実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 86 | テクノファ

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このコーナーは、テクノファキャリアコンサルタント養成講座を卒業され、現在日本全国各地で活躍しているキャリアコンサルタントの方からの近況や情報などを発信しています。今回はS.Sさんからの発信です。

社会人としての自立
今回は、成長の妨げとなる「依存的傾向」について書いてみたい。「私、よく裏切られるんです」と言う人たちがいる。そして「裏切られた」と感じた彼らが、必ずと言っていいほど発する言葉が「信じていたのに・・」である。
ここでひとつ断っておくが、今日のテーマはあくまでも自己と他者との関係性について考えるきっかけを提供させて戴きたいと思っただけであり、意図的に誰かを騙そうとか欺こうといった悪意によって生じた関係の崩壊について語ろうというわけではない。
そこは誤解のないよう願いたい。
※:(「悪意」すなわち「意図的に相手を陥れようとする意識的行為」について今回は特に触れません)

さて、「相手を信じる」とは、いったいどういうことなのだろうか?「信じる」とは自分の主観に拠って選択された信念のことである。それに加えて、相手側の意向や想いを確認することなく主観的な思い込みと判断によって為される”心の中での選択”であることがほとんどであり、そこには何らかの「自分に都合のいい期待感」も含まれる。
自分勝手な選択・・つまり「信じる」ということが自己の内面だけによる自己決定的なものであるなら、もちろん「結果」についても内面的自己責任が伴うのは当然であろう。しかし、結果が想定外だった場合に限って俄かに言語化し、一方的に相手を罵ることになる。

「信じる」という言葉の意味が、「自分の思いどおりになること」、または「自分にとって好都合な希望的観測」だというのなら、それが叶わなかったときに発するべき言葉は「私としては勝手に期待していただけに残念だ」となるはずである。しかし、多くの者は「裏切られた」という言葉を吐くのである。これは相手に対する依存性に因る言動であり、「私は被害者なのだ」と言わんばかりである。
つまり、期待が落胆に変わったことによる心の痛みから防衛機制が働き、自らの動揺している気持ちをなだめるために「何か(誰か)のせい」にしようと選択責任を転嫁し、自分の不甲斐なさや悔しさを相手への怒りや憎しみに変化させるのである。

先の断わりの中にも書いたが、「相手が意図的に私を陥れようと企んだ」というのなら話は別だが、勝手に希望的観測を持った自分の勝手を棚に上げて「裏切られた」も何もないだろう。そこに在るのは、単なる甘えであり、勝手な期待であり、自分にとっての損得勘定的な依存でしかない。
このような依存的な傾向は、「相手が自分の世話を看るのはあたりまえ」という思い込みが日常的に習慣化している親子間(特に母と子の関係)で観られるのが一般的だが、
この感覚を当然のように友人にも求めたり、恋人にまで期待すれば、その者は頻繁に「裏切られ体験」を繰り返すことになろう。

よく「そんなのあなたらしくない!」などと無責任なことを言う族を見かけるが、それとて、「△△さんはこういう人に違いない」と勝手にイメージを作っていただけであり、相手はそのイメージにつき合わされる筋合いなどない。だが、現実的に社会で生きていれば、依存性の強い者によって「加害者にさせられてしまうという被害」を被る場合があることも知っておくべきだろう。

ここで、心理学者のパールズが残した「ゲシュタルトの祈り」という詩をキャリアコンサルタントのために紹介したい。
私は私のために生きる。あなたはあなたのために生きる。
私は何もあなたの期待に応えるために、この世に生きているわけじゃない。
そして、あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけじゃない。
私は私。あなたはあなた。
でも、偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なことだ。
たとえ出会えなくても、それもまた同じように素晴らしいことだ。
(つづく)K.I

-実践編・応用編

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