引き上げ等の特例措置を実施し、また、地震から1年も経たずに豪雨災害が重なるという極めて特異な被災状況等を踏まえ、2025(令和7)年1月より、能登地域において、前年と同様の休業支援を1年間受けられる新たな特例措置を実施しています。
他方、雇用調整助成金による休業の長期化は、働く方の仕事への意欲やスキルの維持にも影響が出る懸念があることや、石川県全域が被災地域を含めて人手不足の状況にあることから、被災企業に在籍しながら働くことのできる在籍型出向への支援により、被災企業の雇用維持と地域の人材確保の両立を図るため、2024(令和6)年12月に、能登地域において在籍型出向を利用して雇用維持を行う事業主に対する産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)を創設するとともに、ハローワークや関係機関の連携等により出向先の開拓を行うことで在籍型出向への移行を促しています。
(つづく)Y.H
(出典)厚生労働省 令和7年版 厚生労働白書