キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

実践編・応用編

キャリアコンサルタントの方からの近況や情報

投稿日:2026年6月27日 更新日:

このコーナーは、テクノファキャリアコンサルタント養成講座を卒業され、現在日本全国各地で活躍しているキャリアコンサルタントの方からの近況や情報などを発信しています。今回はS.Sさんからの発信です。

社会人としての自立
今回は、成長の妨げとなる「依存的傾向」について書いてみたい。「私、よく裏切られるんです」と言う人たちがいる。そして「裏切られた」と感じた彼らが、必ずと言っていいほど発する言葉が「信じていたのに・・」である。
ここでひとつ断っておくが、今日のテーマはあくまでも自己と他者との関係性について考えるきっかけを提供させて戴きたいと思っただけであり、意図的に誰かを騙そうとか欺こうといった悪意によって生じた関係の崩壊について語ろうというわけではない。
そこは誤解のないよう願いたい。
※:(「悪意」すなわち「意図的に相手を陥れようとする意識的行為」について今回は特に触れません)

さて、「相手を信じる」とは、いったいどういうことなのだろうか?「信じる」とは自分の主観に拠って選択された信念のことである。それに加えて、相手側の意向や想いを確認することなく主観的な思い込みと判断によって為される”心の中での選択”であることがほとんどであり、そこには何らかの「自分に都合のいい期待感」も含まれる。
自分勝手な選択・・つまり「信じる」ということが自己の内面だけによる自己決定的なものであるなら、もちろん「結果」についても内面的自己責任が伴うのは当然であろう。しかし、結果が想定外だった場合に限って俄かに言語化し、一方的に相手を罵ることになる。

「信じる」という言葉の意味が、「自分の思いどおりになること」、または「自分にとって好都合な希望的観測」だというのなら、それが叶わなかったときに発するべき言葉は「私としては勝手に期待していただけに残念だ」となるはずである。しかし、多くの者は「裏切られた」という言葉を吐くのである。これは相手に対する依存性に因る言動であり、「私は被害者なのだ」と言わんばかりである。
つまり、期待が落胆に変わったことによる心の痛みから防衛機制が働き、自らの動揺している気持ちをなだめるために「何か(誰か)のせい」にしようと選択責任を転嫁し、自分の不甲斐なさや悔しさを相手への怒りや憎しみに変化させるのである。

先の断わりの中にも書いたが、「相手が意図的に私を陥れようと企んだ」というのなら話は別だが、勝手に希望的観測を持った自分の勝手を棚に上げて「裏切られた」も何もないだろう。そこに在るのは、単なる甘えであり、勝手な期待であり、自分にとっての損得勘定的な依存でしかない。
このような依存的な傾向は、「相手が自分の世話を看るのはあたりまえ」という思い込みが日常的に習慣化している親子間(特に母と子の関係)で観られるのが一般的だが、
この感覚を当然のように友人にも求めたり、恋人にまで期待すれば、その者は頻繁に「裏切られ体験」を繰り返すことになろう。

よく「そんなのあなたらしくない!」などと無責任なことを言う族を見かけるが、それとて、「△△さんはこういう人に違いない」と勝手にイメージを作っていただけであり、相手はそのイメージにつき合わされる筋合いなどない。だが、現実的に社会で生きていれば、依存性の強い者によって「加害者にさせられてしまうという被害」を被る場合があることも知っておくべきだろう。

ここで、心理学者のパールズが残した「ゲシュタルトの祈り」という詩をキャリアコンサルタントのために紹介したい。
私は私のために生きる。あなたはあなたのために生きる。
私は何もあなたの期待に応えるために、この世に生きているわけじゃない。
そして、あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけじゃない。
私は私。あなたはあなた。
でも、偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なことだ。
たとえ出会えなくても、それもまた同じように素晴らしいことだ。
(つづく)K.I

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

no image

製造業を巡る現状と課題  ガイドラインの対象領域

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。 前回に続き、経済産業省製造産業局が2024年5月に公表した資料「製造業を巡る現状と課題について今後の政策の方向性」からスライド45ページ「ガイドラインの対象領域」について、詳細な解説をします。 (出典)経済産業省 016_04_00.pdf 図表の全体像 図表の上部には、「本ガイドラインでは、サービスチェーン、エンジニアリングチェーン、サプライチェーンの3つのチェーンを包含する、マニュファクチャリングチェーンを対象とする」と記されています。ここが、この図表の最も重要なメッセージです。 製造DXというと、多くの場合、工場内の生産設備、製造工 …

  ドイツの労働施策 5

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、ドイツの労働施策についてお話しします。日本とドイツは基本的価値を共有し、G7等において国際問題に対し強調して取り組むパートナーです。また、ドイツは日本にとって欧州最大の貿易相手国であり、21世紀に入って日独関係はますます重要なものとなっています。政治経済面での協力はもちろん、文化・学術分野でも市民レベルでの活動が活発に行なわれています。 ◆労働条件対策 ■賃金・労働時間の動向 ●賃金 2020年のフルタイム被用者(製造業及びサービス業)の平均年収(特別手当を含む総額)は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの企業が …

日本におけるICT国際戦略

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。 概要 総務省では、政府全体のインフラ海外展開戦略である「インフラシステム海外展開戦略2030」(令和6年12月24日経協インフラ戦略会議決定)に基づき、デジタルインフラやデジタルソリューションの海外展開について、案件発掘、案件提案、案件形成などの展開ステージに合わせ、人材育成・メンテナンス・ファイナンスなどを含めたトータルな企業支援を通じて精力的に取り組んできました。また、米国をはじめとした二国間での政策対話やG7、G20などの多国間の場を活用し、国際ルール形成に向けたデジタル経済に関する議論や国際的なルール形成に関する議論などに積極的に …

製造業を巡る現状と課題 主要製造業企業の海外売上比率×利益率

キャリアコンサルタントの方に有用な情報をお伝えします。 前回に続き、経済産業省製造産業局が2024年5月に公表した資料「製造業を巡る現状と課題 今後の政策の方向性」から、スライド10ページ「主要製造業企業の海外売上比率×利益率」について、該当図表の構造と示唆、各種の解釈と政策的含意を含めて解説をいたします。 (出典)経産省 製造業を巡る現状と課題今後の政策の方向性2024年5月製造産業局 -検索 ◆スライド10「主要製造業企業の海外売上比率×利益率」詳細解説 ――“グローバル化”は利益を生むか? 海外展開の真の実力差が問われる時代 はじめに:このスライドは可視化するもの このページは、**我が …

キャリアコンサルタントの実践力強化の調査研究

キャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、現段階でのスーパービジョンの基盤整理についての部分を、報告書から記述します。 ここではすでに記述した内容を踏まえた現段階でのスーパービジョンの基盤整理 (スーパービジョンの標準化に向けた考え方)を示すが、中心は既存のスーパーバイザー養成機関等が採用しているカウンセリングをベースとしたアプローチである。 しかし、今後はセルフ・キャリアドック等をはじめとする企業組織領域におけるスーパービジョンも重要性を増してくることから、これに焦点を当てた考え方は補章で示すこととする。 1.スーパービジョンの必要性 …